天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

俺を風評被害にさらした男

2018-07-24 01:44:37 | 身辺雑記

いとう岬


郷里伊那市に住む旧友、いとう岬がフェイスブックに「短歌と川柳を楽しむ会」より、という寄稿をした。おとといのことである。
このなかで、彼は、
「ぼくは川柳から出発して、俳句もかじり、現在は短歌を書いているから感じるのですが、あえていえば3つのなかでは川柳が一番むつかしい」という。ここから俳句と川柳の違いについて切り込み、
「俳句が自然や風景などモノ(物)を詠むのに対して、川柳はコト(事)人の心や行動を詠みます。例えるなら俳句は風景写真。人間の情感や感情のある一瞬を切り取るスナップ写真が川柳です」と述べている。

これにぼくは噛みついて次のように反論した。
「俳句と川柳の違いはなんといっても季語を重視するか否かでしょう。
俳句が季語を重視するのは、人間は動植物の命とイーブンである、という世界観に立っています。人間至上主義ではないということが背後にあります。
川柳にも季語が入っているものがありますが川柳人にとって季語は一般の言葉として使うことが多いようです。俳人は季語を神棚のものという意識で使います。
俳句と川柳の違いに風景写真、スナップ写真とかいう比喩を用いるのは本質から外れます。やはり季語の有無をいうのがいいでしょうね。」
風景写真とスナップ写真は対立する概念ではなく、旅に出ると風景をスナップで撮る。風景写真に対して商業写真(コマーシャルフォト)を持ち出せば比喩として成立するがスナップ写真ではだめ。このへんが彼の甘さ。
そんな枝葉末節の比喩に走るより、俳句と川柳の違いは季語があるかどうかでしょう。季語の威力を信じて使うか(俳句)、季語を普通の言葉と同格で使うか(川柳)ということをまず語るべき。

すると、いとうは
「人間は動植物の命とイーブンである」という世界観は日本古来の仏教に由来する考え方だと思います。だから昔は四つ足の動物を(表向きは)食べる習慣がなかった。しかし西洋人は趣味として狩りをし、闘牛などで牛を殺し、アフリカなどでハンティングをしてきた。日本での狩猟は自然や動物に対してもっと敬虔なものだった。しかしそれは俳句だけの世界だろうか。日本の短詩文芸の地下茎はみな繋がっているから、厳密な棲み分けは難しく、上述の世界観や季語が俳句だけのものであると言い切ると、多分、短歌・川柳側からの異論もあるのではないかと思います。」
と言ってきた。相変わらずぐだぐだいう。久しぶりにイライラした。

君は俳句と川柳の違いについて論考していてそれに俺は反論し助言した。そのことについて述べろよ。論点をそらすなよ。
と思いつつ、彼が15年前とちっとも変っていないことに懐かしさと親愛の情を感じた。

いとう岬はぼくは50歳のときから10年間、『旬』という雑誌で川柳をした間柄である。
俳句に低迷したぼくが季語のない川柳におもしろさを感じた。川柳をやることで季語の意義を深く知ることになり俳句が少しわかったのであった。
この10年間、いとうとはイライラする議論を繰り返してきた。それをまた今回やって懐かしくなったのである。

いとうからぼくが学んだことは、話は本質にズバリと切り込むこと。
つまりA=B、B=C、ならば、A=Cであるという流れでないと人は納得しないということである。いとうの場合、A、B、Cしかなかったところへ突如、A=Dというようなものを出現させて人を惑わす。これはいけないということを教えてくれた反面教師といっていい。

ほかに彼から学んだことは、インターネット全盛時代で風評被害を言っても仕方ないということである。
彼はそのころすでに「ひまじんさろん」というブログを書いていた。
その2009年6月29日の「天地わたるという男」という小文。これはぼくの人格について述べたものだが、ぼくは即座に風評被害と感じた。自分がどう書かれようとそれはいいが事実をしかとおさえて書いてほしい。この文章は事実の把握が足りず、雰囲気に走っている。彼に消去を求めてもよかったがしなかった。本人は気に入らないが彼にはぼくを書く自由があるだろう。基本的にそれを阻害したくない。
しかし嫌だ。どうすればいい。
そうか、自分がブログを書いてこの記事を薄めて行こう。
これがぼくがブログを書き始めたきっかけである。自分のことは自分で書いて主張すればいい。このことを彼が反面教師として教えてくれた。

いとうは「天地わたるという男」のなかで「性格も文芸観も思想もことごとく違うふたりであるが、自分に率直で正直であるというところに互いに信頼感があって、長いつきあいになっている」という。
まさにその通り。
あいつと話すといつもイライラするが、それがおかしい。まあ郷里で元気でいてくれ。そのうち話しに行くよ。君は愚図だが奥さんが優れているから。
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