和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

勇将39・小説「新 ・人間革命」

2013年03月29日 05時42分53秒 | 今日の俳句
      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)3月29日(金)より転載】



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勇将39(3/29)

 山本伸一が参加者に視線を注ぐと、和服を着た一人の老婦人が、「先生!」と言って、イスから立ち上がった。

 伸一は、笑顔を向けた。

 「やあ、しばらくです! お元気そうでよかった!」

 「私のことを、覚えておいでなのですか」

 「もちろんです。お題目を送ってきました」

 「まあ……」

 老婦人は、目を潤ませた。彼女は、一九七二年(昭和四十七年)六月に行われた香川の記念撮影会の折、病床に伏す子息のことで思い悩み、伸一に質問したのである。

 「私の息子が重い腎臓病で入院しており、明日をも知れぬ状態です。息子は、本当に元気になるでしょうか」

 伸一は、確信をもって答えた。

 「大丈夫です。何があっても、幸福になれるのが仏法です。御本尊を信じて、懸命に、ひたぶるに祈り抜いていくんです。私も祈ります。題目を送ります。

 お母さんも、決して負けずに、強盛に信心に励んで、必ず幸せになるんですよ。また、いつか、お会いしましょう」

 そして、この老婦人の手を、強く握り締めたのである。

 以来、五年半の歳月が流れていた。

 老婦人は、ほおを紅潮させて語った。

 「あの日、先生は『大丈夫』とおっしゃってくださいました。先生の激励のおかげで、私は希望をもって立ち上がることができました。息子は人工透析を続けていますが、男子部の大ブロック長(現在の地区リーダー)をしており、今日も一緒に参加しています」

 老婦人が言うと、近くにいた青年と、老紳士が立った。彼女の子息と夫である。

 「それは、よかった。私への最高の贈り物です。私にとっては、皆さんが幸せになることほど、嬉しいものはないんです」

 わが命のある限り、蘇生のための光を送り続けよう――常に伸一は、そう心に決めていた。そこにこそ、最高の歓喜の大道がある。

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