けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

株価暴落がアベノミクスを救うという不思議

2013-06-04 21:46:12 | 政治
今日のブログには変なタイトルを書かせて頂いた。はっきり言って根拠はあまり無く、希望的な観測だけで書かせていただく。最近の株価の暴落傾向と一時期と比較して円高気味に振れている状況が、実はアベノミクスに追い風になるというお話しである。

最近の安倍政権は非常に安定しており、この期に及んで内閣支持率は70%近い驚異的な値を維持している。一方で野党の足並みは乱れまくっているから、はっきり言って参院選に向けては順風満帆というのが大方の予想だろう。しかし、では楽勝ムードかと言えば、中国韓国からの歴史カードや領土問題などでのイチャモンは、何とかここで安倍政権に冷や水を浴びせて日本の復活の足を引っ張りたいという気持ちの表れだろう。橋下代表がたった一晩で地獄に突き落とされたように、安倍政権も同様なリスクを背負っている。だからこそ、橋下発言に対しては距離を置いた態度を見せ、経済再生を最優先に河野談話や村山談話の見直しといった動きを封印し、中韓との無用な対立を避ける戦略を取った。靖国参拝にしても同様で、ギリギリのところで自身の参拝を見送ることで、それなりのメッセージも送った。

さて、この様な中での安倍政権の行く末に立ち込める暗雲としては、その最有力であるのが「成長戦略」が世界的に「不十分」「失敗」の烙印を押され、その結果として株価が暴落し、円高に一気に振れて経済に大きなダメージが生じ、国債が暴落して日本がギリシャ化するというシナリオである。だから、当然ながら安倍総理及びそのブレーン連中は、何があろうとその様な事態を避けようと必死になっているはずである。実際、黒田日銀総裁のバズーカ砲が国際社会で承認された背景には、第3の矢である成長戦略が伴うことが前提となっており、成長戦略が絵に描いた餅と分かればそこら中から非難が沸き起こり、円高に振れて折角のロケットスタートに相当なケチが突くのは間違いない。しかし、あまりにもここまで順風満帆に来てしまったがために、多分、自民党や安倍内閣の閣僚たちの間にも、その危機感が薄れてしまったところがある。それを顕著に表しているのが、産業競争力会議における竹中平蔵氏、三木谷浩史氏、新浪剛史氏などの構造改革派に対し、麻生、甘利ラインの官僚グループによる執拗な抵抗である。先日も竹中氏がテレビに出演していた際にキャスターから麻生副総理との不仲説を問われ、さり気なく答えを濁してはいたが、その濁し方は従来の彼らしい上手な受け答えではなく、相当な亀裂がそこにあることを感じさせられた。

実際それを裏付けるように、先日発表された成長戦略の骨子の中には重要な要素が含まれていなかった。例えば、解雇ルールの法制化、混合診療の解禁、農業への企業による参入解禁など、国際社会が成長戦略として特に評価しそうな案件はことごとく外された形である。下記の記事で田原総一郎氏も指摘している通り、多くの投資家は日本が6月中旬に発表するとされている成長戦略の中身に注目している。

Nikkei BP Net田原総一朗の政財界「ここだけの話」2013年5月15日「骨抜きされた成長戦略なら国内外の失望を買う

多分、安倍総理とそのブレーンはこの辺は痛いほど熟知しているから、如何にして成長戦略にこれらの重要案件を盛り込むかの駆け引きをしているはずである。そんな中での株の暴落である。現時点では、多くの人は諸外国の様々な要因と、余りにも急速に推移した円安、株高傾向に対する調整局面と見ているから、この株の暴落を悲観的に見ている人は少ないだろう。しかし、非常に紙一重のリスクが背後にあることは誰もが同様に感じているはずである。ちょっと前の順風満帆の時期ならば、「ちょっとぐらい、既得権益に配慮して、改革・開放路線にブレーキをかけても大事には至らないだろう。であれば、選挙対策で農業団体、日本医師会、経団連などに配慮した『成長戦略』の方がお得だろう・・・」という考え方が支配的であったかも知れない。しかし、現在の株の乱高下状態を目の当たりにすると、ここで発表する「成長戦略」が安倍政権にトドメを刺し、更には日本経済を奈落の底に突き落とすかも知れないという危機感が現実的となってきている。これは、明らかに改革・開放派にとっては追い風である。

考えてみれば、TPPの時もそうであった。誰もが安倍総理の訪米の際にTPP交渉参加の方向性を打ち出せる訳がないと考える中、既に排水の陣とも言うべきギリギリの状況に置かれ、逆境をバネにした逆襲を行った。聖域なき関税撤廃を回避するお墨付きを半ば得ることで、自民党内の殆ど多数派であるTPP反対派を押し切り交渉参加に踏み切った。上述の田原氏のコメントにあるように、客観的に見ればTPPの時と同様の逆風である。今回は閣内に足を引っ張る反竹中軍団が存在するが、現在の株の乱高下を理由に総理の決断に対する踏み絵を迫れば、日本崩壊のリスクを覚悟の上で安倍総理に歯向かえる人は存在しない。だから、現状はまさに安倍総理の決断次第なのである。

昨年の衆院選で大勝して以降、安倍総理は何度も逆境にあっているが、その都度、それらをバネにして逆に地盤を強めているような感じがする。まさに、「(何かを)持っている」と確信させられるものである。この6月中旬の成長戦略の発表は、まさにその「持っている」度合いを占うバロメータになるのではないかと思う。そして、参院選を占うバロメータにもなる。

単品でみると株価の乱高下は困った事態であるが、トータルで見れば事態はそれほど悲観的ではないというのが私の認識である。

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