小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)8月1日(水)より転載】
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厚田40(8/1)
山本伸一は、静かだが、力のこもった口調で語り始めた。
「もし、皆さんが、仏法について、本当にお聞きになりたいのなら、お話しさせていただきます。
まず、私の話を最後までお聞きください。
仏法の概要について述べたあと、質問もお受けし、懇談いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですね」
皆、呆気に取られたような顔で頷いた。
伸一は、自分の入会の動機から話を起こして、人間は、信じる対象によって、大きな影響を受けていることを語った。
そして、宗教とは根本となる教えであり、宗教のいかんが人間の生き方、考え方を決定づけるだけでなく、文化、社会の根底をなすことを訴えていった。
さらに「日蓮大聖人の仏法とは何か」に言及した時、教員の一人が口を挟んだ。
「日蓮は、仏教のなかでは異端なんじゃないかね」
別の教員が、勢いづいて叫んだ。
「日蓮は、排他的なんだよ。
宗教間の争いを生む、危険思想じゃないか!」
伸一は、それを手で制しながら言った。
「私の話を、最後まで聞いてくださると約束されたではないですか! これでは、まともな語らいはできません。
今日は、これで終了とします。
解散しましょう。
しかし、本当に話をお聞きになりたいのでしたら、また、いらしてください」
教員たちは、中傷的な言辞を吐きながら、席を蹴るようにして帰っていった。
また、石崎聖子が連れてきた、三、四人の婦人たちも、あいさつも早々に出て行った。
聖子は、夫と共に、伸一を別室に案内すると、ひたすら詫びた。
「山本室長、こんな座談会になってしまって、本当に申し訳ありません!」
伸一は、さわやかな笑みを浮かべた。
「広宣流布の戦いには、いろいろなことがあるものです。
たくさんの経験、歴史を積んでいくことが大事なんです。
今日は、忘れ得ぬ座談会の思い出ができたではないですか」
・'☆。.:*:...:*★:・'゜:*:・'゜*;・'゜★
【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)8月1日(水)より転載】
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厚田40(8/1)
山本伸一は、静かだが、力のこもった口調で語り始めた。
「もし、皆さんが、仏法について、本当にお聞きになりたいのなら、お話しさせていただきます。
まず、私の話を最後までお聞きください。
仏法の概要について述べたあと、質問もお受けし、懇談いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいですね」
皆、呆気に取られたような顔で頷いた。
伸一は、自分の入会の動機から話を起こして、人間は、信じる対象によって、大きな影響を受けていることを語った。
そして、宗教とは根本となる教えであり、宗教のいかんが人間の生き方、考え方を決定づけるだけでなく、文化、社会の根底をなすことを訴えていった。
さらに「日蓮大聖人の仏法とは何か」に言及した時、教員の一人が口を挟んだ。
「日蓮は、仏教のなかでは異端なんじゃないかね」
別の教員が、勢いづいて叫んだ。
「日蓮は、排他的なんだよ。
宗教間の争いを生む、危険思想じゃないか!」
伸一は、それを手で制しながら言った。
「私の話を、最後まで聞いてくださると約束されたではないですか! これでは、まともな語らいはできません。
今日は、これで終了とします。
解散しましょう。
しかし、本当に話をお聞きになりたいのでしたら、また、いらしてください」
教員たちは、中傷的な言辞を吐きながら、席を蹴るようにして帰っていった。
また、石崎聖子が連れてきた、三、四人の婦人たちも、あいさつも早々に出て行った。
聖子は、夫と共に、伸一を別室に案内すると、ひたすら詫びた。
「山本室長、こんな座談会になってしまって、本当に申し訳ありません!」
伸一は、さわやかな笑みを浮かべた。
「広宣流布の戦いには、いろいろなことがあるものです。
たくさんの経験、歴史を積んでいくことが大事なんです。
今日は、忘れ得ぬ座談会の思い出ができたではないですか」
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