岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

施設入所を決断する時期

2009-09-25 21:38:11 | 社会福祉士
かつて講義を受けた施設長からの言葉。
「施設入所を考えるならできるだけはやい方がいい。私は60代で決めようと思う」

えー60代ですか!
かなり驚いたことを思い出します。
今でも言葉を聞いた場面を忘れません。

その後、職務でそのような施設入所に立ち会うことも多いのですが、60代の決断という意味が
よくわかりました。

それは自分が決断するという意味です。
一般的に70代の後半以降、特に80代になると自分で決断することが困難になってきます。
子どもたちが、深くかかわってきて、自分の思い通りにならないこともありますし、
ご本人も、施設を選ぶということができにくくなります。
体力的、気力的に難しいのです。

現在、在宅暮らしをしていて動けなくなり緊急入院したが、もう在宅での暮らしは
難しいという方を2名担当しています。
このようなことになると、自分では選択し決断することがかなり難しい。
周りの人が道筋を立てざるをえない。
自宅の荷物の整理もままならないということになります。

親族に早々と有料老人ホームに入っている方がいますが、当時はその決断に驚いたものですが、
今その賢明さが理解できました。

決断できる時期に決断するということに挑戦することが必要ではないだろうか。

切羽詰まって施設入所したが「納得できない」という気持を持つのは、ご本人の場合もあれば
自宅に残った家族の場合もあります。

夫を入所させた奥様の気持も痛いほどわかります。
自分ではできない介護だが、施設の介護も納得できないと悩んでいます。

これは施設の問題以上に妻の後ろめたさかもしれません。

このように自己決定ではないことの困難さは本人や家族について回ります。

そこで、60代の決断となるわけです。

まことに厳しいのは老いの坂道です。

※船から見る伊根の家々。

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