中国故事【荀子】から引く。
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むかしの人は己の身を修め徳を高めるために学問をした。
だが、いまの人は学んだことを他人に教えるために学問をしている。
つまり、君子の学は自分を立派にするためなのに反し、小人の学は生活の糧とするためである。
だから、問われないことまで教える、これを喧噪という。
一つを訊ねられたら二つを答える、これを多言という。
君子は問われないことは答えず、一つを訊ねられたら打てば響くように一つだけ答えるものである。
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人間、だれしも自分だけが知っていることを「これは秘密だが・・」と、前置きして、
他人にささやくときに感じる優越感は、相手の驚きぶりによって、ますます増大する。
耳から入ったものを口に出す。
耳と口の間はわずか四寸、その四寸だけ身に留まっていたことになる。
だから、これを『口耳(こうじ)の学』と呼ぶのだそうな。