信じられぬくらいの涙が流れた。
それに負けぬくらいの泣き声も上げた。
溜めていた負の感情が奔流となり一気に溢れ出た。
この地に飛ばされてより、短い間だったが、毎日必死で生きてきた。
誰にも嫌われぬように。
誰にも蔑まれぬように。
自分の心を鎧で覆い、傷つかぬように生きてきた。
なのに、こういう展開。
思いもせぬ状況に陥ってしまった。
だからといって後悔はない。
感情を露わにすることが、こんなに清々しいものだとは思わなかった。
体中の汚れが全て噴出したように感じた。
頬に感じる麗華の胸は温かい。
背中に回された手も温かい。
安心して泣いていられた。
と、後頭部に生暖かいものを感じた。
何やら、生温いとも。
これは、・・・。
手とは思えない。
誰かが、何かが触れてるのは確かだ。
何人かの声を潜めたクスクス笑いも聞こえた。
マリリンは麗華に抱かれた姿勢のまま、首だけを後ろに回した。
同時に耳に麗華の囁き。
「剛も心配してるようね」と。
首を下げた青毛の剛と顔を合わせた。
川遊びしていた筈が、何時の間にか後ろに来ていた。
その剛の荒い鼻息がマリリンの前髪を吹き上げた。
心配しているのか、舌でマリリンの涙顔を拭う。
痛いようなザラザラの舌。
ネバネバ感のする涎。
馬の口臭、体臭も一気に鼻に押し寄せて来た。
自分の涙と剛の涎で、自分の首から上はズブ濡れな状態だろう。
だからといって、今の自分は嫌いではない。
まずは麗華に謝った。
「麗華、ゴメンよ、ゴメンよ」と。
そして訳の分からぬ顔の麗華の胸元に、再び自分の顔を埋めて、涙と涎を拭い取る。
途端に他の姫達の笑いが爆発した。
マリリンは麗華が言葉を発するより早く、立ち上がるや、剛を引き連れて川に向かった。
その背中に麗華の大きな声が届いた。
「マリリン、アンタねえー」と。
声は笑っていた。
川には姫達の五頭の馬もいて、手前勝手に水遊びを楽しんでいた。
そこにマリリンと剛も加わった。
両手で水を掬い、顔の涙と涎を洗い流した。
ついでに首筋も。
そして浅瀬に背中から倒れ込む。
バシャーンと水音。
なんと心地好いことか。
上を見上げると剛の顔。
こちらを心配そうに見下ろしていた
ここまで剛を心配させていたとは。
それを払拭する為に立ち上がった。
両手で水を掬い、長い顔にその水をかけてやった。
当初は唖然としていたが、何度もかけるものだから嬉しくなったらしい。
嘶きながら、前足で水を蹴り返してきた。
そこへ、
けたたましい笑い声とともに、バチャバチャと水音を立てて、姫達が乱入して来た。
麗華がマリリンの前に立った。
「よくも私の胸で顔を拭いてくれたわね」
言葉とは裏腹、まったく怒ってはいない。
「ゴメンゴメン」
「今日の話しはここだけにして。
私達以外には話しては駄目よ」
「桂英様には」
「それも駄目」
「どうして」
「どうしても」と麗華、みんなを見回してから続けた。
「私達が虞姫について調べるから、貴男は今まで通りにしていること」
「いいのかい」
「いいのよ、私達を信用したから話してくれたのでしょう」
マリリンは、みんなに頭を下げた。
「ありがとう」
「男は気安く頭を下げるものじゃないわ。
でも、いいかもね。
貴男は元は女の子だったのだから」
「そうよ、元はピッカピカの女の子」
後ろにいた水晶が笑う。
「ピッカピカ、意味が分からない」
林杏が言う。
「私達は方術の修行をしているでしょう。
その流れで虞姫を調べてみるの。
虞姫といえば、方術家の生まれで仙術では有名だったの。
だから私達なら誰にも怪しまれないで調べられる。
安心して任せて」
もっともな事だ。
彼女等なら誰も怪しまない。
それに伝手も沢山あるだろう。
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それに負けぬくらいの泣き声も上げた。
溜めていた負の感情が奔流となり一気に溢れ出た。
この地に飛ばされてより、短い間だったが、毎日必死で生きてきた。
誰にも嫌われぬように。
誰にも蔑まれぬように。
自分の心を鎧で覆い、傷つかぬように生きてきた。
なのに、こういう展開。
思いもせぬ状況に陥ってしまった。
だからといって後悔はない。
感情を露わにすることが、こんなに清々しいものだとは思わなかった。
体中の汚れが全て噴出したように感じた。
頬に感じる麗華の胸は温かい。
背中に回された手も温かい。
安心して泣いていられた。
と、後頭部に生暖かいものを感じた。
何やら、生温いとも。
これは、・・・。
手とは思えない。
誰かが、何かが触れてるのは確かだ。
何人かの声を潜めたクスクス笑いも聞こえた。
マリリンは麗華に抱かれた姿勢のまま、首だけを後ろに回した。
同時に耳に麗華の囁き。
「剛も心配してるようね」と。
首を下げた青毛の剛と顔を合わせた。
川遊びしていた筈が、何時の間にか後ろに来ていた。
その剛の荒い鼻息がマリリンの前髪を吹き上げた。
心配しているのか、舌でマリリンの涙顔を拭う。
痛いようなザラザラの舌。
ネバネバ感のする涎。
馬の口臭、体臭も一気に鼻に押し寄せて来た。
自分の涙と剛の涎で、自分の首から上はズブ濡れな状態だろう。
だからといって、今の自分は嫌いではない。
まずは麗華に謝った。
「麗華、ゴメンよ、ゴメンよ」と。
そして訳の分からぬ顔の麗華の胸元に、再び自分の顔を埋めて、涙と涎を拭い取る。
途端に他の姫達の笑いが爆発した。
マリリンは麗華が言葉を発するより早く、立ち上がるや、剛を引き連れて川に向かった。
その背中に麗華の大きな声が届いた。
「マリリン、アンタねえー」と。
声は笑っていた。
川には姫達の五頭の馬もいて、手前勝手に水遊びを楽しんでいた。
そこにマリリンと剛も加わった。
両手で水を掬い、顔の涙と涎を洗い流した。
ついでに首筋も。
そして浅瀬に背中から倒れ込む。
バシャーンと水音。
なんと心地好いことか。
上を見上げると剛の顔。
こちらを心配そうに見下ろしていた
ここまで剛を心配させていたとは。
それを払拭する為に立ち上がった。
両手で水を掬い、長い顔にその水をかけてやった。
当初は唖然としていたが、何度もかけるものだから嬉しくなったらしい。
嘶きながら、前足で水を蹴り返してきた。
そこへ、
けたたましい笑い声とともに、バチャバチャと水音を立てて、姫達が乱入して来た。
麗華がマリリンの前に立った。
「よくも私の胸で顔を拭いてくれたわね」
言葉とは裏腹、まったく怒ってはいない。
「ゴメンゴメン」
「今日の話しはここだけにして。
私達以外には話しては駄目よ」
「桂英様には」
「それも駄目」
「どうして」
「どうしても」と麗華、みんなを見回してから続けた。
「私達が虞姫について調べるから、貴男は今まで通りにしていること」
「いいのかい」
「いいのよ、私達を信用したから話してくれたのでしょう」
マリリンは、みんなに頭を下げた。
「ありがとう」
「男は気安く頭を下げるものじゃないわ。
でも、いいかもね。
貴男は元は女の子だったのだから」
「そうよ、元はピッカピカの女の子」
後ろにいた水晶が笑う。
「ピッカピカ、意味が分からない」
林杏が言う。
「私達は方術の修行をしているでしょう。
その流れで虞姫を調べてみるの。
虞姫といえば、方術家の生まれで仙術では有名だったの。
だから私達なら誰にも怪しまれないで調べられる。
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