けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

高台移転は本当に必要か?

2013-03-09 23:22:19 | 政治
間もなく東日本大震災から2年が経つ。最近は被災地のレポートの中で、一向に復旧の目途が立たず津波に流されて更地のままの風景を見かける。今日は復興についてのコメントを書いてみたい。

まず、テレビの東日本大震災の振り返りのレポートの中で聞かれるのは、高台移転が中々進まないという現状である。当事者ではないから正確なところは分からないが、その理由には多分、元々の地域のコミュニティを維持しながら移設するのに適当な高台(つまり、ある程度まとまった土地)が見つからないこと、広い移設地を求めて山を切り崩して大掛かりな開発をしようにも、高齢の方が多い地域では今更多額の借金をして移設の為の費用を用立てできないこと、慣れ親しんだ海岸沿いの土地への未練が断ち切れないことなどがあるのだろう。特に漁業などで生計を立てていた人々は、海から離れて生活することは現実的ではない。

高台移設は疑いもない唯一の選択肢という風潮の中で、素人ではあるが「本当にそうなのだろうか?」という気持ちが湧いてこずにはいられない。そこで、素人の少々乱暴な案を語ってみたい。

結論から言えば、私が主張したいのは今後大地震で津波が押し寄せても、確実に被害者を出さずに済むことが期待されるのであれば、別に海岸沿いを避けて高台に移転する必要など何もないのではないかということである。積極的に、開発が容易な海沿いの平野部の更地に、ふたつのアプローチで被害者を出さない環境を作れば良いのである。

その二つのアプローチとは、ひとつには現在の更地を国がまとめて買収し、海岸部の人が居住するエリアから津波の被害がないと思われる高台方面に伸びる合計4車線の直線道路を造るのである。大地震が起きて津波が襲来する危険性がある場合、多くの人は車で逃げようとするはずである。しかし、高台に向かうためには一旦海側を通らなければいけないとか、どちらに逃げれば安全なのかが分からないと誤った行動を取りかねない。しかし、渋滞することなく、遥か彼方まで見通しが聞いてどちらに逃げれば良いかを迷うことのない道路がありさえすれば、人々はパニックを起こすこともなく安全に避難できる。大地震から津波までの時間は数十分はあると期待できるから、これだけの条件が揃えば被害は最小にできるだろう。既に津波により更地になってしまった海岸沿いの土地であるし、また津波が来ることを考えれば開発すべき場所の土地の資産価値は申し訳ないが二束三文である。この様な土地であれば、直線道路のための土地を買い上げ再開発をするのにも、フリーハンドで白紙のキャンバスにゼロから絵を描くことができる。

そしてもう一つのアプローチとは、地震と津波に負けない大型の建築物(集合住宅)を海沿いの便が良い場所に作り、そこに多くの人を移り住ませるのである。先ほどの土地の買収に関しては、土地を買いたたかれる地権者には痛い話であるが、その見返りに、新たに作る集合住宅への居住権を安く提供するのである。買い切りができなければ、賃貸で貸し出しても構わない。問題は、津波での被害を如何にして回避するかであるが、例えばこんな例はどうだろうか?上から見るとV字型の鉄筋の10階以上の強固な建物を、V字の頂点が海側を向くような状態で建設するのである。その土地ごとに、今回の津波、ないしは今後想定される津波の最大高さを知ることができると思うが、その高さまではその建築物には人の居住区域を作らず、それ以上の高層階にだけ居住区を作るのである。例えば18mの津波であれば、1階あたり3mと仮定すれば6階部分までは人を住まわせることなく、窓なども作らずに何もない空間とするか地震が起きたら上層階に避難できる人のための別の使い方をするスペースとするのである。形状的に津波のエネルギーを上手く逃がすことが可能な構成としてV字型を示したが、構造的に安全が確保できれば別の形状でも構わない。海が東側に位置することを考えれば、通常の箱型の建築物でも、東西に長く、南向きの窓をもつ高層マンションのようなものを作れば、V字でなくてもそれほど問題はないかも知れない。ただその様な場合でも、最も海側の津波の直撃を受けそうな部分は、船の先端の様な形状にしておけば好ましい。なお、7階以上であれば被害は及びにくいから、そこに居住の為の部屋を作る。収容すべき戸数を考えれば、何階建てにすれば良いかは見積もることができる。もちろん、比較的多くの住宅があった場所(人口密集地)であれば、この様な建物を複数作ることになる。

また、仮設住宅に避難して生活している人たちの声を聴けば、既に生活に絶望して引きこもり状態の人が多い。だから、この様な集合住宅に移り住む場合には、単に住処があれば良いのではなく、地域のコミュニティを今まで以上に築き易い状態が求められる。だから一つの集合住宅内に、住宅と地域の公民館があるイメージで共有スペースを確保するのである。風が強ければ無理かもしれないが、可能であれば屋上にはゲートボールができる程度の公園の様なくつろげるスペースもあるといい。贅沢を言えばきりがないが、高台移転をするよりはよっぽど現実的である。

ついでに言えば、デイサービスなどの介護施設などもあれば良いし、常駐でなくても週に1回程度、当番医が訪ねてきて診察をしてもらえる環境があると好ましい。過疎の村では厳しいかも知れないが、ある程度の人口がある場合には、それらを1か所に集中した方が再開発は容易だし、開発後の人口密度が高ければ高いほど、さま様なサービスを提供することが容易になる。勿論、住む場所だけではなく働く場所も必要であるが、その様な場所もある程度は同様の高層の建物に収容するのである。働き場所を確保できれば、その分だけ復興のスピードは高まる。企業の誘致と同じイメージで、国や自治体がこの様な建物を作り、ここに安価な料金で場所貸しをするのである。こちらに限っては、別に被災地の土地と引き換えでの安価な入居というのではなく、被災者でなくても誰でも自由に迎え入れれば良い。同様に、学校や市庁舎、病院などの施設についても、同様の構造での共通化した建設計画を進めることで、より早くより経済的に復興を進めるのである。ただ、例外的に漁業のための施設はそうもいかないかも知れない。その場合は、漁協や市場は公営にして、津波のたびに建て替えるように割り切ったり、被害は受けるが被害の後の復旧を簡易に実現する別のアプローチを考えるべきかも知れない。

なお、この様な建物の居住者とは別に、たまたまこの様な場所にいた人の避難も出来なければ不十分である。例えば、先ほどのV字型の建築物の例で言えば、海の方から見たときに裏側に相当するV字の内側の部分には、非常階段を設けて周辺の人々の避難場所となるスペースとすれば良い。

似たような建物ばかりで面白みがなくなると共に、戸建てに住みたい人の希望を汲んでいない乱暴な意見なのは良く分かる。しかし、地震の被害を受けた被災地の人々は、とてもではないが経済的な余裕もない人が多く、借金をしようにも中々思うようにいかない。仮設住宅よりもよりしっかりした建物への移転を早く済ませ、しかも経済的な活動をし易いように、なるべく一か所に集中する。まずは公営の集合住宅で10年間ほど暮せば、多少なりとも自分の家を建てるための資金も貯めることができる。経済活動が復活し、仕事に不自由なくなれば銀行の融資も受けやすくなる。10年後には、戸建ての家を建てることが可能な高台の整備も進み、新たな街づくりも可能かも知れない。まずは10年間は緊急避難と割り切って、復興を進めるのである。

復興計画というものは、単に計画を立てれば良いというのではなく、これだけの被害であれば10年単位ぐらいである程度フェーズを区切った長期的な復興が必要だと思う。その一つの形が上記の案である。如何だろうか?

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