北朝鮮・中国問題 「この1年の防衛努力が日本の存亡を左右する」 元自衛隊幹部が緊急寄稿 (最終回)
2018.02.12(liverty web)
元陸自西部方面総監
用田和仁
(もちだ・かずひと)
1952年、福岡県生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上幕僚監部教育訓練部長、統合幕僚監部運用部長、第7師団長などを歴任。元陸将。現在、日本安全保障戦略研究所上席研究員。共著に、『日本と中国、もし戦わば』 (SBクリエイティブ)がある。
2018.02.12(liverty web)
元陸自西部方面総監
用田和仁
(もちだ・かずひと)
1952年、福岡県生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上幕僚監部教育訓練部長、統合幕僚監部運用部長、第7師団長などを歴任。元陸将。現在、日本安全保障戦略研究所上席研究員。共著に、『日本と中国、もし戦わば』 (SBクリエイティブ)がある。
2018.02.11(liverty web)
《本記事のポイント》
中国は2014年から南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)で大規模な埋め立て工事を行い、軍事拠点化を進めてきた。これに対してアメリカやフィリピンなどが抗議してきたものの、ついに軍事施設は完成し、運用の段階となっていることが明らかになった。
ベトナム国営メディアのタインニエンは2日、中国の人工島の写真や動画を掲載し、拠点の運用が開始されたと報じた。島内には地上8階建て、約30メートルの施設が確認でき、中国船と見られる船舶が行き来する様子や滑走路も映し出されている。
フィリピン英字紙インクワイアラーも5日、情報筋から提供されたものとして、中国が軍事化を進める7つの暗礁の最新写真を掲載した。( http://www.inquirer.net/specials/exclusive-china-militarization-south-china-sea )
ほとんどの写真が、2017年6月から12月の間に約1500メートル上空から撮影されたものだという。それぞれの人工島の写真は、軍事基地の規模の大きさをありありと写し出している。これを受け、米ニューヨーク・タイムズ紙やCNNも軍事基地の規模の巨大さを報じている。
8日付のニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の「アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)」の研究員、コナー・コロニン氏は、人工島の様子がここまで明らかになったのは初めてだと述べた。
中国防衛省によると、「中国空軍はこのほど、空中パトロールに参加するため、南シナ海に(長距離多用途戦闘機)Su-35を派遣した」という(8日付中国防衛省ホームページ)。米軍が1月下旬に南シナ海で改めて「航行の自由」作戦を行ったことに対する反発と見られる。
さらに、米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」は、中国製の第五世代ステルス戦闘機J-20が南シナ海に展開している可能性にも言及している(9日付電子版)。
このように、中国は、時々刻々と南シナ海の実効支配を強めている。南シナ海が中国に支配されると、どうなるのか。
南シナ海を経由した世界の貿易額は年間540兆円で、世界の3分の1にのぼる。特に日本にとって、南シナ海は原油輸入の要だ。日本が輸入する原油のうち約8割が南シナ海を通って運ばれている。
中国が南シナ海での航行を制限すれば、日本へのエネルギー供給は断たれる。生殺与奪権を中国に握られたと言っても過言ではない。
さらには、南シナ海は水深が深いため、中国軍が核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を潜伏させておくことも不可能ではない。潜水艦を探知できる十分な能力を持たないフィリピンなどをすり抜けて、太平洋に進出すれば、米本土への核攻撃が可能になる。
南シナ海が「中国の海」になってしまえば、世界の平和が脅かされる。日本でも憲法9条改正や空母保有の議論が進んでいるが、覇権拡大を進める中国を抑止するためには、自衛のための核装備も視野に入れた防衛強化が急務だ。
(片岡眞有子)
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