木いちごつみ

5月の緑の森に入って木イチゴを摘むような気持ちで、日々のキラッとしたことを書いていきたいと思っています。

☆『abさんご』と言う本☆

2013-04-18 17:52:08 | 読書

    

 今月の同人誌の会の課題図書に決まっているので『abさんご』と言う本を読んだ。
 史上最年長の75歳で芥川賞を受賞したという黒田夏子という著者の本である。

 この本には縦書きと横書きの作品が収められていて『abさんご』は通常の縦書きの本なら最後になるところから読み始める。
 『abさんご』は、ひらがな書きの多い、固有名詞がとっても少ない作品である。

 たとえば蚊帳のことを書いていても、「柔らかい檻」などと書かれていて、蚊のことも小虫とだけしか書いていないのである。
 始めはとても読みにくくて、「。」も「,」になっているし、馴染めない感じであった。
 何だかクイズを解きながら読んでいるような、手探りで知らない古語でも読んでいるような気持ちになりながら、なかなか読み進まなかった。

 しかし、これは目や頭で読むというよりは、指や皮膚で読む感じの小説だなと思った。
 懐かしい匂いや肌触り、頭ではなく胸に直接迫って来るものがあった。
 
 一応、読了したのだが例会で何か言えるようなことは掴み取れなかった。
 それで、50年前に書かれた縦書きの作品の方は読みやすそうなので、明日から読むことにして…また、横書きの『abさんご』を読みなおそうと考えている。
 しかし、黒田夏子と言う人は75歳でも、こんなに斬新なことをしているなあと感心する。
 時々絵本で、前からとひっくり返して後ろからと読む本がある。
 あれに似ているかもと思う。

                              木莉
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿