けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

利権に対する合法的なアンフェアなアプローチ

2013-06-01 23:55:31 | 政治
色々あって、タイミングを逸してしまった感があるが、まず、下記の記事を見て頂きたい。

産経ニュース2013年5月26日「メガソーラー暗雲 売電申請の7割、門前払いも

まず、フェアな議論のために私のスタンスを明確にしておくが、純粋に再生可能エネルギーの普及により、化石燃料に頼らずCO2排出も減らすことは推奨されるべきである。しかし、エネルギー政策は国家の存亡にかかわる重要な政策であり、安定供給が出来ることは絶対条件である。しかも、下手な政策が利権を呼び、そこで国民の財産が食い物にされることは許せない。だから、この辺のバランスを如何にして実現するかが冷静に判断されるべきだと思っている。

では本題であるが、上記の記事を読めば、誰もが当然最初に考えるのは電力会社による「電力買い取り制度への骨抜き工作」に違いないということだろう。実際、この制度が導入された際に菅元総理と組んで大々的にアピールしていたソフトバンクの孫社長もこの記事の中で電力会社の対応を批判している。私の立場でも、この批判は半分は当たっているので電力会社には真摯に対応して頂きたいが、しかし残りの半分としてこの記事より、この制度の致命的な欠陥に気づかされる。

まずこの記事を読んで、多分、私以外の人でもある程度の数の人が不思議に思ったのではないだろか。この問題が持ち上がる場所が「何故、北海道なのか?」ということを。太陽光発電というものは致命的な弱点をもっていて、それは晴天時にしか発電できないということである。だから、日照時間が多い場所がメガソーラーの候補地として選ばれる。一方で、東日本大震災以降に行われた節電の取り組みで問題の焦点となるのは、常にピークカットについてである。つまり、有り余るバッテリーがあれば話は別だが、現実は揚水発電ぐらいしか発電した電力をエネルギーの蓄積に置き換える術がない以上、積分値で見たときの電力使用総量と太陽電池パネルによる発電総量を比較・議論することには意味はない。だから、本当に電気が足りなくなって不慮の大停電が起きることを避けることが最重要課題と考えれば、電力消費が最大に高まるときのピークカットを如何に実現すべきかという問題に帰着される。だから、ピークカット問題解決の足しにならない発電方法は、その買取価格が滅茶苦茶に易いというのであれば分からなくもないが、買い取り価格が十分に高い以上、電気料金を高騰させる原因として国民にとっても有難くない選択肢である。

上述の批判を行う孫社長に関しては、これまでの様々な発言では如何にも「国のため、一肌脱ごう!」というニュアンスの態度をとり、我こそが「正義(せいぎ)」とでも言いたいのだろうが、ならば何故、メガソーラー施設を北海道に作るのかを私は問うてみたい。言うまでもなく北海道は雪国である。夏場は涼しいからあまり電力問題が話題とならないが、逆に冬場こそ電力不足が問題となる地域である。北海道内では電気のエアコンだけで冬を乗り越えて生活する人はそれほど多くはないのかも知れないが、雪が大量に降り、夜になって冷え込みが厳しくなったところで電力消費量はピークを迎える。雪が太陽光パネルに付着すれば昼間でも発電効率は大幅に低下するだろうから、冬場は晴れていても思ったほどの電力を発電できそうもない。だから、本当に電力が必要な時には太陽光パネルは役立たずとなり、ピークカットには全く寄与できない公算が強い。

一方で、メガソーラー業者が電力会社から受け取る売電の代金は、現在のルールでは季節のどのタイミングでの売電かにかかわらず単位電力量当たりは一定額で買い取ってもらえる。だから、メガソーラー計画を立てようと思ったら、単純に日照時間で比較して、一番年間の売電量が多く売れる確率の高い場所を選択することになる。一般的に、雨が降る日が多ければ日照時間は短くなるので、雨の少ない盆地や梅雨のない北海道などは非常に魅力的な場所となる。確かに民間の商取引だから、損してまで国のために尽くせなどとは言えないが、その様な理由で北海道を多くの事業者が設置場所に選んだとしたら、電力会社や国民、更にはエネルギー政策を管理する国家にとって、えらい迷惑な話となりかねない。国が決めたことだから、民間業者を非難するのは筋違いではあるが、「史上最悪の総理」との呼び声が高い菅元総理とそれに続く民主党政権は、この辺の問題を全て先送り・放置して知らぬ存ぜずと部外者を装った。しかし、それでは国家のエネルギー政策が破たんしかねないから、これは我々国民にとって死活問題である。

だから、需要と供給、ピークカットにどの様に貢献できるかで買い取り価格が決定されるのが理想だし、地域の電力会社マタギでも電力の融通が出来る体制(極端な話、50/60Hzの統一も含む)を確立し、例えば九州で発電できれば北海道の電力不足にも貢献できるのが理想である。しかし、その理想からは現実は程遠く、その対策に手を付けずに放置される中で事業者が「発電するから買い取ってくれ!」と言うならば、電力会社側が一般市民の電気代が不当に高騰せざるを得ない状況に「ちょっと待った!」というのは筋が通っていると思う。

少なくとも「国のため」を思うのであれば北海道に発電施設を作ろうとは思わないはずなのだが、実際には北海道へのメガソーラー計画が多数あるということを考えれば、国のためではなく、そこにある利権に群がる人が多くいるということなのだと思う。

別にフェアなルールで利権に絡むのであれば、ビジネスと割り切って責められる筋合いはないと思うのだが、その利権を産むプロセスの中で先頭切って権力者に働きかけを行っていた人に関しては、(決して違法ではないが)それをフェアなやり方とは私には思えない。

どうも納得が出来ないというのが、この記事に対する私の感想である。

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