
あ~ぁ~、九十九里はまぁ~。夕日が泣いているぅ~。
焼きはまぐりときくと、ボクは九十九里を思い出す。夏の海水浴。海の家の前で焼かれた1個100円の焼きはまぐりのおいしかったこと。ワイルドな網に置かれた白いぐりぐりとしたはまぐりが、ジリジリと炭火に焼かれ、一斉に口を開くと、じゅわっとおつゆが溢れだし、香ばしい香りが鼻につく。貝の出汁にグツグツ揺れる貝の具が、ちょっとした悲鳴を上げると、野蛮な海の家のお兄さんが醤油をかけると、もう最高潮。潮の香りと醤油の香りでボクらは思わず唾を飲み込む。
そんな焼きはまは、もうあれから久しく食べていない。いや、最近流行りの磯焼き系居酒屋なら食べられるかもしれないが、そんなのは焼きはま本来の醍醐味ではない。シチュエーションが重要なのだ。
東京駅近くに、焼きはま専門の立ち飲みがあると聞いた。オイスターバーがあちこちに現れ、ムール貝でワインを飲むというスタイルも日本人には馴染みになってきた。いや、けれどやっぱ、はまぐりでしょ。そんな決意が感じられる。
店舗は小さく、10人も入れない。店の前まで来ると、ほらほら香ばしい匂いがする。店に入ってカウンターに陣取った。店のシステムが分からない。一人で切り盛りするお兄さんに話をきいた。まず、焼きはまが3個、お通しとして出してくれるという。これが450円。ビールはサッポロ黒ラベル。生が580円。瓶が680円。結構、高い。ビールに何故か「シンハー」がある。
まずは生ビールから。
店のお兄さんが網にはまぐりを3個置いた。ジリジリと炭火に焼かれ、しばらくすると一斉に口を開く。じゅわっとおつゆが溢れだし、香ばしい香りが鼻につく。貝の出汁にグツグツ揺れる貝の具が。
おぉ。これはまさしくあの海の家の焼きはまじゃないか。
開いた貝に洗濯挟みをつけ、熱々をかぶりつく。やっはな。うまい。あの時の焼きはまと比べれば、ずいぶん小さいがうまい。それをお兄さんに言うと、「大きいのもありますよ」と教えてくれた。
その「大はまぐり」は380円。プレーンか磯辺焼きかと訊ねられ、思わず「磯辺焼きで」と。海苔をまぶした焼きはまが出てきた。これこれ、九十九里で食べたのって、このくらいのサイズだったな。
はまぐりは蒸し焼きもできるらしく、そのトッピングにはトマトやパプリカ、海老の他、パクチーやら青パパイヤなんてものもある。何故か、タイのテイストが微妙に散りばめられているのだ。
あまりにも気になったので、お兄さんに訊ねると、以前、グループ会社にタイ料理店があるからと答えた。
「ボクも働いていたんです」と言った。
焼きはまとタイ食材という意外な組み合わせ。それはそれで悪くなさそう。
この気さくなお兄さん、御徒町に住んでいるらしく、御徒町界隈の店で話しが盛り上がった。この愉快なお兄さんも九十九里にある海の家を放物させてくれる。
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