『ふたりの老女』ヴェルマ・ウオーリス著の本を読んだ。
「赤木かんこ」の本の紹介で知ったのだが、この本にであって、本当に良かったと思う。
アラスカの極北の地を移動して狩猟採集の生活を続けている集団があり、ある冬、あまりにも厳しい寒さに、とうとう食べるものが無くなり、グループの2人の老女を捨てて行くことになった。
80歳と75歳の老女は、それまでは年寄りだということで大事にされていたのに、突然、家族からもグループからも見捨てられることになる。
皆がいなくなった後、驚きと怒りと失望で呆然としていた2人は、やがて、それまで、ついていた杖も振り捨て、自分たちだけで生きていくために歩き出すのである。
アラスカの雪と氷の中で狩をしながら、老体にムチ打ちながらの必死のサバイバルの物語だった。
そして、若い時に培われた狩や生活の智慧を総動員し、命がけで獲物を求めて歩き、とうとう凄まじく厳しい2人だけの冬を生き抜くのだ。
この本の著者のヴェルマ・ウオーリスは1960年アラスカに生まれ、アラスカ・インディアンの伝統による教育を受けて育った人だそうだ。
彼女が自分の母から聞いたこの伝説はアラスカだけでなくアメリカ全土で話題を呼んだということである。
ウオーリスは現在も昔ながらの狩猟採集の生活をしながら執筆活動をしているそうだ。
この話を読んで、私も本当に勇気が出た。
「年寄り臭くなっては、いかんなあ」とつくづく思う。
2人の老女のように極寒のアラスカでのサバイバルはとってもできないけれど、もっと自分に自信を持って生きて行ってもいいはずだと確信した。
木莉