和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

同志の顔を思い「負けられねぇ」/名字の言

2012年10月27日 06時45分06秒 | 今日の俳句
     名字の言

【聖教新聞・2012年 (平成24年)10月27日(土)より転載】


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(10/27)
 74歳の壮年は胃がんを患い、5月に全摘出の手術を受けた。
退院後、一人暮らしをしながら、食事も身の回りのことも全て自分でこなしてきた。
そんな矢先、がん転移の疑いがあるとの診断。
「負けられないと題目もあげてきたけど、さすがに心が折れるな」。
気骨の老将も肩を落とした



だが翌週に伺うと、再戦は始まっていた。
先輩幹部から「もう一回、日々の唱題の目標を決めて、挑戦しましょう」と激励を受け、奮い立ったのだ。
仏壇の横には新たに貼られた大きな唱題表。
すでに一部が赤く塗られていた



詩人の川崎洋氏が命の営みを綴った詩にこうある。
「心臓から送り出された新鮮な血液は/十数秒で全身をめぐる/わたしはさっきのわたしではない/そしてあなたも/わたしたちはいつも新しい」(『海があるということは』理論社)



壮年は苦しくなると、施設で療養中の3歳年長の妻と、支えてくれる同志の顔を思い、「負けらんねぇ」と歯を食いしばる。
そして一日の目標の唱題をやり切ると、「きょうも勝たせていただき、ありがとうございました」。
生きる喜びを噛み締める



生命は常に前向きだ。
前述の詩は呼び掛ける。
「いつも いつも/新しいいのちを生きよう/いま始まる新しいいま」          
  (進)



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