けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「言った/言わない」の裏にあるもの

2011-11-17 22:49:07 | 政治
何だか奥が深くて面白い。

野田首相がオバマ大統領との会談で、「すべての物品とサービス分野を、貿易自由化の交渉テーブルの議題にのせる」と言った/言わないの問題である。日本政府は米国政府に訂正を求め、一部報道では米国が日本の主張を認めたとあったのに、その後に「訂正はしない」としている。さらに、政府は訂正を求めたが、訂正しない現状を受けて、それ以上のことは言わないことを決めたともある。

最初、アメリカにいいようにやられているだけと思ったが、よくよく調べてみると面白い。まず、米国の報道資料には以下のような記述がある。

The President noted that all TPP countries need to be prepared to meet the agreement's high standards, and he welcomed Prime Minister Noda's statement that he would put all goods, as well as services, on the negotiating table for trade liberalization.

日本政府が「野田首相はそんなことは言っていない」と言えば、確かに「言っていないことは認める」が、この文章は(その通りのことを)「言った」とは書いていないので、その意味で訂正の必要はない…とのことのようである。つまり、本当に言ったのであれば引用符“”を使っているはずで、そうはなっていないから、これは野田首相の声明をオバマ大統領がどう解釈したかを意味していて、その意味では「大統領はこう解釈しているので訂正の必要はない」というのが米国政府の主張のようだ。一方で、日本の主張を聞き入れて発表内容を訂正すると、米国も日本の「例外品目設定」に同意したことになってしまうので、これを受け入れることは殆ど不可能である。

そもそも、9月のオバマ大統領と野田首相の会談の際に、普天間問題に対するオバマ大統領の発言を敢えて日本政府が不正確に発表したりと、お互いに微妙なところで駆け引きをし合っているのが常識の世界のようだ。だから、今回は米国政府が「野田首相が『そうは言っていない』ことを認める」代わりに、日本政府も「それ以上の深追いはしない(訂正を強硬に求めない)」というところを落としどころと考えているふしがある。

国会では、TPP反対派や野党が首相をこの件で追求しているが、当の政府サイドの人々は、今回の件は貸し借りの範疇で重要な話ではないと割り切っているので、議論はお互いにかみ合わない。

話は変わるが、北朝鮮との拉致問題の交渉でも、交渉を行なっている担当者同士では「○○さんは本当に死んでいる」「横田めぐみさんは返せない」「あと何人までなら日本に返してもいい」「ただし、それを最後にこれ以上は拉致を問題にしないと約束してくれ」というような、相当突っ込んだ話をしているという噂がある。真偽は定かではないが、外務官僚は日本の政治家が行う低レベルな揚げ足取りや有耶無耶な決着よりも、よっぽど微妙な駆け引きをしているようだ。その交渉ノウハウおよびエネルギーを、国内対策ではなく、諸外国との交渉に最大限に活用して欲しい。

同様にマスコミも、もう少し突っ込んだ背景の解析にエネルギーをさき、解りにくい部分の行間を読み込んで読者に解説して欲しい。素人が見ていても、「奥に何かあるな?何だろう?」というところをそのままにしないで欲しい。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます


最新の画像もっと見る

コメントを投稿