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『太宰治と天下茶屋』

2019-06-10 13:11:38 | 紹介
本と歩こう①

こんにちは。市民レポーター三井玲子 です。

今回は、今年4月に発行された橘田茂樹著の『太宰治と天下茶屋』についてご紹介します。

 

自主企画「本と歩こう」第一弾は、いざ、山梨県立文学館

 

まずは、本と一緒に記念撮影。

(出版社『山梨ふるさと文庫』より表紙画像の許諾を得ています)

 

現在、開館30周年記念 特設展

「太宰治 生誕110年―作家をめぐる物語―」が開催中です

期間:4月27日(土)~6月23日(日)

 

作家太宰治の生涯をたどりながら、初版本や直筆原稿、書簡、遺愛の品などが展示されています。

圧倒されたのは、井伏鱒二宛の書簡5mはありそうな巻紙に、「私、死にます」って…(怖っ)

あと、妻・美智子が装幀した、太宰着用の着物を表紙にした原稿本「ヴィヨンの妻」が素敵でした

 

展示の終盤には、漫画『文豪ストレイドッグス』※1のコーナーもあり(今回の展示ではグッズなし)。

※1 文豪をキャラクター化した異能力アクション漫画。登場人物は作品名にちなんだ異能力をもつ

 

太宰治(異能力:『人間失格』)の撮影用パネルもあります。展示内はこのコーナーのみ撮影可能です

今も昔も、傷つきやすい若者の象徴として、太宰の人気は不動のようです。

 

展示中、『チャレンジクイズ』に答えると、桜桃忌(おうとうき)※2にちなんだサクランボ型のけしゴムがもらえます。

※2 桜桃忌(おうとうき)…太宰治を偲(しの)ぶ会の名称。作品『桜桃』と命日の時期に由来

 

気軽にできる内容なので、お時間のある方はぜひ挑戦してみてくださいね

さて、「本と歩こう」①『太宰治と天下茶屋 太宰治が遺したもの』橘田茂樹著

山梨ふるさと文庫 ソフトカバーA5判 223ページ 1500円+税)のご紹介です。

 

この本は、数年前まで、太宰文学研究家としてご活躍された橘田茂樹さんの著作です。

橘田さんは、主に甲府市立図書館に司書として勤務する傍ら、太宰研究家として、

昭和53(1978)年から平成29(2017)年まで、御坂峠天下茶屋「山梨桜桃忌」を主宰しました。

 

また、橘田さんは太宰作品の読書会「シルクハットの会」を立ち上げ、仲間と共に平成元(1988)年6月に甲府市御崎町56番地(現・朝日町5丁目)に「太宰治僑居(きょうきょ)※3」碑を建立しました。

この碑は、甲府市での太宰の新婚時代を象徴する記念碑となりました。

※3 僑居…仮の住まい

(表紙画像は出版社の許諾を得ています)

 

余談ですが、妻・石原美知子は甲府高等女学校(現・甲府西高)から東京女子高等師範学校(現・お茶の水女子大)へ進学し、卒業後は都留高等女学校(現・都留高校)で教鞭を執った才媛でした。優秀で気丈な女性だったようです。ちなみに、作家津島佑子は次女です。

本書では、太宰文学研究家の師・長篠康一郎の考察を基に、自分の研究を深めていった橘田さんの調査の足跡が記されています。

橘田さんは実際に現地へ赴き、太宰を知る人々に直接会うなど、「足で稼ぐ」タイプの研究者でした。

太宰の没後、誤解の多かった事件や年譜、人間関係等の修正にご尽力された様子がうかがえます。

 

一般的に、暗く、退廃的な作家として強調されがちな太宰ですが、この本を通して、“明るくおもしろい作家”としての太宰像も見えてくるのではないでしょうか

 

他にも、太宰治ゆかりの湯村温泉周辺の文学散歩については、過去の市民レポータの方々のブログがありますので、そちらもご参照ください

 

橘田茂樹さんは、平成29(2017)年10月25日にご逝去されました(享年67歳)。

御子息の橘田和樹さんのあとがきによると、愛妻玲子さんの看病と死別の後、体調を崩して亡くなられたそうです。お二人の縁の深さを感じます。天上の平安をお祈りします。

 

こちらの本は、現行の「太宰治生誕110年」展にて展示中。1階ショップで購入できます。

また、甲府市内の各書店でも購入できます。詳しくは、お近くの書店にお問い合わせください。

 

これからも、甲府にゆかりのある本やイベントなどを、折々にご紹介していきたいと思います

何か良い本がありましたら、ぜひ教えてください。情報お待ちしています


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