小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月27日(水)より転載】
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若芽32(11/27)
全校児童の合奏のあと、「たなばたさま」「お月さまの願い」の合唱が続いた。声もそろい、元気で見事な合唱であった。司会役の女子児童も、よどみなく、堂々としていた。
開校から、わずか三カ月だが、児童の大きな成長を感じさせた。
次いで、校長の新木高志の話が終わると、山本伸一は、児童たちに提案した。
「せっかくの機会だから、全員で、校長先生をはじめ、先生方に、『ありがとうございます』と言おうよ。先生たちは、いつも、みんなが帰ったあとも、後片付けをし、みんなのことを心配してくださっているんだよ」
司会の女子児童が頷いて、台に上がって音頭を取り、「先生方、ありがとうございます!」と言った。しかし、児童たちからは、あまり声があがらなかった。皆、気恥ずかしそうな顔をしていた。
「こういう時は、恥ずかしくても元気な声で言うんだよ。あいさつも、お礼の言葉も、口にするには勇気がいるんです。
しかし、言わなければ、感謝の思いは伝わりません。また、言ってしまえば、恥ずかしさはなくなるよ。では、もう一度!」
伸一に促されて、子どもたちは、大きな声で言った。
「先生方、ありがとうございます!」
「よくできました。立派なものです。
お父さんやお母さん、また、お世話になった人には、必ずお礼を言うことが大事です。それが人の道なんです」
創立者自らが、一生懸命に子どもを躾ける姿に、教員たちは感動を覚えた。
伸一は、児童たちに尋ねた。
「このなかで、お母さんが病気の人は?」
何人かの手があがった。
「お母さんが病気だと、いろいろお手伝いもしなければならないし、大変でしょう。でも、その時、お母さんが、“うちの子は、しっかりしているな。立派に育っているな”と思い、安心してもらうことができれば、それが、何よりの恩返しになるんです」
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