久しぶりの水曜日の半休。今日の午後はどこに行こうか、決めていた。
「新潟屋」。
自分的に東十条ナンバーワン酒場だと位置付けている「新潟屋」だが、満を持して開店の15時半に合わせて出掛けてみると、お店の前に長蛇の列。まだ、開いてないのだ。どうすっかなー。一瞬悩んだが、とりあえず自分も並んだ。しかし、せっかく並んでも席が確保できるか分からない。一体どこまでが座れる範囲なのかの知識がないのだ。先頭から数えると自分は20番目くらいで、しかもしばらく自分の後ろに人が並ばなかった。
不安だ。
常連さんは多分知っているだろう。何番目以降は座れないと。自分の後ろに誰も並ばないということは、その自分以降が当落線上にいるのではと思った。だが、その15分後、一人後続が並ぶと、少しずつ列が長くなっていった。
結局お店が開いたのが16時過ぎ。30分以上も並んだことになる。自分は席にありつけたが、並んでいる人の中には座れなかった人も何人かいた。
さて、どういうオープニングなのかなと興味深く見ていると、着席した人からてんでばらばらに注文をし始めた。一応、ママが一人ひとりに水を向けてくれるから、頼みっぱぐれることはないが、ちょっと意外だった。立石方式のように端の席から順々にオーダーを聞いていく方が効率的だと思うのだが、ここでは昔からそうやっているのだろう。
まずは、「ボール」(300円)をオーダーした。
本当はこの時点で焼きものを注文するのが最善なのだが、ママが忙しそうで「ちょっと待ってね」という声を他のお客さんにしているのを見て、とりあえずやめておいた。だが、この遠慮が命取りになる。
ママは常に忙しく、切れ目なく右に左に動いている。自分の左の御仁は常連さんらしいが、その彼もなかなかオーダーできない。
「す、」
隣の御仁から出た言葉は、一瞬のうちに引っ込められた。タイミングが合わなかったのだろう。
自分の右隣の方から、「ママ、煮込み頂戴」という声がかかった。そのタイミングを逃してはならない。
「ママ、こっちも煮込みね」
とそのオーダーに被せた。
ふぅ、ようやくつまみにありつけた。
しかし、肝心の焼きものが頼めていない。焼きものは早い段階で頼まなければどんどん遅くなる。だが、なかなかいいタイミングが訪れない。しかし、カウンター中央に陣取る常連さん方は軽快に、そして難なくオーダーしている。そのオーダーにママが対応するものだから、ますますタイミングが遠ざかる。常連さんを頂点とするヒエラルキーはこうしたところにも表れているのだ。
そうするうちに「ボール」が空になり、今度はおかわりのオーダーに腐心することになる。そうこうしているうちになんだか面倒になってきた。オーダーの心配をするなんて、全く楽しくないし、そもそも不自由だ。そんな自分に気が付いたのか、ママが「おかわり?」 と聞いてきた。
とりあえず、もう1杯だけ飲んで帰るか。もう焼きものは諦めよう。
「新潟屋」はいい店だが、どうにも自分にこの間合いは合わない。さて、これから水曜日の午後はどこへ行こうか。
とりあえず、お腹が満たされていない。腹いっぱい食べられて、気兼ねしないお店へ行こうとするか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます