小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

賢太と慎太郎①

2022年02月13日 | エッセイ・コラム
  西村賢太氏の作品の魅力はその人生の公理といおうか虚構といおうか、人々が実は密かに心得、怯え、予期もしている人生の底辺を開けっぴろげに開いて曝けだし、そこで呻吟しながらも実はしたたかに生きている人間を自分になぞらえて描いている。それこそが彼の作品のえもいえぬ力であり魅力なのだ。私小説は日本独特の領域ともいわれるが、私はそうは思わない。優れた作家は誰しもがどの作品の中でも己の一部を . . . 本文を読む