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西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

シューベルト

2007-01-31 10:36:35 | ロマン派
今日は、シューベルトの生誕日です(1797年)。今、有名なD.733「軍隊行進曲」の第1番を聴きました。一度聴けば誰でも好きになってしまう軽快なメロディーだと思います。
シューベルトを描いた絵を見ると、仲間たちと楽しそうに音楽会を開いたり遊んだりしている場面があります。その音楽会のことを、シューベルティアーデと読んでいました。今でも、時々この言葉がシューベルトのコンサートに使われたりしているようです。このような絵を見ると、シューベルトとという作曲家は、市井の人というイメージを持ちます。そこに集まったのは、官吏や画家や詩人たちといった芸術愛好のディレッタントたちでした。シューベルトが産み出す音楽はこのような周囲の人たちを幸福にするためにあるような気がします。だから私たちも今シューベルトの音楽を気軽に聴いてこちらがその中に気に入った旋律を見つけられればそれだけ、気持ちが楽しく幸せな気分になれるのだと思います。しかしそういったシューベルトの音楽も、人生上の深みを見せる曲が晩年には多く作曲されました。亡くなったのが31歳ですから、普通の人にとってはまだ青年期を過ぎ、壮年期に入ったころというわけで、なぜこのような曲が作られたのかはいつも不思議このうえないことと思っています。そのような作品群は、前にも書いたが、シューベルトの作品をほぼ年代順に並べてつけたD番号で、900番台のものである。といっても、966番以降は、成立年代不明のものを並べたので、ここで言うのは、D.900からD.965番ということになる。様々なジャンルの作品があるが、お気に入りのものを記すと、以下のようになります。
D.911 歌曲集「冬の旅」
D.929 ピアノ三重奏曲 変ホ長調
D.934 ピアノとバイオリンのための幻想曲 ハ長調
D.940 ピアノ連弾曲 ヘ短調「幻想曲」
D.944 交響曲 ハ長調《グレート》
D.950 ミサ曲 変ホ長調
D.951 ピアノ連弾曲 イ長調「ロンド」
D.956 弦楽五重奏曲 ハ長調
D.957 歌曲集「白鳥の歌」
D.958 ピアノ・ソナタ ハ短調
D.959 ピアノ・ソナタ イ長調
D.960 ピアノ・ソナタ 変ロ長調
D.965 歌曲「岩上の牧人」
まだ、他にもあるだろうが、これらは一つ一つがその与える作品のイメージが異なる傑作である。
シューベルトというと、「歌曲の王」と言われて、それはもちろん正しいですが、他の分野でも数多くの傑作があることを忘れてはいけないでしょう。



スペインのモーツァルト

2007-01-27 13:59:08 | ロマン派
今日は、昨年生誕250周年を迎えたモーツァルトの誕生日ですが、スペインのモーツァルトと呼ばれる、ホアン・クリソストモ・アリアーガの生誕日でもあります(1806年)。そうです、モーツァルトのちょうど50年後に生まれたのです。別に記憶に留めないような作曲家なら、特に偶然というだけで終るでしょうが、この作曲家は、忘れることはできないような気がします。私はこの名を知ったのは、結構長いクラシック音楽愛好の中でも遅い方です。なくなったのが、1826年1月17日、20歳になる十日前、満19歳で亡くなったことになります。そのようなことから、作品はわずかですが、今コンサートで取り上げるに値する内容の作品と思っています。手元の音楽作品の辞書に記載されているのをあげると、以下のようになります。
歌劇「幸せな奴隷」「交響曲 ニ長調」「交響曲 ト長調」「交響曲 ニ短調」「弦楽四重奏曲 第1番」「弦楽四重奏曲 第2番」「弦楽四重奏曲 第3番」、それにカンタータ「アガール」。以上です。
このうち、歌劇「幸せな奴隷」序曲、「交響曲 ニ短調」「弦楽四重奏曲 第1~3番」のレコードを所持し、聴きましたが、その流麗な旋律を聴くとどこかしらモーツァルトの再来と言われるのもゆえないことはない、と感じます。モーツァルトよりもロッシーニの弦楽作品のようなイメージを感じることもありますが。
でも、本当に不思議です、35歳で亡くなったモーツァルトのちょうど50年後に生まれたとは。これからもこの作曲家に注目したいと思います。



ショーソン

2007-01-20 20:24:15 | ロマン派
今日は、フランスの作曲家エルネスト・ショーソンの生まれた日です(1855年)。ショーソンの作品で所持しているのは、ミュンシュのセット物にある、交響曲変ロ長調が思い浮かぶが、他には、と思って手元の作品名辞典を見ると、バイオリンとピアノと弦楽四重奏を組み合わせた作品(珍しい組み合わせ!)と弦楽四重奏曲ハ短調、を所持しているようだ。しかしあまり聴いてはいなかった。自分では、今の所まだこの作曲家の価値がわかっていないといったところだ。
興味を持って、更に辞典を見ると、合唱曲に「ヴェーダ讃歌」というのがある。もちろん持っていないし、これまでCD店で見たこともない。同じフランスの作曲家のヴァンサン=ダンディには交響的変奏曲「イシュタル」というのがある。実はシューベルトにも「シャクンタラー」という歌劇があり、歴史に関心があるものには、興味をそそられる作品名だ。しかし、残念ながら、これらはいずれも所持してはいない。以前、「イシュタル」については出ていたような気もするが。19世紀は、インドや中東においての考古学的及び文献学的な進歩が見られ、それに伴いヨーロッパでは人々のこれら地域への関心も高まったということなのだろう。これまで以上に19世紀においては、グローバル化が進んだと言っていいだろう。

シューベルトの伝道者

2007-01-19 13:23:44 | ロマン派
今日は、バリトン歌手のハンス・ホッターの生誕日です(1909年)。今、ホッターの歌によるシューベルトの「冬の旅」の第1曲「おやすみ」と最後第24曲「辻音楽師」を聴いた。ホッターは正統的なドイツのリート歌手と言っていいだろう。何も細工などしないで、シューベルトが綴った音符を丁寧に歌う姿勢が感じられる。歌詞及び音楽作品を大事に扱っている風に感じられる。それが終曲になると、ホッターの歌声を通してシューベルト自身が前面に出てきているような気がする。歌手というものはそういうものでなくてはいけないのでは。

私はよそ者としてこの町に来た、
今またよそ者として町を離れる。
つかのまの春はとりどりの花束を捧げて
私に好意を示してくれた。
少女は愛について語り、
その母は婚礼のことまでも語った-
今、この世はすがれ果てて
道は雪に埋もれている。 「おやすみ」より

村はずれに、あそこのところに、
ライエルをかなでる人がいる、
凍えた指で
一生懸命ライエルを回している。

・・・

しかし彼は一切のものを
成り行くままにまかせながら
ひたすらかなで続けていて、
ライエルの音は絶えることもない。

不思議な老人よ、
私はお前についてゆくことにしようか?
私の歌に、お前のライエルの
調べを合わせてくれるだろうか。 「辻音楽師」より

シューベルトはこの曲集が出来上がった時、周囲の人に歌って聞かせたが、彼らは暗い歌の連続に理解できなかったという。シューベルト自身はこれまでで最良の歌を作曲したと思っていたが。この曲集は並大抵な努力で理解できるものではないだろう。しかしホッターの歌唱は、なにがしかのヒントを我々に与えてくれるものだと思う。




シャブリエ

2007-01-18 11:13:54 | ロマン派
今日は、フランスの作曲家シャブリエの生まれた日です(1841年)。シャブリエというと、「ビゼー・グノー・シャブリエ」というふうにセットで、名前が出てくるのであるが、これは所蔵するある音楽全集で一つの巻に彼ら3人が収められているからであるが、19世紀の半ば、ほぼ同時代に活躍した作曲家であることがこれでわかる。3人のうちで、シャブリエはあまり他の二人に比べ名前が出てこないかもしれないが、やはり狂詩曲「スペイン」は管弦楽曲の名曲として聴く人を魅了するものだろう。もう何年にも前になるが、日本のオーケストラ(指揮は外国人だったか?)でこの曲を聞いた時、あまりにも乗りに乗った一糸乱れぬ演奏で、あたかもフランスのオケを聞いているような印象を持ったのを思い出します。昨今の国際的なバイオリン・コンクールで日本人が上位を占めることが多いのも、日本人全体のレベルが急速に上がっているということなのだろう。今日は、「小さなワルツ」というピアノ曲を聴いてみました。こんな短い曲にもシャブリエ風が感じられます。

ドリーブの思い出

2007-01-16 10:49:52 | ロマン派
今日は、フランスのバレエ音楽の作曲家ドリーブの亡くなった日です(1891年)。この作曲家はいわゆる学生用の音楽の教科書には載ってないでしょう。(今はどうなのかな?)それで割と遅くこの作曲家の名を知りました。それは、旅行で行ったイギリスのロンドンでです。ロンドンを飛び立つ前日、それはツアー旅行の最後の訪問地でもありましたが、その最後の夜に、現地の新聞で「コッペリア」が上演されるということを知り、この日は初日でした、それを実際に見たときでした。バレエですから、言葉がわからなくても話の筋はおおよそわかるわけで、はじめての音楽体験ながらその曲の良さもあって、楽しい旅行の思い出ができたように思います。旅行から帰って、レコード店で探すとカラヤンの指揮で、組曲が出ていました。裏面はショパンの作品を管弦楽用にアレンジした「シルフィード」です。カラヤンはこのような曲にも、前にも書きましたが、最高の演奏を残しておいてくれるのですね。ドリーブには、もうひとつ「シルヴィア」というバレエ音楽があります。この中の「ピツィカート」はお気に入りです。今バイオリンではじいてみましたが、なかなかうまくいきません。以前レッスンした曲もうまくひけるようになるまでには少し時間がかかります。もっと時間が取れればと思いますが、・・・。
チャイコフスキーのバレエ音楽は、このドリーブから影響を受けているということを読んだ覚えがありますが、親しみやすい流麗な旋律を聴くと、分かる気がします。



ブルックナーの「テ・デウム」

2007-01-10 13:14:10 | ロマン派
今日は、ブルックナーの「テ・デウム」が初演された日です(1886年、ウィーン)。さきほど、カラヤン指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で聴きました。久しぶりにブルックナーの「テ・デウム」を聴きました。力強い曲で、ブルックナーの神への揺るぎのない信仰告白を聞く思いです。
ブルックナーは、マーラーと並んで長大な曲を書く人というイメージで、自分の中にあまり受け付けないようなものがありました。20代最初の頃まで。しかしカラヤンの4番と7番をセットにしたアルバムを買い、聴くようになってから、全く違った印象を持ちました。何か自分の求めるべき音楽であるとの。マーラーについても、やはりカラヤンの5番のレコードを聴いてからイメージは大きく変わりましたが、マーラーについてはまた後に述べることがあるでしょう。この「テ・デウム」は、第7交響曲とほぼ同時期に書かれ、一部旋律を同じくするものがあるが、ブルックナーは第1から(その前の「習作」「0番」を含めてと言ったほうがいいが)一曲ごとに高みに上っていく。そして第7から、第8、第9番と人類史上の最高傑作とも言うべき交響曲を書いた。第9が、3楽章までの未完成に終った場合、この「テ・デウム」を終楽章代わりに演奏して欲しいといったそうだが、内容的には合い通じるものがあると思う。
以前、マーラーの第2交響曲「復活」だけを指揮する素人の指揮者がいたが、もし私が1曲振る機会が持てるならば、この第9交響曲をできれば「テ・デウム」とともに指揮をしてみたい。



大学祝典序曲

2007-01-04 21:07:16 | ロマン派
1881年の今日、ブラームスの「大学祝典序曲」がブレスラウで初演されたという。手元にこの曲がなかったので、代わりに第1交響曲の前半2楽章を聴いた。
この「大学祝典序曲」というと私の年代には、受験講座を思い起こさせる。ラジオで毎日2科目、1時間の受験講座が放送されていた。現役、浪人時代合わせて3年くらい聴いただろうか。そのラジオ講座のテーマソングとなっていたのだ。この曲を聴くと不思議にその時の先生たちのしゃべり方を思い浮かべる。なかなか勉強の話に入らず、勉強の大切さとか、一人で受験勉強に打ち込んでいる者たちへの励ましの言葉を滔々と述べる人がいた。そういうことが思い出される。
作曲者がブレスラウ大学より名誉博士号を贈られた時にその返礼として作曲したもので、多くの学生歌が繋ぎ合わされてできている。そのうちの一つがラジオ講座のテーマソングとして使われていた。

「のだめ」ではブラームスの第1交響曲が、ベートーベンの第7交響曲と共にメインの音楽として使われていた。今年はアマチュアのオーケストラでは、この2つのいずれかが取り上げられることが多いだろうと言われている。

「音楽歳時記」は、『モーストリー・クラシック』(これはドラマの中で出てくる『クラシック・ライフ』のモデルだとのこと)の2004年6月号から2005年5月号までの付録に付いていた『プチ・モス』を元にしていますが、それ以外に自分で見つけたものも取り上げたいと思っています。



シューベルトのピアノ・ソナタ

2006-12-28 14:17:54 | ロマン派

「のだめカンタービレ」でコンクールでの演奏曲としてシューベルトのピアノ・ソナタ第16番が出てきます。あまり知られていない曲ですね。原作者はよくクラシック音楽をご存じな方なのですね。ピアノ・ソナタというと、ベートーベンは32曲、モーツァルトは17曲書いてますが、シューベルトも21曲書いてます。というより後の人が番号をつけたのが21あるといった方がいいでしょう。でもこのうち、9曲は未完です。有名な交響曲に「未完成」というのがありますが、シューベルトは他の分野でも未完の曲が多く、とりわけピアノ・ソナタで多いですね。でも私は、その「未完成」交響曲を含め、未完のものに惹かれることがおおくあります。

戻りますが、第16番のソナタは、1825年シューベルト28歳の時に作曲されました。大規模なソナタです。リヒテルのレコードでこの曲を知りました。リヒテル特有のしっかりその曲の全体像を捉えた演奏という印象を持ちました。それほど回数は聴いていず、頭にそのメロディーは残っていませんでしたが、ドラマで聴いて思い出したというところです。

さてシューベルトのピアノ・ソナタですが、最後の3曲に特に惹かれています。とりわけ最後の21番のソナタは神品といった感じを受けます。これまたリヒテルのレコードで知りましたが、このような演奏を残してくれたことに深く感謝です。そしてシューベルトの深い哲学的な、死を間近にした作品というのはこのようなものなのかとさえ思います。19番のソナタの終楽章も極めて深い印象を与えます。これらを書いた後、2ヶ月してシューベルトは亡くなりました。一般にシューベルトは歌曲王として名を知られていますが、他の分野の作品ももっともっと知られていいでしょう。1000曲ほどの作品のうち9割以上を聴いていますが、聴くたびにその魅力は膨れていきます。これからも聴いていきたいと思います。

「のだめ」の中ではもっとシューベルトが出てきていいような感じを持ちましたが...。