
いやー、圧倒されました。
前日に続いてテレンス・マリック監督作品を観ました。
デビュー作『バッドランズ』から5年後1978年に制作されています。
前作と続けて観ることでこの監督の計り知れない「意図」の片りんを知ることができると思います。
また、監督が畏敬する先人に黒沢明氏や溝口健二氏があげられていることが理解できます。
彼らの映画に米国の映画人はどのように応えるか。
テレンス・マリック氏は、この2作で見せてくれたように思います。
『天国の日々』は1910年代の米国第2の都市シカゴと南部テキサスの農場を舞台に設定しています。
主人公のビル(リチャード・ギア)は製鉄所の火夫として働いています。
炉の中の火は、業火のようでもあります。
監督者は労働者を人と思わないような態度で接しています。奴隷扱いに近いです。
耐えていたビルの怒りがついに爆発し監督者を殴打してしまいます。
動かなくなったので怖くなり家に逃げ帰ります。
恋人と妹を連れて、はるか南のテキサスを目指します。
まさにホーボーです。貨物車の屋根に乗って移動していきます。
テキサスでは、麦の刈り入れ季節に当たり、人手はいくらでも欲しいのです。
しかし、労働の仕組みは同じです。
オーナーがいて監督者が現場を管理し、夜明けから日没まで容赦ない労働です。
刈り入れの季節を過ぎれば、他の地域に映っていきます。最下層の人々の生活です。
この過酷な労働環境ですが、大自然が息をのむほど美しいのです。
特に夕暮れ時のわずか30分ほどのみに現れる幻想的な光芒を撮るための撮影が連日行われたのです。
撮影現場自体が過酷な環境となりますが撮影スタッフも労働者です。荒れる現場になったそうです。
しかし、その撮影の結果、アカデミー撮影賞をネストール・アルメンドロスがとることになったのです。
それほど美しい映像です。
息をのむような大自然の中、人々は麦を刈り入れ諍いを起こし愛憎を繰り返します。
そしてすべてを焼き尽くす業火。
まるで旧約聖書を読んでいるようでした。
いつのころ読んだのでしょうか覚えていませんが。
二つのチラシがありました。
こちらのチラシのほうがこの映画の「真実」を表しています。
大画面で観るべき映画です。
お読みいただきありがとうございました。
ウクライナとガザに平和を!
財務省はすべての森友文章を開示せよ!