このほど厚労省のワクチン副反応検討部会より「3回目交互接種した人の、1か月後の副反応結果」が報告された、と朝刊の一面にあった。
記事のタイトルは「モデルナで高い抗体価」とあり、主に医療従事者のそれを調べたものであろう。要するに、ファイザー製ワクチンを2回打って、3回目にモデルナ製を交互接種した人の方が、3回ともファイザー製を接種した人より、抗体価の上昇率が顕著であったということ。ただし、副反応に関しては、モデルナ製の方が多く出る傾向が分かった。
記事によれば、要点はこうだ。
●ファイザー製を2回接種した医療従事者約630人のスパイクタンパク質抗体価を測定し、3回目に同じファイザー製を打った人とモデルナ製接種者をグループ分けした。
●2回目接種後の平均抗体価は、ファイザー製グループは1ml当たり374ユニット、モデルナ製は約444ユニットであった。
●3回目の接種1か月後では、ファイザー製は約20,000ユニット、モデルナ製は約30,000ユニットとなり、大きな差がでた。
●それぞれの倍率を比較すると、ファイザー製グループは54倍、モデルナ製のそれは68倍であった。
(なお、接種前の平均抗体価は高年齢ほど低かったが、3回接種後の平均抗体価に年齢差はなかったとのこと。高齢者の上昇率は、ファイザー、モデルナともに100倍以上で、高齢者でも3回目を打てば、1か月後には若年層と同等の平均抗体価を得ることができるとあった。)
●副反応に関しては全般的にモデルナの頻度が高く、38度以上の発熱は、ファイザー製で20%、モデルナ製では50%という結果が出た。
「オミクロン株に対しても、モデルナ製の方が効果は高いと推測できるが、どちらを選ぶかは効果への期待と副反応とのバランスの問題だ」という識者の意見を載せていた。記事は東京新聞の沢田千秋という女性記者で、長らくロンドン支局長を務めた人だ。最近、日本にもどったのだろうか、氏の記事は取材、纏め方に優れ、客観性を重視している。ま、記者として当たり前だが・・。
▲モデルナ接種に関して、なぜ投与量が半量なのか? その医学的根拠の説明がない、残念だ。
さて、これらの結果は、まさに小生の予想通りであり、発熱などの副反応もまったく経験しなかった。多少、体がだるかったりしたが、接種当日は体温が35度台になって変な心配をした。翌日はほとんど通常の状態になり、してやったりと、この結果を誰かに自慢したい、この優越感を密かに味わいたいなぞと、いやらしい人格へと変調をきたしたほどだ。
そんな症候は、SNS欄のコメント記入に出てしまった。たまにコメントを書き込む、馴染みのユーチューバーさんがいる。彼がアップした動画に対して、トリビア的情報をわざわざ書き込む。「小生はこんなことも知っていますよ」だなんていう、大きなお世話なミニ知識をひけらかした。まことにもって、老人がよくやりがちな自慢話なのだ。
やはり一人で家に引き籠っているせいなのか、誰かしらの同意、承認をえることに飢えているのかもしれない。ふだんなら居酒屋あたりで、亭主や顔見知りの客に世間話をしながら、この手の話は気軽にできる。なにも知っていることを大袈裟に自慢したいとは思わない。過去の栄光なぞ、これっぽっちもない。
日本のバレンタイン・デーが、メリーチョコレートという会社が売上アップを画策して、年に1回に女子から告白OKのストーリー型イベントを企画した。それが全国に普及して、世界でも特異なバレンタインの風習が生まれた。恵方巻きにしても、関西の海苔卸業者が海苔売上アップを狙った、風水占いによる運気アップ型イベントが、これまた全国に普及した。日本人はこうしたまつり方(祭り・祀り)のイベントには抵抗なく乗りやすい。こんなことを、わざわざ知りたくもない若者に教えて何になるというのだろう。
これをもって、この手の言動を私事ながら「老人性優越感症候群」とした。
いや、いい方向にもはたらく場合もある。赤ちゃんを前で抱き、3歳ほどの女の子の手をとり、右手で荷物を積んだベビーカーを押しているママを見かけた。それもけっこう急な坂道を登っている。こんな危なかっしい光景をみたら、助けないわけにはいかない。
で、小生率先して、ベビーカーを押してあげ、坂の上で母子3人を待った。「ほんとにありがとね」と、女の子が可愛い声でねぎらってくれるじゃないか。3歳ほどの女の子から褒められて、こちとら有頂天。もちろんママからも感謝の言葉をいただく。誰が見ているわけでもなかったが、恥ずかしき優越感がふつふつと湧きあがるのを感じた次第。
なんていう厭ったらしい老人になったのだと、これまた余分な自戒意識のダダ洩れ。いやあー長生きすると、こんな複雑な感情・意識に悩むことになるのか、と。
考えてみれば、3回目にモデルナを選択したのは、それ以前に欧米のデータや報告を知っていただけに過ぎない。独自の知識で推測し、その結果を予想したわけじゃない。だから、自分流に優越感を味わうこと自体がおかしいのだ。この記事、恥ずかしくなって生きていけなくなる前に、改ざんもしくは隠ぺい、消去するかもしれない。予めお断りしておく。
追記:オミクロン株に関して、感染後の症状は比較的に軽いというのが、一般的に認知されている。しかし、高齢者の死者数は意外にも増えつつある。ワクチン未接種者の死亡が多いという情報であるが、それはアメリカと同じであり、いまだに一週間の死者は3,4千人ほどのペースとなっている。
日本ではまた、4,50年代の中等症の患者が、重症化する前にいきなり死亡する例が頻発しているそうだ。やはりワクチン未接種らしいのだが、ウィルスに対する抗体価を高めることは、絶対に無駄にはならない。もちろん、アレルギー等の問題がある人は避けるのが当たり前だが、一般のひとは副反応を怖がり過ぎてはいないだろうか。発熱やだるさは、そのものが免疫反応であり、健全な体であることの証明だ。