いつでも入れるのに、つい入りそびれている店。そんなお店はないだろうか。そうこうしているうちに、その地に縁がなくなったり。或いはお店が閉業したり。そうならないよう、お店は行ける時に行った方がいい。
自分にとって新馬場にある「ランチハウス」は、そんな店だった。月に何度も店の前を通っているのに、いつも素通り。いや、「ランチハウス」だけじゃない。新馬場の居酒屋って、結局一度も行けてない。余程、縁がないのだな。
その「ランチハウス」は不思議な店だ。旧東海道にあり、ほか弁と立ち食いそば屋を経営する。ほか弁はともかく、駅から遠いのに、立ち食いそばというのが摩訶不思議だ。もしかして、この店は江戸時代から、この旧東海道が賑わっている頃から、立ち食いそば屋だったのではないかと、そう思わせるのである。
その「ランチハウス」も、いつかお店がなくなってしまうのではと思い、急遽行ってみることにした。
店内は薄暗く、およそ活気がない。先客がいたが、食べ終わったとみるや、すぐさま出ていった。自分は厨房に向かって、「イカ天そば」をオーダーした。ほか弁と同一の店舗だが、両店は壁によって仕切られ、形式上は別の店舗になっている。
そばはすぐさま出てきた。
黒いそばつゆ。品川のそばはつゆが黒い。そばはゆで麺。イカ天は作り置き。いや、当然だ。さっと作れて、さっと食べられる。それこそが、立ち食いそばの醍醐味。この旧東海道だからこそ、情緒に訴えかけられるそばのお出汁。
うまいな。
つゆは見た目よりも辛くなく、程よい旨みが口に中に広がる。
自分が食べ終わる頃合いに、また客が来店した。もしかすると、お店は完全入れ替制だったりして。
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