九品人の落書帖

写真をまじえ、身の回りで見聞きしたことを、つれづれなるままに!

口耳の学

2020年06月30日 | 書籍

 中国故事【荀子】から引く。

                    ■

 むかしの人は己の身を修め徳を高めるために学問をした。

 だが、いまの人は学んだことを他人に教えるために学問をしている。

 つまり、君子の学は自分を立派にするためなのに反し、小人の学は生活の糧とするためである。

 だから、問われないことまで教える、これを喧噪という。

 一つを訊ねられたら二つを答える、これを多言という。

 君子は問われないことは答えず、一つを訊ねられたら打てば響くように一つだけ答えるものである。

                    ■

 人間、だれしも自分だけが知っていることを「これは秘密だが・・」と、前置きして、

 他人にささやくときに感じる優越感は、相手の驚きぶりによって、ますます増大する。

 耳から入ったものを口に出す。

 耳と口の間はわずか四寸、その四寸だけ身に留まっていたことになる。

 だから、これを『口耳(こうじ)の学』と呼ぶのだそうな。

 

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