二男の嫁ブッキが結と優希と共に今日、マカオへ里帰りする。二男がマカオの娘と結婚したいので先方の親(李さん)に挨拶してほしいということで当地を訪問したのが、6年前の5月であった。マカオは台湾のすぐ横でほぼ同じ緯度のところにある。カジノが林立するということくらいしか知らずに行ってみて驚いたのがごきぶりの多さであった。
旅はしてみるもの、ガイドブックに書いてないことに出くわして楽しい。
思いきや行く先々に油虫
ごきぶりといえば日本では家の中、台所にいて出ると騒ぎになる。いま日本で結は蟬と蜂と蜘蛛を目にしているがそうたびたび見るわけではない。ところがマカオではごきぶりをしゅっちゅう見る。
ごきぶりを踏みさうレストランに入る
家の外、通りを当然のようにごきぶりが這いまわっている。外にいれば屋内にもいるだろうがレストランの中では見なかった。店内が暗かったせいか。
日本ではごきぶりはそう出ない。蟬ほども見ない。
したがって一つでも出ようものなら妻が目の色を変えて追い回す。
ごきぶりを仕留めて声や妻若し
妻がごきぶりを仕留める率は8割。5回見たら4匹は殺す。執念が違うのだがやたらと出ないのでこの句になったのである。
暑ければあれこれ腐り虫気負ふ
【マカオ8月】
平均最高気温31.2℃
平均最低気温26.0℃
雨量 351.6mm
湿度 82.5%
平均降雨日数 16日
暑さは東京と変わりない感じだが雨が降る。湿度は東京以上。ものが腐る。狭いところに人が密集して住んでいて植物・動物のはびこる場所が少ないのだが食物の残骸は出る。それをよすがに彼らは生きるのか。
高階に人ごきぶりが地べた這ふ
人口密集していて多くの人が高層集合住宅に住む。ブッキの実家の住居を二男は「億ション」という。そこへ行ったのだがそう高級とは思わなかった。需要供給の関係で住居が高いのではないか。地べたに住むごきぶりのほうがまっとうではないか。
高級というのはプールを持つことかな、と思った。ブッキの実家は17階にあって下にプールが見えた。
マンゴー食ふ五階のプール見下ろして
台湾、ベトナム、タイなど近いので南方の果物が手に入る。いろいろ食べたがドリアンを食べなかった。あの匂いはフルーツというより動物に近い。なんでも食う小生だがあれは体質に合わないかもしれない。日本に来るときドライドリアンを持ってくるように頼んだ。
おほらかやごきぶり追はぬマカオ人
マカオの人でごきぶりを話題にする人はいない。目に入っていないのではないか。人は興味あるものしか見ていない。マカオ人にとってごきぶりは路傍の石であろう。日本で道端の石ころが話題にならない。それと同じである。
ごきぶりの艶こそ英気とくと見よ
ごきぶりはウイルスなど病原菌の媒介にならないという。そう毛嫌いすることもない。舟虫と思えばいい。ごきぶりの翅の光沢はほれぼれしないか。命の輝きである。カジノの光とは違って健康ではないか。
カジノの灯赤青黄色夜も暑し
マカオにはポーカーをするプロがいると聞く。相手が個人だとお金がそう入らないのではないか。テニスのようにその道具を売る大企業が宣伝のためにお金を出すのならプロの存在は理解できるがポーカーが個人営業だとすればプロなど存在できないのではないか。この件、あまり研究する気はない。
黒きものしこしこ食うて暑に対す
6年前、マカオで腹が破裂しそうであった。昼に正統中国料理をたらふく頂いた。苦しくて午後寝ていたら夕方、ポルトガル料理店へ招かれた。もう食べたくないのだが付き合った。
ポルトガル料理の黒いものが何かわからなかった。キノコなのか果実なのか、肉なのか魚なのか。セラチンのようなものであった。
小生が出されたものはすべて拒否しないという主義なのでよかった。
結たちはマカオに一ヵ月滞在する。小生は急に暇になる。暇になってもそうやりたいことはない。退屈するかなあ。とにかく、マカオのごきぶりを見てきてほしい。
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