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居酒屋放浪記 0305 - 10年分のノスタルジア - 「吟の蔵」(港区芝大門)

2010-01-08 12:00:31 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
 JR浜松町駅の金杉橋口を出て西へ向う。
 元同僚ヨッスィーと共に。

 この辺りともなれば月に一度は通るが、第一京浜を越えることはあまりない。
 この10年来、芝大門2丁目に来たのは2,3回のみ。
 かつて、オレたちは芝大門2丁目のSGビルで出会い、共に働いた。
 ヨッスィーと出会ったのは98年の4月のこと。それから2年間、この芝大門で働いた。
 
 オレたちの溜まり場だった、あの店は果たしてまだあるか。
 祈るような気持ちで、そこへ行くと、店はほのかな灯りを点して営業していた。
 「吟の蔵」。
 店の名前もそのままだ。

 引き戸を開けてみて、更に驚いた。
 店内も全く変わっていなかったからだ。

 背のやや高めの長テーブルが6脚。そう、この店はかつて立ち飲み屋だったのだ。
 店がオープンしたのは99年頃だったか。
 その当時、立ち飲み屋は珍しいものだった。
 
 まだ、駆け出しの記者だったオレたちは、編集部のMっちゃん、ベテランのN尾さんと毎晩のようにここに立ち寄って家路に着いた。
 日中は5時まで取材や営業をし、9時頃まで原稿を書く。その後、ここで飲むのがオレたちの日課だった。

 立ち飲みだから、値段は安く、オレたちの薄っぺらな給料でもなんとか飲めた。
 当時、ビールはモルツで、ビールタンブラー1杯が350円だった。
 オードリー・ヘプバーンに似たおばちゃんが居て、オレたちはすぐ仲良しになった。

 オープンから半年ほどして、店内に椅子が入った。
 だが、オレたちは長っ尻になることはなかった。
 給料が全く上がらなかったからだ。

 そして、この日、オレたちはほぼ10年ぶりに、その店を訪れたのだった。
 何もかも変わっていなかった。
 店の奥のテレビの場所すらも。

 このテレビでオレたちはいつも時間を延長して放映される野球中継を見た。
 ベイスターズファンのヨッスィーが、谷繁捕手(当時横浜)のリードが気に入らず「こいつ、野球知んねぇ」と暴言を浴びせていたのは、つい昨日のことのように思う。
 あの頃は、地上デジタル放送などというものはなく、野球は必ず毎晩放映されていた。たった10年で時代は変わったなと思う。そして、今や谷繁選手も横浜にはいない。

 オレたちは、席について、おばちゃんに「生ビール」(銘柄特定できず)を頼んだ。
 オレはおばちゃんに「ここに来るのは7年ぶりなんですよ」と話しかけた。つい、早とちりしてしまい、本当は10年ぶりなのに、オレは間違って伝えてしまったのだ。

 すると、おばちゃんは、「7年前はわたしたちが(厨房の旦那さんに目をやりながら)、この店を引き継いだ頃ですよ」という。
 この店もあれからいろいろなことがあったんだなと思う。

 出てきた生ビールはジョッキだった。
 だが、支払いのキャッシュオンデリは相変わらずだった。
 テーブルの竹筒にお金を入れておくとおばちゃんがそこからお金をとっていく仕組みである。

 酒肴は全て厨房のカウンターに置かれている。
 好きなものを銘々が取りにいくのも10年前と同じだ。

 「冷やしトマト」や「ししゃも」といったものから「マグロぶつ刺身」まで、メニューは200円から高くても400円くらいまで。
 2,000円もあればもう充分だ。

 日本酒と焼酎のラインナップは3~5銘柄。
 これも以前と変わらない。

 しかし、お客さんは少ない。
 オレたち含め3組。
 99年頃は、バブル崩壊後のいわゆる「失われた10年」のさなか。
 それでも、お客さんはいつも満員盛況だった。
 「100年に一度」の世界不況は、それ以上に厳しいようだ。

 オレとヨッスィーの記者生活はこの店から始まったと言っていい。
 あれから10年、オレは会社を変えた。だが、話しをする内容はあまり変わっていない。97年から12年もBクラスにあえぐチームと98年を境に再び弱小チームに戻ったチームへの厳しい叱咤激励はほとんど毎年同じである。

 職場の近くにこういう店があれば重宝する。
 長居せずに、金もかからない。
 
 あの頃、仕事は辛かったけれど、ここで酒を飲んでいたら、明日への活力が沸いてきたものだ。

 ほら、あそこで昔のオレたちがばか笑いしている。
 あれは、まだつい昨日のことのようだ。
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