雑誌『第九入門』によると、1805年までに「歓喜に寄す」の詩に25ほどの曲が付いたという。なぜそれほどまでに、ベートーベンだけではなかった、ということですが、その理由も書いてありますが、それは略して、この25には入りませんが、シューベルトがやはりこの詩に附曲しています(1815年5月)。ピアノ伴奏の独唱曲(D189)です。シューベルトもすべての節には曲を付けていません。シューベルトが付けた節は、ベートーベンが付けた個所よりさらに少なくなっています。今日これから記す部分は、シューベルトは取り上げていません。
Wem der große Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein;
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!
1行目のwemと3行目のwerは関係代名詞のwer(英 who)です。werは主格、wemは与格です。意味は「~する人は」。großは形容詞で「大きい・偉大な・重要な」の意で、英語のgreatと同語源です。Wurfは「草案・計画・構想」です。gelungenは「うまくゆく・成功する」の意の自動詞gelingenの過去分詞です。辞書に、Der Plan wird ihm gelingen. そのプランはうまくいくだろう。 もうひとつ
Der Plan ist gut gelungen. そのプランはうまくいった。 というのがあります。詩を理解するのに役立ちそうです。詩では語句が省略されているようです。
eines Freundesはein Freund(ひとりの友)の属格です。ein(「ひとりの」)は英語のone,an,aと同語源です。zu seinのzuは英語のtoと同語源で、抽象名詞(前行のWurf)の付加語となっている。seinは「ある・存在する・~である」で英語のbeと同じと考えてよいでしょう。
holdは「やさしい・かわいらしい」の意の形容詞。Weibは英語のwifeと同語源で「妻」の意です。ein holdes Weibは「ひとりのやさしい妻を」になり対格です。errungenはerringen(「努力して得る」)の過去分詞。ここも語句が略されています。
einmischenは動詞で「混ぜ合わせる」の意。Mischeが前に、einが後に来ているが、と考える人がいると思いますが、この動詞は分離動詞と言い、ある条件でこのように前と後ろに分かれるのですね。私も学び初めにはどうしてかと面喰いましたが、言語を学ぶのに理由を聞いてもしょうがないです。そのような言語なんだと理解するのみです。ただし、このeinは「ひとつの」ではありません。「内へ・中へ」の意です。mischenは「混ぜる」の意で英語のmixと同語源です。「中へ・混ぜる」→「混ぜ合わせる」ということで、理解できそうです。ドイツ語はこのようにどんどん単語が増えていくようです。mischeは語幹にeが付いて、命令法の単数2人称です。Jubelは「歓呼・歓喜の叫び」の意です。その前のseinは「彼の」で(前に出た「~である」の意のseinと全く同じですが、別の語です。)、seinen Jubelで「彼の歓喜の叫びを」となり対格です。
*主格・属格・与格・対格という言葉が揃いましたが、これは名詞などの変化における4つの格を示しています。順に「~は・~が」「~の」「~に」「~を」の意と考えてよいでしょう。名称ですが、やはり順にN格、G格、D格、A格、もしくは1格・2格・3格・4格と数字で呼ぶこともあります。
Ja, wer auch nur eine Seele
Sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wer’s nie gekonnt, der stehle
Weinend sich aus diesem Bund!
Seeleは「霊魂・魂」で英語のsoulと同語源です。nenntはnennen(「命名する・呼ぶ・称する」の意)の直説法単数3人称形、主語は関係代名詞のwerです。その前のseinは前に出た「彼の」の方の語ですが、ここは述語的に使われています。辞書に
Das Buch ist sein. その本は彼のだ。 というのがあります。
Erdenrundは「地球」です。Erde(英 earth)(「大地・地面・地球」の意)とRund(「丸い物・円球」)との合成語です。
wer’sはwer esが短縮した形です。esのeはしばしば省略されアポストロフィがそこに置かれます。英語のitと同語源です。わずか2文字で共通する文字がないですが、語源は同じです。そしてここは4格の「それを」の意味です。nieは副詞で「決して~しない」の意。gekonntはkönnen(英 can)(「~できる」の意)の過去分詞でここも語の省略があります。derは英語のthe,thatと同語源で、定冠詞として使われることが多いですが、ここは関係代名詞でデーァと延ばして読みます。stehlenはstealと同語源で、「盗む」ですが、ここは再帰代名詞sichを伴って、ひそかに立ち去る、ほどの意味と考えてよいでしょう。weinendはweinen(「泣く・泣き叫ぶ・涙を流す」の意)に-dがついて現在分詞で「~しながら」の意になり、副詞のような働きになります。Bundは「連合・同盟・連盟」の意です。
(続く)
Wem der große Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein;
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!
1行目のwemと3行目のwerは関係代名詞のwer(英 who)です。werは主格、wemは与格です。意味は「~する人は」。großは形容詞で「大きい・偉大な・重要な」の意で、英語のgreatと同語源です。Wurfは「草案・計画・構想」です。gelungenは「うまくゆく・成功する」の意の自動詞gelingenの過去分詞です。辞書に、Der Plan wird ihm gelingen. そのプランはうまくいくだろう。 もうひとつ
Der Plan ist gut gelungen. そのプランはうまくいった。 というのがあります。詩を理解するのに役立ちそうです。詩では語句が省略されているようです。
eines Freundesはein Freund(ひとりの友)の属格です。ein(「ひとりの」)は英語のone,an,aと同語源です。zu seinのzuは英語のtoと同語源で、抽象名詞(前行のWurf)の付加語となっている。seinは「ある・存在する・~である」で英語のbeと同じと考えてよいでしょう。
holdは「やさしい・かわいらしい」の意の形容詞。Weibは英語のwifeと同語源で「妻」の意です。ein holdes Weibは「ひとりのやさしい妻を」になり対格です。errungenはerringen(「努力して得る」)の過去分詞。ここも語句が略されています。
einmischenは動詞で「混ぜ合わせる」の意。Mischeが前に、einが後に来ているが、と考える人がいると思いますが、この動詞は分離動詞と言い、ある条件でこのように前と後ろに分かれるのですね。私も学び初めにはどうしてかと面喰いましたが、言語を学ぶのに理由を聞いてもしょうがないです。そのような言語なんだと理解するのみです。ただし、このeinは「ひとつの」ではありません。「内へ・中へ」の意です。mischenは「混ぜる」の意で英語のmixと同語源です。「中へ・混ぜる」→「混ぜ合わせる」ということで、理解できそうです。ドイツ語はこのようにどんどん単語が増えていくようです。mischeは語幹にeが付いて、命令法の単数2人称です。Jubelは「歓呼・歓喜の叫び」の意です。その前のseinは「彼の」で(前に出た「~である」の意のseinと全く同じですが、別の語です。)、seinen Jubelで「彼の歓喜の叫びを」となり対格です。
*主格・属格・与格・対格という言葉が揃いましたが、これは名詞などの変化における4つの格を示しています。順に「~は・~が」「~の」「~に」「~を」の意と考えてよいでしょう。名称ですが、やはり順にN格、G格、D格、A格、もしくは1格・2格・3格・4格と数字で呼ぶこともあります。
Ja, wer auch nur eine Seele
Sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wer’s nie gekonnt, der stehle
Weinend sich aus diesem Bund!
Seeleは「霊魂・魂」で英語のsoulと同語源です。nenntはnennen(「命名する・呼ぶ・称する」の意)の直説法単数3人称形、主語は関係代名詞のwerです。その前のseinは前に出た「彼の」の方の語ですが、ここは述語的に使われています。辞書に
Das Buch ist sein. その本は彼のだ。 というのがあります。
Erdenrundは「地球」です。Erde(英 earth)(「大地・地面・地球」の意)とRund(「丸い物・円球」)との合成語です。
wer’sはwer esが短縮した形です。esのeはしばしば省略されアポストロフィがそこに置かれます。英語のitと同語源です。わずか2文字で共通する文字がないですが、語源は同じです。そしてここは4格の「それを」の意味です。nieは副詞で「決して~しない」の意。gekonntはkönnen(英 can)(「~できる」の意)の過去分詞でここも語の省略があります。derは英語のthe,thatと同語源で、定冠詞として使われることが多いですが、ここは関係代名詞でデーァと延ばして読みます。stehlenはstealと同語源で、「盗む」ですが、ここは再帰代名詞sichを伴って、ひそかに立ち去る、ほどの意味と考えてよいでしょう。weinendはweinen(「泣く・泣き叫ぶ・涙を流す」の意)に-dがついて現在分詞で「~しながら」の意になり、副詞のような働きになります。Bundは「連合・同盟・連盟」の意です。
(続く)