けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

北朝鮮化する中国(穏健派と急進派の先鋭化)

2013-03-18 22:26:53 | 政治
一体何が起きたのかと目を疑る報道があった。

共同通信47ニュース2013年3月18日「中国軍幹部、射撃レーダー認める『艦長判断』『領空侵犯は作戦』

この記事によれば、中国軍の高級幹部が共同通信の取材に対し、FCレーダの照射を認め「艦長の緊急判断だった」と計画性を否定したという。昨年12月の領空侵犯についても、「軍の作戦計画だった」と認める一方、「軍は、(領空侵犯以上に)事態をエスカレートさせるつもりはなかったし、今もない」と語ったとい。複数の関係者から裏が取れているようなので、ある程度の軍の上層部において、公式発表か否かは別として情報のリークを容認する勢力が存在することを表している。

しかしこの話は、元々は日本が証拠を出しながら、中国外務省及び国防省は公式に否定の声明を出し、日本の言いがかりも甚だしいと日本を強烈に非難していたわけである。この中ではFCレーダ照射を大変危険な行為と位置づけて「そんなことするはずない!」と開き直っていたのだから、その方針を転換した時に責任問題が発生するのは容易に予想される。つまり、(1)これだけ危険な行為を安易な判断で行った艦長の責任、(2)外務省及び国防省の情報収集に対して適切な情報を報告しなかったことへの責任、(3)自らに非があるのに「デマを流して中国を誹謗中傷するな」と他国を誹謗中傷したことへの国際社会に対する責任、などであろう。(1)については必死に「日本が挑発したから」ということで有耶無耶にすることは可能かも知れないが、少なく見積もっても(2)の責任は免れない。(3)という失態を国家が犯す原因を作った責任だから、こればかりは厳重な責任追及の対象になりかねない。(1)は艦長レベルでの判断と見なすことも可能かも知れないが、(2)の報告が軍の上層部に上がっていなかったとは考えにくいから、(1)よりも(2)はより階級の高い高級幹部レベルでもみ消したことが予想される。だから、そこまで上層部の責任追及を覚悟の上で、FCレーダ照射を認めるとの判断を軍がしたことになり、これは驚くに値する。

何故に中国にとってメリットがないのにFCレーダ照射を認めるのかといえば、考えられるのは防衛相の幹部が中国国防省の幹部に対して動かぬ証拠を近々発表し、その内容がどのようなものかを事前にリークしたのではないかと考えられる。ないしは、米国と中国の間でも両国の軍担当者が相互に意見・情報交換などを行っているが、この中で「日本が発表する証拠は、国際社会の中では明らかに中国の蛮行を認めるのに十分な内容であり、証拠を出される前に認めた方が中国側の被害が小さい」と米側から諭されたということもあるかも知れない。また、ここから先は単なる思い付きだが、「日本の公開する情報には、単に日本側の探知能力を示す情報に留まらず、中国にとっても不利益な軍事情報(中国側レーダの性能や波形の特徴などを示す情報)が含まれるから、この公開は中国にとって不利益である」という情報リークがあったのかも知れない。相当な不利益が中国軍側になければ、中々、この様な大きな方針の変換は説明できない。

ただし、ここまでこの様に書いてきたが、夕方になって中国国防省がこの報道を否定する声明を出した。論調は今まで通りであり、あくまでも公式見解としてはFCレーダは照射していないということで方針の転換はないらしい。ますます分からなくなってくるのであるが、それでも明らかなのは軍部(ないしは中国共産党)内に二つの考え方が存在するという証拠である。

ではその二つの考え方とは何か?上記ニュースとは直接関係はないが下記の様な報道も先日あった。

Record China 2013年3月13日「<尖閣>武力行使すれば奪還は可能、でも中国は高成長の環境を失う―中国政協委員

これは以前からこのブログでも指摘している通りの極めて常識的な話であるが、要は中国が尖閣を奪取することで得るメリットに対し、奪取したことで失う国家の高度経済成長のインパクトは大きく、「尖閣奪取」は決して中国の政権側が選択肢のひとつとして選べるものではないという事実である。これだけ住民の不満が募る状態では、ひとたび戦争が始まれば一時的に国民のベクトルをひとつの方向に向けることは可能だが、仮に戦争に勝ったとしても(単なる高度経済成長への大ブレーキによる経済損失のレベルに留まらず、それを桁違いに超えるインパクトとして起こるであろう)その後の国内の暴動は国家の致命傷になることを忘れてはならない。私には中国国内の現時点での権力闘争がどの様な状況に落ち着いたのかは良く分からないが、少なくとも政権の中枢のある程度の勢力は、上述の視点から対日戦争に向けてイケイケ・ドンドンの思考が国内に蔓延するのを修正しようと考えていることは伺い知れる。これは軍内部にも同調者がそれなりにいて、その様な人達が中心となってソフトランディングできる落しどころを模索し始めたのかも知れない。幸いにも日本側の反応は毅然とはしていながら極めて抑えた対応が多いから、何らかのサインを日本に対して出して修正を試みているのかも知れない。今回の「FCレーダを照射した」という情報リークは、少数勢力かも知れないがその様な意図なのかも知れない。

今回の全人代で選ばれた習近平体制は彼の意に反して、かなり胡錦濤派や温家宝派などの比較的穏健派が抜擢されている。北朝鮮では軍部の暴走を許し、対米強硬派が好き放題やることで国家滅亡の危機に直面している。見方によっては、これを他山の石として自らの襟を正すことに注意を払い、尖閣での強硬な行動よりも汚職や環境問題、貧富の差などの国内の不満に正面から取り組む行動を取るべきだという考えの表れかも知れない。ただ、習近平氏の国家主席の就任に日本政府が祝電を打ったところ、中国からは何のリアクションもなかったという。中国国内は一枚岩ではなく、穏健派と強硬派は互いに先鋭化し、しのぎを削るのであろう。

今後もこれまで以上に強い対立が繰り返され、意味不明な今回の様な報道を目にする機会が増えるのかも知れない。

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