けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

張成沢氏の処刑の裏にある、北朝鮮の核武装に関するふたつのシナリオ

2013-12-14 20:10:36 | 政治
張成沢氏の処刑には流石に驚かされた。ロイヤルファミリーの一員であるからというよりも、張成沢氏の温存(生存させておくこと)は金正恩からすればひとつの「カード」になり得るからである。それを、何も言われる前に切って捨てるのであるから相当な覚悟である。今日はその辺の事情を少し考えてみたい。

まず、今回の張成沢氏の処刑について、一番影響が大きいのは中国の対北朝鮮政策なのだと思う。何故なら、張成沢氏は明らかに北朝鮮と中国との窓口であったからである。中国共産党とすれば、権力の世襲は共産主義とは相入れることが出来ない制度であり、流石に3代目の金正恩を満面の笑みをもって迎え入れることは出来ない。理想的には集団指導体制への移行を期待したいので、金正恩の存在との妥協の産物として、例えば日本の現在の天皇制を真似して「象徴」として君臨する存在を許容しながらも、実際の政治や軍部は集団指導部により管理されることを望んでいるはずである。実際にそこまでの移行を急進的に進めることは中国としても不可能であることは分かるから、徐々に張成沢氏の権力が強まり、逆に金正恩の権力が徐々にフェードアウトすることを期待し、その第一歩として張成沢氏との関係を意識的に強めていたのが中国政府の立場なのだと思う。だとすれば、金正恩からすれば今回の処刑は、絶対に後戻りしないという「背水の陣」を敷いた中国への「No!」というメッセージを声高に伝えたことを意味する。これまでも北朝鮮には六ケ国協議で顔に泥を塗られた経験が何度もあるから、「今度の今度こそは許せない!」と習近平指導部は強く感じたはずである。この意味では、現時点では冷ややかながら模様眺めに出ている中国の今後の対応は見ものである。

さて、ここで処刑までしなければならない金正恩の事情というのにも着目してみたい。中国が完全に「金正恩はルビコン河を渡った」と確信するに至る処刑を行うには、それなりの背景が考えられる。私はここでは、全く内容が真逆のふたつのシナリオというものを考えてみた。

ひとつめのシナリオは、北朝鮮が核武装を概ね完了し、アメリカ本土は別としても、中国を含め韓国、日本への核攻撃能力を持つに至り、今更、中国に頭を下げ続ける朝貢外交に徹する必要などなくなったと金正恩が判断したというシナリオである。張成沢氏は、中国なしでの北朝鮮が生き続けられない事実を熟知していたから、金正恩がその様な方針を打ち出したとしてもそれを体を張って止めようとするはずである。であれば、引き続き中国から侮辱を受け続けて我慢するか、張成沢氏を抹殺して中国の懐を振り切るか、そのどちらかを選択しなければならない。若い金正恩には過去の長い長い歴史などどうでも良いから、一足飛びに中国と対等な関係となり、同様にその結果としてアメリカ、日本とも対等な関係になりたいと思ったのではないか。

そしてもうひとつのシナリオは、先のシナリオとは真逆であり、北朝鮮が核武装に手こずっており、折角、核実験やミサイル実験でアメリカ、韓国へのブラフに成功している中で、その核武装への道が遠いという情報が海外に流出することを恐れたというシナリオである。張成沢氏は中国とのパイプが太いから、そこで北朝鮮の核開発の状況を喋ってしまうかも知れない。というか、既に何らかの現状を匂わせる発言をした後かも知れない。北朝鮮側の手の者が、中国側にその情報が漏れていることを掴んだ後で、これ以上の情報漏えいを防ぐために張成沢氏を処刑したというシナリオである。生きたまま幽閉しておいて逃亡されようものなら、全てを洗いざらい喋られる可能性があるから、金正恩としては先に手を打って処刑したという流れである。

これらのシナリオは内容的に真逆だが、どちらの方が正しいかの確証は誰も掴めていないだろう。ただ、北朝鮮が中国を強く意識した追従姿勢を示すようであれば、まだ中国と対等にはなれていないと思っていることの表れだから、核武装に手こずっている後者のシナリオの可能性が高い。一方、中国にさえも強気な態度で臨む傾向が強まれば、前者の核武装が完了したという可能性が高まる。そのどちらかが確定しない限り、核武装を概ね完了させたというブラフが世界的には通用することになる。

日米韓、そして中国が一斉にその辺の品定めに奔走しているというのが現状なのではないだろうか?

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