先日から円安と株高傾向が注目を集め、自民党の安倍総裁の政権公約やさらに一歩踏み込んだ発言との関連性について、各党の要人や有識者のコメントがニュースを賑わせている。私は経済のことは十分に理解できている訳ではないが、本来、この様な論点が選挙ではもっと議論になるべきだと思っている。何故なら、多分、国民の現在の最大の関心事は今後の景気の動向だと思われるからだ。
典型的な議論としては、消費税増税の是非を選挙の争点に据える政党があるが、しかしこれは詳しく見ていくとデフレ脱却・景気回復に比べれば些細な話である。と言うのは、共産党や社民党を除けば、長期的に見れば消費税増税(地方税化を含む)の必要性を認める党が大部分だから、色々言ってもこの不景気の中で行う増税の妥当性を議論しているに過ぎない。しかし、現在の法案にも景気条項が入っているから、オフィシャルには民主党ですら「不景気のままで増税するなんてとんでもない」ということになる。とすると、仮に来年の10月に景気判断の時期を設定するなら、多くの党の主張を噛み砕いて整理すれば、それまでに短期的に景気を急回復させることができれば増税容認だし、景気なんて回復できないと割り切れば増税反対となってしまう。どちらが正しいかと問えば、増税の賛成/反対という切り口を横に置けば、死に物狂いで景気回復をして増税が可能な状態に導こうとする政党の方が良いに決まっている。もちろん、どの程度の経済成長率で増税を許容するかは党によって異なるのであろうが、それは本質的な差ではなく相対的な差でしかない。
この様な視点で見たときに、多くの政党の中で元も景気対策にアグレッシブなのが自民党だというのは多くの人が認めるところだろう。一時期、デフレ脱却のために「ヘリコプター・マネー」という考え方が話題になったが、そこまで極端なことは別としても、20年もの間脱出することができなかったデフレを脱するためには相当力技の一見「無理筋」の政策までを視野に入れる必要がある。現在の財政赤字の最も深刻な点は、不景気に伴う税収の大幅な落ち込みである。2005年頃の小泉・竹中改革の時代には景気が回復し、プライマリーバランスの黒字化直前まで行っていた。極端な話、2005年当時程度まで景気が良くなれば、(バラマキがなければ)単年度での財政赤字はなくなるから消費税増税など必要はないし、逆に消費税増税をしても「買い物を控えよう」などと考える人はいない。景気が良くなって歯車が上手く周り出せば少々の無茶はアッという間にチャラになる。所謂、上げ潮路線である。
勿論、上手く回るつもりで無茶して回らなかったらドツボにはまるので、大抵の場合には「無理筋」の政策にはツッコミが入る。しかし、実際にはツッコミを入れる人は極端な例を引き合いに出してダメ出しするから、そこまで極端な無茶でない1歩手前の無茶ぐらいが劇薬の薬として重要であったりする。自民党の国土強靭化計画は、「今更、公共事業かよ!」とか「コンクリートからコンクリートかよ!」とか言われる。極めつけは「消費税上げて公共事業かよ!」と言われると、テレビのコメンテーターなどは反論しようともしない。しかし、自民党案では(真水の税金投入は)3年で15兆、10年で40兆である。民間からの投資も含めて総額200兆と言うが、それが全て税金ではない。民主党のバラマキと似たようなものである。
面白いのは、全てを公共事業で解決しようと思ったら、この程度では大した効果は得られないだろうが、相当強引な円高誘導と緩やかな2〜3%程度のインフレ誘導をセットで行うわけだから、最近の株高を見ただけでも景気回復(およびデフレ脱却)にかなり効果が出てくることが予想される。その劇薬が効きすぎて、国債が高騰しそうであれば禁じ手である日銀による建設国債の直接買い入れもあるのだろうが、別に、そんなことしないで市場を介して何とかなるなら禁じ手も不要である。しかし、その禁じ手のブラフがそれだけで円安誘導につながるのだから、どっかの財務大臣の不毛な口先介入などとは根本的に破壊力が異なる。民主党政権では為替介入しても市場への影響力が殆どなかったのだから、安倍総裁の現在の影響力は嫉妬の目でしか見れないのであろう。
今必要なのは、先入観念で政策の選択肢の駄目出しすることではなく、その駄目出しが危惧するリスクを回避する手段をあげつらいながら、劇薬の副作用を封じ込める手段の議論である。最後の抑えで禁じ手をチラつかせたぐらいで、選挙目当てに大げさに駄目出しするのは無責任である。この様な議論をテレビ討論などで見てみたいのだが、あまり期待できそうもない。
であれば、やはり自民党を軸とする政権に期待するのが最善策なのだろう。ここに、行財政改革を強力に推進できる助っ人が加われば、鬼に金棒である。
←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます
典型的な議論としては、消費税増税の是非を選挙の争点に据える政党があるが、しかしこれは詳しく見ていくとデフレ脱却・景気回復に比べれば些細な話である。と言うのは、共産党や社民党を除けば、長期的に見れば消費税増税(地方税化を含む)の必要性を認める党が大部分だから、色々言ってもこの不景気の中で行う増税の妥当性を議論しているに過ぎない。しかし、現在の法案にも景気条項が入っているから、オフィシャルには民主党ですら「不景気のままで増税するなんてとんでもない」ということになる。とすると、仮に来年の10月に景気判断の時期を設定するなら、多くの党の主張を噛み砕いて整理すれば、それまでに短期的に景気を急回復させることができれば増税容認だし、景気なんて回復できないと割り切れば増税反対となってしまう。どちらが正しいかと問えば、増税の賛成/反対という切り口を横に置けば、死に物狂いで景気回復をして増税が可能な状態に導こうとする政党の方が良いに決まっている。もちろん、どの程度の経済成長率で増税を許容するかは党によって異なるのであろうが、それは本質的な差ではなく相対的な差でしかない。
この様な視点で見たときに、多くの政党の中で元も景気対策にアグレッシブなのが自民党だというのは多くの人が認めるところだろう。一時期、デフレ脱却のために「ヘリコプター・マネー」という考え方が話題になったが、そこまで極端なことは別としても、20年もの間脱出することができなかったデフレを脱するためには相当力技の一見「無理筋」の政策までを視野に入れる必要がある。現在の財政赤字の最も深刻な点は、不景気に伴う税収の大幅な落ち込みである。2005年頃の小泉・竹中改革の時代には景気が回復し、プライマリーバランスの黒字化直前まで行っていた。極端な話、2005年当時程度まで景気が良くなれば、(バラマキがなければ)単年度での財政赤字はなくなるから消費税増税など必要はないし、逆に消費税増税をしても「買い物を控えよう」などと考える人はいない。景気が良くなって歯車が上手く周り出せば少々の無茶はアッという間にチャラになる。所謂、上げ潮路線である。
勿論、上手く回るつもりで無茶して回らなかったらドツボにはまるので、大抵の場合には「無理筋」の政策にはツッコミが入る。しかし、実際にはツッコミを入れる人は極端な例を引き合いに出してダメ出しするから、そこまで極端な無茶でない1歩手前の無茶ぐらいが劇薬の薬として重要であったりする。自民党の国土強靭化計画は、「今更、公共事業かよ!」とか「コンクリートからコンクリートかよ!」とか言われる。極めつけは「消費税上げて公共事業かよ!」と言われると、テレビのコメンテーターなどは反論しようともしない。しかし、自民党案では(真水の税金投入は)3年で15兆、10年で40兆である。民間からの投資も含めて総額200兆と言うが、それが全て税金ではない。民主党のバラマキと似たようなものである。
面白いのは、全てを公共事業で解決しようと思ったら、この程度では大した効果は得られないだろうが、相当強引な円高誘導と緩やかな2〜3%程度のインフレ誘導をセットで行うわけだから、最近の株高を見ただけでも景気回復(およびデフレ脱却)にかなり効果が出てくることが予想される。その劇薬が効きすぎて、国債が高騰しそうであれば禁じ手である日銀による建設国債の直接買い入れもあるのだろうが、別に、そんなことしないで市場を介して何とかなるなら禁じ手も不要である。しかし、その禁じ手のブラフがそれだけで円安誘導につながるのだから、どっかの財務大臣の不毛な口先介入などとは根本的に破壊力が異なる。民主党政権では為替介入しても市場への影響力が殆どなかったのだから、安倍総裁の現在の影響力は嫉妬の目でしか見れないのであろう。
今必要なのは、先入観念で政策の選択肢の駄目出しすることではなく、その駄目出しが危惧するリスクを回避する手段をあげつらいながら、劇薬の副作用を封じ込める手段の議論である。最後の抑えで禁じ手をチラつかせたぐらいで、選挙目当てに大げさに駄目出しするのは無責任である。この様な議論をテレビ討論などで見てみたいのだが、あまり期待できそうもない。
であれば、やはり自民党を軸とする政権に期待するのが最善策なのだろう。ここに、行財政改革を強力に推進できる助っ人が加われば、鬼に金棒である。
←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます