過日のNHK-BS『昭和政治の舞台裏』は、大変面白かった。
【渡辺恒雄氏】
読売新聞のトップ、通称:ナベツネ氏の独占インタビューから。
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ナベツネ氏は、若かりし頃の記者時代、政治家・大野伴睦に取り入っていた。
当時、大野は党の副総裁であり、岸信介総理から次期総裁の禅譲を約束する密約書を貰っていた。
ナベツネ氏は、その現物を直接、大野から見せられ、カメラにも収めていた。
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総裁選が近づくと大野派の面々は、当然ながら大野総理の誕生を確信。
ところが、岸は密約を反故にして池田隼人へ乗り換える。
総裁選の結果は、池田総理の誕生となり大野は敗れた。
大野は子分たち取り巻き連中を誰も寄せ付けず、ナベツネ氏1人を側に呼んで泣いた。
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池田隼人と大平正芳とは、同じ派閥の盟友だと世間は見ていた。
改定安保後の難しい政局の舵取りを、池田総理と大平外相のコンビで担った。
特に、日韓国交回復交渉には、ナベツネ氏も大平外相に取り入って奔走する。
有償・無償、計5億ドルの金額をスクープしたのは、読売新聞だった。
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交渉は大平らの苦労で、どうにか纏まろうとするが、池田総理が首をタテに振らない。
大平は「ナンバーワンはナンバーツゥーを嫌うものだ」と、ナベツネ氏に呟いた。
池田の後は、佐藤栄作が総理になった。
大平総理が誕生するのは、佐藤の後、田中角栄⇒三木武夫⇒福田赳夫の後だった。
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昭和の派閥政治の裏側や闇の部分を、懐かしく垣間見せてもらった。
当時は官僚主導とも言われたから、今のような官邸主導では無かった。
従って、総理への忖度や国有財産の安売り、公文書の改ざんも無かった。