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BASEBALL馬鹿 BLOG

アラフォー草野球日誌 最終回

2009-12-02 13:30:59 | 草野球日誌
 我々のチームは完全に意気消沈していた。
 リーグ優勝を経験したチームとの練習試合。点差以上の実力の差に多くの選手が沈黙していた。
 
 ボクもそのうちのひとりだった。
 プレーのクオリティの高さもさることながら、相手チームは元気いっぱいにグラウンドを躍動していた。
 一方、我々のベンチはモノクロームの霧がかかったように淀んでいた。
 チームの明暗は一目瞭然だった。

 回の途中で、ボクの心の中で何かがプツリと切れた。
 プレーに気持ちが入らない。

 だが、何とかしたかった。少なくとも雰囲気だけでも。

 いつからだろうか、情熱が色あせてしまったのは。
 派手なプレーをしても、それはただのパフォーマンスになった。

 技術も体力もなかった痩せっぽっちのボクが、中学の野球部で歯を食いしばりながら信条としていたのが、「謙虚」「全力疾走」「情熱」のプレー。

 一体いつからだろうか。
 その情熱が色あせてしまったのは。

 この試合の最終回、ボクはなりふり構わず、セーフティバントを試みた。
 初球を1塁線に転がし、無我夢中で走った。そして、ボクは1塁キャンバスに向ってヘッドスライディングをした。

 先頭打者として塁に出て一矢を報いたい。
 もはや手も足も出ないというベンチの沈滞ムードを払拭させたい。
 確かに、そんな気持ちがあったことも事実だ。

 だが、本当は自分のためにしたような気がする。
 
 「まだボクは全力疾走できる」
 「まだボクの中に情熱は残っている」。
 走りながら、そう心の中で考えていた。

 しかし、ボクは塁に出ることはできなかった。
 口の中には、たくさんの砂が入ってきた。
 ボクはすぐさま起き上がって、走ってベンチに戻った。

 昨年の最終打席は本塁打。
 今季はセーフティバント失敗、そしてヘッドスライディング。
 好対照の最終打席だった。
 だが、本塁打を打った慢心と驕りが、今季の不振の全てだったのだということに1年かけてようやく気が付いた。

 「謙虚」に「全力疾走」、そして「情熱」のプレーを。
 来季はいい年にしたい。
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