《ニュース》

世界の市場で急拡大し、日本でも月間1500万人以上が利用している中国発の電子商取引「Temu(ティームー)」をめぐり、各国政府が厳しい目を向け始めています。

 

《詳細》

Temuを運営する中国の拼多多(ピンドゥオドゥオ)は、2020年12月にアリババグループを抜いて電子商取引利用者数で中国トップに立ち、中国で最も勢いのある電子商取引企業です。

 

同社は中国での成功体験に基づき、海外向けのサービスとして、22年よりアメリカで事業を開始。米調査会社data.aiによると、23年のダウンロード数でアマゾンを超え、世界で2番目にダウンロードされたショッピングアプリとなります。同年7月に日本に上陸すると瞬く間に利用者を増やし、24年1月には月間1550万人が利用するに至ります。

 

急速に拡大しているTemuの特徴は、「共同購入システム」であり、一定の購入者が集まると割引価格で商品を購入できます。中国の過剰生産とデフレで売れ残った大量の「在庫処理」に目を付け、その在庫を共同購入で売りさばきます。さらに海外の消費者に少量ずつ配送するため、関税もかかりません。これらにより、アマゾンや楽天よりも10分の1の値段で販売することが可能となり、若年層市場を席捲しています。

 

しかし一方で、Temuには、ユーザーの個人情報をめぐる安全性や、ウイグル弾圧に加担している疑惑、貿易ルールの抜け穴が利用されているなどの問題点が指摘されており、各国政府が厳しい目を向け始めています。例えば、「EU(欧州連合)域外からオンラインで購入された150ユーロ未満の荷物には関税を課さない」という現行規制を見直すことに、ドイツは支持すると表明しています。