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居酒屋放浪記NO.0007~鶴と亀が滑った~ 「鶴亀」(千代田区内神田)

2005-02-20 22:34:45 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
  2月上旬、まだ巷は寒々しい。JR神田駅北口を出て櫻井ビルディングを通り抜けると、まるで昭和に戻ったかのような飲み屋小路に出る。
  今日は「ホッピー研究会」の会合なのだ。「ホッピー研究会」とはいかなる会であるか。椎名誠氏、いわゆるシーナさんの「怪しい探検隊」風に説明すれば、「会員の何名かに肉体的金銭的余裕ができ、気圧配置も安定して、空を見上げたときの気分もなかなかよい。今日は全ての仕事を放擲して、ビールだ、ホッピーだ。とみんなでエイヤッという具合に日本のさまざまな居酒屋に出かけてしまう、というのを主な業務としている」会である。別にホッピーを飲み歩き、研究成果を発表する高尚なものではない。要はホッピーが置かれているような安くてうまく、決してお洒落に気取ったダイニングバーではない酒場でゆっくりと杯を傾けることを目的としているのである。正式な会員も私と会長の2名である。私の妻も2回ばかし出席したが、出席が足りないので準会員どまりとなっている。
  やたら説明が長くなったが、今日はその研究会なのだ。そこで今回は私のホームグラウンド(研究会はホーム&アウェー開催)、神田駅北口「鶴亀」を選択したわけである。
鶴亀は17時を過ぎると、すぐにおっさんたちでいっぱいの人気優良店である。今宵も会社のボードに営業先から直帰と書いた猛者どもで溢れかえっていたが、運よくすぐ入ることができた。入るなり、東京神田のチャキチャキ江戸っ子おっさんがくしゃみを連発しながら会計している。そういえば、今年の花粉の飛散は例年の20倍だとか。さすが流行に敏感な江戸っ子だ。ズボンのポケットから千円札を二枚突き出し、去って行った。宵越しの金は持たないらしい。
  さて、ビールだ。とにかく、ビール。いつでもどこでも「シーナさんシーナさん、オッホ」(EDWINのCMより)なのである。ビールをぐびっといき、カシラの焼きものをかじればもうご機嫌だ。いやあ、今日もビールがうまし!!僅か3秒でビールを秒殺すれば、次なる注文は酎ハイである。何故か、鶴亀の酎ハイにはメロンが添えられている。まるでカクテルグラスに付けられたフルーツのように。酎ハイ一杯250円。なんという庶民の味方であろうか。
  我々は次に焼きそばを注文した。実はサーファン麺という聞き慣れないものを頼もうとしたのだが、その勇気を出せず、無難な焼きそばにしてしまったのだ。しかし、よくよくメニューを見渡すと中華料理が結構用意されている。餃子や肉炒めなど、だ。会長曰く「ここは元々中華料理もやっていた、とみた」。「むむっ」とまたシーナさん風に唸り、なかなか鋭いことを言うな、と私も眉をひそめた。
  実はこの瞬間から私の記憶は薄れ始めるのである。気が付けばメロン付き酎ハイを相当飲んだらしい。いつしか、会長と私は店を出て、近所のラーメン屋「鶴の恩返し」で締めのラーメンを食べたようである。その後、どこをどのように帰ったか、定かではない。だが、鶴亀から鶴の恩返しとリレーした今宵は実に縁起のいい晩であったことは確かなようだ。

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