部屋から海を眺めていると突然目の前に大きな船が。ラナイ(ベランダ)の真下は岩礁だが、そこから数十メートル先までの水深は人の背丈ほど。しかし、その先は水路になっていてコンテナーを積んだ運搬船が時折出入りする。このコンテナーの中にヒロの町に住む人々の生活物資が積まれているという。
ヒロはのんびりとしていて静かな町だ。人は穏やかで親切で、人懐っこく気楽に話しかけてくる。タクシーの運転手なんかはその最たるものでよく喋る。そして彼らが口にする言葉が「Sleepy Town」。ヒロはそんな町だと言う。そういえば確かにそんな感じがする。とりわけうす曇りの空をとりとめもなくぼんやりと眺めていると…。しかし、この「Sleepy」なところがいい。ほんとうに心の休まる町だ。
ハワイ島にはいろいろな呼び名がある。その一つが「レインボーアイランド」。ヒロは午後になると一時(いっとき)雨が降る。雨は、如雨露(じょうろ)から降り注いだ水のように、静かで優しさのある柔らかな雨。それだけに雨にあたる感触は気持ちがいい。実際こっちの人たちはあまり傘をささない。それくらい傘をさすのがもったいないような感じにさせられるヒロの雨である。雨は10分もするとあがり、雲が切れ、陽が射しはじめる。と、同時に必ずどこかに虹がたつ。虹も一瞬で、数分間のうちに消えることが多い。
しかし、目の前に半円の大きな虹が現れるとちょっと不思議な感じにとらわれる。
しかし、目の前に半円の大きな虹が現れるとちょっと不思議な感じにとらわれる。