小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月26日(火)より転載】
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若芽31(11/26)
マルチパーパスルームでは、「七夕のつどい」のリハーサルが行われようとしていた。
山本伸一は、会場に入ると、整列していた児童の前に行き、前列の子どもたちと握手を交わしながら、「今日は、ありがとう!」「久しぶりだね」と言葉をかけた。
伸一が、用意されていた席に着いた。三年生を代表して男子児童が歓迎の言葉を述べたあと、女子児童二人が作文を発表した。
一年生の代表は、「私の夢」と題して美しい花の世界の感動を語り、二年生代表は、「私の願い」と題して読書の喜びを述べた。そこには、学校生活の楽しさが滲み出ていた。
「よかった! 学校が好きなんだね」
伸一は、嬉しかった。学校教育の成否は、子どもに、“学校を好きになってもらえるかどうか”から始まるといってよい。
何事も、好きになることから、挑戦への意欲が生まれ、勝利へのエネルギーが湧く。
それから、全校児童による「きらきらぼし」の合奏となった。ピアノ、オルガン、アコーディオン、木琴、ハーモニカ、リコーダー、カスタネット、トライアングルなどを使っての演奏である。
「うまいなー。すばらしい!」
伸一は、大きな拍手をしながら、会場の一隅で、一生懸命にトライアングルを演奏していた四人の児童に声をかけた。
「トライアングルの人、前へいらっしゃい」
四人が前に来た。彼は、「いい音だったよ。よく響いていた。どうやって打てばいいんだい」と言いながら、児童の持っていたトライアングルを借りて、何度か打った。
「これでいいのかい。力は、どのぐらい入れるの? トライアングルは、易しいように見えても難しいね。今日は、隅の方で演奏していたけれど、合奏では大事な楽器だよ。だから、オルガンの人や、ほかの楽器の人と比べて、寂しい思いをする必要はないんだよ」
伸一は、どんな役割であれ、自分の役割の重要性を自覚し、全力を注いでいくことの大切さを、訴えたかったのである。
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