岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

両親を看て、学んだこと。

2015-02-20 06:34:33 | ケアラーのために
人はどのように老いて行くのか、教えてもらいました。
今の両親の様子は25年後の私の様子です。
いや、私が大きな病気にかからず、まずまず健康に長生きできての話です。
もっと早くこの世から出て行っている可能性が大きいでしょう。

この7年間、家族を離れ単身で実家で暮らしているわけですから、両親がどのように老いていったのか、
嫌でも見てきました。
人は年相応に老います。
個人差があるといってもたいした差ではないと感じています。

正直に年相応に老いていきます。
父とは母は4歳違いですが、母は父の4年遅れて老いていっています。

さまざまな予防法があるのですがよくて数年の老いの先延ばしでしょう。
夢も希望のないように思われるかもしれませんが、自然の摂理はそうは変わりません。
ただ生活の充実、生活の質という面での効果は大いにあると思います。
これも大切なことです。

父との7年は、心身ともに人がどのように老いて行くのか、教えてくれました。
認知症は老いを早めると聞きますが7年は短くない時間です。

高齢者福祉を職としてきたものとしては、学ぶことが多かったといえます。
身をもって教えてくれたことになります。
その意味でお互いに意味があったことだと思います。

母親に関しては、かなり特別な要素がありますので、文章にして公開はしにくいです。
介護をする側にとって難易度が高いです。
それは精神的な面です。
精神は体調に影響を及ぼします。
精神は他者にも影響を及ぼします。
こちらもずいぶんと悩みながら過ごしてきました。
父の介護は他者に任せられます。
母の場合はそれが難しい。

複数の人を介護することを多重介護とNHKが命名したらしいのですが、多重債務をイメージしてしまいますね。
それはともかく、多重介護は負担のレベルがぐーんと上がるように思います。

ホームに入ってからも同様でした。
訪問時に違う階に居る二人を毎回同時に看るということは、とても負担が重いのです。
一人でも十分疲れてしまいます。
気力が持ちません。
父の部屋を訪問する機会が少なかったのは申し訳ないのですが、こちらにもやはり限界があります。
これ以上無理はできません。

私は政府が進めている地域包括システムは絵に描いた餅だと思っています。
少子高齢社会は地域で要介護者を支えるための人材は不足していますし、
在宅での家族介護も現実的に無理になります。

ホームは今以上に必要なります。
そのような社会構造になっているのです。
ところが、国は高齢者福祉への熱意を失っています。
介護報酬の減額など行えば、現場が疲弊することは明らかです。

これからの数十年を地域包括システムで乗り切ろうというのは不可能です。
私には楽観論としか思えません。
逆に、今まで以上に高齢者福祉に力を注ぐことが求められているのです。
今の政府・厚労省の考えではお年寄りと介護者は支えられません。


お年寄りに敬意を払わない社会こそ「道徳」崩壊社会です。

愛国心が道徳の要だと思っている指導者こそ、「道徳」が崩壊していると思います。

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