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読書日記 2013- 10 「霊長類のこころ 適応戦略としての認知発達と進化」

2013-10-10 15:32:18 | 読書日記

夏休みを利用して、様々な本に出会った。

「哲学入門」(三木清)を読み終え、「沈まぬ太陽」(山崎豊子)を読破、「絵本の本」(中村柾子)を1日で読了。そうして出会ったのが表題の本。
これが実に面白かった。

霊長類の心理を通して認知システムとその発達を紐解いていく種々の研究を集め、分析をしていくという試みだ。先行研究について、知る上では、現在地を起点にして考えていく方が分かりやすいし、興味を持って覚えられる。

この本を読んで、人間や生物は環境と相互作用する生態的な戦略で認知やそれに伴う動作を行っていることを強くリアルに感じ取った。

しかしながら、文末で著者は、人間の心と霊長類のそれをあたかもトレースするように比べて、その進化と発達を見ることはできないとしている。どこで人と猿の進化の分岐点があったのだろうか、という問は有意味なものではなく、既に霊長類の心とその認知システムは全く別のものとなっており、そこから人間の認知システムを探索することはできないと位置付けた。

それが果たして正しい解なのかは分からない。だが、適応する上で発達をさせている心と体であるならば、既に環境は過去に遡れる訳がなく、あくまでも今の環境の状態のものしか測れないのである。

ともあれ、この本は自分にとってひとつの羅針盤となった。手元に置いておきたい1冊である。

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