小樽の兄貴、みーさんが東京に来て、ボクらはすかさず朝8時45分に赤羽駅で待ち合わせをした。
向かう場所はあそこである。
いやもう、あそこしかない。
「まるます家」。
開店を待つ客の列に並び、開店とともに店内になだれこみ、ボクらは着席した。
みーさんと一緒に「まるます家」に入ったのは、もう何回目だろうか。
多分もう、3回は来たな。
この「居酒屋さすらい」に「まるます家」が載るのが、これで4回目。最多掲載回数は「おいどん」に並んだことになる。
着席して、すかさず頼んだのが、「ジャン酎」、「モヒート」、「たぬき豆腐」。
もうすっかり、最近はこれが定番ですな。
確か、みーさんと初めて「まるます家」に来たとき、ボクはまだ「まるます家」に1回しか入ったことがなくて・・・。
ということは、ボクもほとんど「まるます家」ビギナーだったもんだから、すっかりうろたえちゃって。
それが、来店回数とともに、少しずつお店のリズムにも慣れて、頼み方の呼吸も分かってきた。
人間にとって、経験に勝る学習はないなとやはり思うのである。
「まるます家」の店内の喧騒は心地よい。大声で騒ぐ者はいないし、かといって適度な話し声が小さな波のように店内を包む。そこに、お店のお姉さんのまるで合いの手のような声が響き渡る。
やっぱ、酒場っていいよな。
随分前に、居酒屋の雰囲気は店員と客の相互作用だというようなことを書いた。
「まるます家」に入るとつくづく思う。
この独特の空気は、店員と客によって作られていることを実感する。それは店員と客との距離感も関係しているだろう。つかず離れず。そして、店員の作り出すリズム。このテンポが客に伝わり、独特の波を作り出す。
これをボクは度々、グルーヴという言葉で表現するが、まさに「まるます家」はグルーヴ感たっぷりの店なのだ。
サッと飲んで、サッと帰る。ながっ尻はしないという暗黙の了解。これはそのリズム感の賜物だろう。
さて、みーさんと「たぬき豆腐」をつつきながら、モヒートの「ジャン酎」をくいくいと傾けて、ボクらはすっかりご機嫌だ。
そんなとき、みーさんが、思いがけない提案をした。
「うなぎの白焼きたのもうか」。
「え?」
ボクは耳を疑った。
「まるます家」でも最高級のひとつである「うなぎの白焼き」。
それひとつで立ち飲みに2回はいけるだろうと思われる上級メニューを頼んでいいものか。
ボクが返答に困っていると、みーさんは勝手に「白焼き」を頼んでしまった。
ふっくらと焼きあがったうなぎを軽く箸でつまむと、ほろりと身がほぐれた。
柔らかい。
すぐさま口に運ぶと、とてもふっくらとした味が口いっぱいに広がる。うまいっすよ。
みーさん、ほんとにうまいっすよ。
たまんねーっすよ。みーさん。
けれど、がぶりと食べられない貧乏性のボク。ちびちびと少しずつ食べた。
ふと思ったのが、「うなぎ」は「モヒート」には合わない。ふっくらとした味がミントで流されてしまう。ふっくらにはふっくらで対向せねばならず、ここはお酒がベストだろうと思った。
結局、今回のお代は、全てみーさんが支払ってくれた。
みーさん、ありがとうございました。
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