サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

367日目「未来の記憶/佐脇健一展(目黒区美術館)」目黒

2013年04月07日 | 姪っ子メグとお出かけ

姪っ子メグ おじさん。ヒカリエができたり路線乗り入れで渋谷の街も変わったようだけど、どうよ。
キミオン叔父 なんか、好きじゃないな。都市なんて、年がら年中、その姿を変えているいきものみたいなものだから、どうのこうの言う必要もないんだけどさ。渋谷にマークシティが出来て、セルリアンホテルも出来て、同潤会アパートあとがショッピングセンターに変わって、そしてヒカリエだろ。でもどれも面白くないんだよなぁ。
そうはいっても多くのテナントが入って、あきるほどのカフェヤレストランがある。結構、流行ってるじゃん。
どれも同じようなつくりだろ。西武がパルコ戦略でごちゃごちゃと渋谷の街をいじくっていた時はそれなりにワクワクするものもあったんだけどな。
一時期は、センタ―街あたりも、ストリートファッションの連中たちが騒いでいたけど、いまは静かになったねぇ。おのぼりさんが休日は相変わらず多いけど。
仕方ないけどさ、なんか「悪所」が次々と無くなって、清潔できれいなスペースばかりが提供されている。まあ、渋谷で言えば救いは、東横地下の「渋谷市場」かな。あとはかろうじて高架下の焼き鳥屋さんや、宇田川町の飲み屋街や、松濤あたりの散歩道かな。
路線乗り入れでは、渋谷を素通りして、副都心線の新宿三丁目を出て、伊勢丹あたりに行く人が増えているみたいよ。
そうかもな。オジサンもいま、副都心線をひとつづつ降りて、確かめているところ。明治神宮の北参道の方に出られるのは面白いし、早稲田口の方も最近あんまり行ってなかったのでブラブラ歩きしたら結構面白い通りがあったよ。


目黒美術館は、佐脇健一さんという「風景彫刻」をやっている人ね。現在は大分大学教授。
この人はイタリア式ロー型鋳造法というブロンズ鋳造技術を会得しているようだ。 ルネサンスの技法だけどね。まず原型から雌型をとり、そのあと蠟雄型にして石膏を流し込む。それを焼いて蠟を取り、金属を流し込む。
結構、大変な工程だ。
それで飛行機とか工場とか観測所的なものとかのかたちをつくる。それらの物体はピカピカじゃなくて風化しているような表現をしていて、どこかで「産業遺跡」のようにも見える。
「封印」シリーズでは廃墟となった錆び付いた原発やプルトニウム貯蔵施設を鉄で鋳造した作品をつくっている。20年前の作品だけど、「フクシマ原発」を予兆しているようだね。
素材も、銅から鉄、木、石、砂まで動員しているし、そこに写真、映像、インスタレーションが被さってくる。<風景>を描いてるんだけど、そこには未来から廃墟にのびるような時間軸があるでしょ。なんか、大友克洋のAKIRAの世界観に通じるような気がするなぁ。
大型の作品もあれば、ミニチュアの箱の中に配置された「風景」もある。今回は目黒美術館も展示室自体にさらに囲いをつくりいくつかのミニ空間を工夫していた。
でもいつも思うけど、 こういう鋳造作品って、かなり広いアトリエのようなものがないと、蠟を流し込んだり、焼成したりできないじゃない。作品の移動も大変だし。公共セクターなどからの発注がないとなかなかつくれないかも。
ある程度の大きさになると、クレーンで吊り上げたり。一人ではできなくて助手も必要。たしかにそれが<風景>のなかに置かれれば、「朽ちる」ことも含めて、長い時間性を持つとしてもね。 もしかしたら、どんどん変わる「渋谷」の構造物よりも長い時間をね。

 


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