渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ブランズウィック・チョーク

2022年06月06日 | open
 
 
ブランズウィック・ゴールドクラ
ウン・チョーク、金ラベル。
黒ブラ2号の次の現行バージョンだ。
最初、箱出し新品状態ではカッチ
カチのパサパサで、こりゃおえん
が~(岡山弁)とか思っていた
のに、使っていたら、あら
不思議。
しぶしぶ使っていて、一皮二皮剥
けあたりから、ややネットリ
系に
なって来た。
最初の頃は「こりゃダメだ」と思
ったが、今では結構使える。
 
なんでしょ?
湿度の関係?
あすは雨だからか。
途中で質感が変化するチョーク
これまでチョーク沢山使えども、
初めてだ。
これはこれで面白いかも知れない。
この個体だけか、他の同製品も同様
の状態を示すか、今後試してみる事
にする。
もしかして同じような経過を示した
ならば、試合や重要対戦の際には、
箱出し新品ではなく、皮剥きした
状態のチョークを使えば相当いける
感触の新ブラです。
皮剥き後に全開オッケーとかバイク
のタイヤみたい(笑)。

(2022/6/4の記事編集投稿)

国境を超える文化的共通性

2022年06月06日 | open
 

アメリカ人がアメリカンポケット
ビリヤード=プールの道具である
プールキューを発明した。
そして、明治以降、日本でも西欧
のキャロムビリヤードが入って来て、
昭和の初めにまだ日米親交時代に
日本にもキャロム以外のポケット
ビリヤードが登場した。
当時はゲーム種目がローテーション
がメインだったのでポケットビリ
ヤードは「ローテーション」や
「ロ式」呼ばれた。

アメリカ人や日本人だけでなく、
西欧人にも共通する特定の好みが
ある。
それは、木を使った建物や家具、
道具などでは、「杢目を楽しむ」
という共通の感性を持っている
事だ。
それらの特徴は、硬度や反響音や
粘り等の
その樹木が持つ種類ごと
の性質に依るもの
とは別に、視覚
的な楽しみとし
て存在してきた。
そのような視覚的嗜好性は洋の東西、
国境を越えて、人間たちは愛して
来たという歴史がある。
特に家具などでは、日本もアメリカ
も英国もフランスもスペインも
ドイツもイタリアも北欧も、木材
の「木の味」を視覚的に楽しもう
とする共通性が万国に見られる。

ビリヤードのキューに限ってみると、
アメリカンプールキューでは、米国人
も日本人も木材の杢に極めてこだわ
り、視覚的にそれらを珍重する。
木の杢が人に与える安らぎと喜び
と落ち着きと芳醇な精神的リラクゼ
ーションは、単なる「目で見る模様」
としてではなく、人知の及ばぬ自然
界が織りなす模様によるものだろう。

キャロウェイゴルフの副社長の米国人
リチャード・ヘルムステッターが
プロデュースするアメリカ製キュー
を製造するために日本のアダム社は
誕生した。
元々アダムはアメリカ企業であり、

日本国内には「アダムカスタム」と
して米国からキューが逆輸入され
ていた。
なかなか国内ではアダムキューは
入手できず、いわばアメリカン
カスタムと同じ位列にあった。
アダムが国内販売を始めたのは
アダムジャパンが設立されて後の
1986年からだ。
そのヘルムステッターキューの
ハギはアダムの従業員で職人だっ
た粕谷氏が担当していた。

バートン・スペインのように粕谷
ヘルムステッターハギのフォアアー
ムのみを使用して、私は私のオリ
ジナルデザインのキュー
をバラブ
シュカスタイルでコンバー
ジョン
させる事で新規にキューを
作った。
真の意味のカスタム。
リチャード・メイスンがコルト・
パーカッション・シングルアクショ
ンをカートリッヂ・コンバージョン
にしたようにというよりも、バラ
ブシュカの手法そのもので。

ステインを削り落として、部分的に

フォアの境目を旋盤で削り上げ、ハン
ドル
部との連結切除前の段階。ハンドル
はまだ削り整えていない状態。
糸巻きはフォアアームにまでかかる

設計とした。これは全体像からの寸法
割り出しでこの位置決めとなった。


このハギの風合いとメイプルの表情
がたまらなく好きだったので、その
部分を使用して完成をみた。ハンドル
から下は30数年の酷使で多少不具合
が出ていたので、フォアから下は新規
製作で、リペアではなくリビルドを
したのである。スタビライズドウッド
のセンターコアネジ方式。太い強化木
の新規製作ネジでがっちりとバットの
三分割を連結している。


このキューの撞球性能は、ヘルム
ステッター時代を遥かに超えた。
そして、何よりも、この杢目と
風合いを私は好んでいる。
メインシャフトは1987年淡路亭製。
赤木のハードロックメイプル。


木製ビリヤードキューの杢は、単に
視覚的な楽しみを与えてくれるだけ
ではなく、材質の性質をある程度
予見させる表情であるともいえる。
バーズアイが出ているメイプルは
硬めのハードロックメイプルだ。
当然打感も硬質でソリッドになる。
だが、それは無垢材の時の話で、
そこにハギがあったりセンターコア
だったりしたら打感は違って来る。
このヘルムステッターはハギに
ローズウッドが使用されていた
が、ノーマル状態での打感はやや
ボケた感じだった。
それにソリッド感とリニアな反応
を付与させたく、いろいろ構想を
練った。練りに練った。
そして完成したのだが、新規コン
バージョンリビルドしてから17
経つが、今のところ、極めて良好
な動態性能を示している。
申し分ない。
淡路亭の1987年にオーダーメイド
で作ったシャフトとのマッチング
もベストマッチだ。

メイプルとスリーブのブラジリアン
ローズウッドの杢目も気に入ってます。
ブラジリアンローズの影響もある
のか、音質はボンボン音からカキーン
音に一変した。これはバットエンド
にキンキンという音がする工業樹脂
であるデュポン社のデルリン®を
使用した影響もあるかも知れない。
振動が当たる部分がエンドのキャップ

だからだ。
ゆえに、私は円筒パイプ音がする
キューは好きにはなれない。
澄んだ木琴のような音を奏でるキュー
を好む。それは象牙先角を使わずと
も実現できる。重要なのは木材だ。

とにかくこのオリジナルキューは、
音はアメリカンカスタムの
音その
ものになった。

通常の強さで撞くとクォーンという
木琴音がする。

木が良い。木の製品が良い。
住居は鉄と石でできていてもいいが、
家具やキューだけは木製が私は良い。
私は化学素材のシャフト本体をビリ
ードで使う気は全く無い。一つも。
今後も木製キューを使い続ける。

メイプルいろいろ

2022年06月06日 | open



ビリヤードキューのシャフトに
使われる木材は主としてメイプル
が使われる。
そのメイプル(メープル)には
様々な呼称区別がある。
木材の世界では国産のカエデの
事はカエデと呼び、北米産の
種はメープルと呼んでいる。
メイプルは種別や硬度や模様に
よって呼び方が異なるのでやや
こしい。

硬度だけで区別すると、ハード
ロックメイプルが一番硬いとされ
るが、これはいわゆるサトウカエデ
だ。
硬さ分けすると、ハードロック
メイプル(サトウカエデ=シュガー
メイプル)やブラックメイプルが
一番硬い部類になり、音響効果も
高い為に楽器の材料に好まれる。
それとビリヤードのキューのシャフト
やボウリングのピンやレーン、建材
などだ。
それらの「硬いメイプル」と対局に
あるのが「柔らかいメイプル」群で、
シルバーメイプル、レッドメイプル、
ビッグリーフメイプル等がある。
他にもあるが割愛。
ただ、音の世界は一本調子ではなく、

ソフトメイプルも集積材として使用
すると共鳴が利きすぎるチャラ
チャラした音ではなく、独特の
太い音が出るので、こちらも捨て

がたく、マニアックな音作りでは
楽器でも珍重される。キンキラ音
ではなくドンドコ系の音を得るに
は硬いサスティーンの強い木材で

は無理で、そうした音質をあえて
求める場合には木材の種類と同時
に、メイプルにみられるような
硬軟の種別での選択も音作り人
たちは視野に入れて音を作って
いる。これは発達した現代の音響
エフェクトでも超えられない原音
領域の問題なので、木の質性が

音に及ぼす根幹の影響は大きい。

ビリヤードキューの場合、高音で

澄んだ音がする物は、部品の接着
の正確性確実性以上に木材の質
と先角の材質に依拠する面が極め
て大きい。タップの硬度はさほど
関係ない。硬質木材と先角のキュー
は抜けるような澄んだ高音が
する。これはたとえ柔らかいタップ
を接着していても。
そして、一様に静かにゆっくり
芯撞きをすると、「クォン」とか
「ズピン」という響く音がする。
強く撞くと「キューン」とか「キ
ーン」とか「カコーン」という
金属バットでホームランのような
音がする。通常撞きだと「クォーン」
という木琴を叩いたような音だ。
おしなべてアメリカンカスタム
キューのソリッドシャフトでは
そのような音を発する。
そして傾向としては、白っぽい白木

のハードロックメイプルよりも
赤っぽい赤木のハードロックメイ
プルのほうが良質高音を発する。
だが、心材に近い部分の赤木の
メイプルは、その原木自体が既に
ほぼ枯渇状況にあり、現在では
入手は極めて困難になっている。
現在の手法は白木で柔らかめの
メイプルにネルソナイトという
木造建築保護剤をどぶ漬けして
曲がり防止と固めの工程を経て、
それをシャフトとするのが主流だ。
大昔のように赤木の良材だろう
と白木の硬質メイプルだろうと、
それを年月をかけて自然乾燥さ
せて、さらに時間をかけて削り
ながら作るという手法はどの
製作者でもほぼ採っていない。
マスプロメーカーは絶対にそれ
はやらない。
個人的製作者では30年寝かし
乾燥の5年削りで仕上げる作者
もいるが、当然出来上がり価格
が跳ね上がる。
だが、そうやって作られたキュー
は、まず曲がらない。50年経って
も曲がらない。
かつては、良材が豊富だった頃
は、マスプロメーカーのキュー
でも原材が良質すぎるために
通常シーズニングあたりで作っ
たキューでも曲がりは生じなかっ
た。50年前、60年前のキューが
今でも現役で使用可能どころか、
新品の現代キューよりも良い動き
を示したりする事がある理由は
一つ。材料が現在とは別物なのだ。
同じ種類の木材でも。

なお、ネルソナイトをしみ込ま
せた白木の現代シャフトは実際
に削ってみるとシャリシャリと
かき氷のようだ。
一方、大昔の赤木のソリッド
シャフトは、削るとまるで硬い
チーズのような感触が感知でき
る。
昔の材と現代の材料では、同じ
種類の木でも、質がまるで別物。
当然、昔の材料のほうが遥かに
撞球性能は優れている。
そうした良材が枯渇する事が
見越されたので、20世紀末期に
張り合わせベニヤのシャフトが
発明された。それがハイテク
シャフトだったが、たまたまの
偶然で、手玉のトビの軽減現象
が見られたので、そちらが研究
されはじめて、その特性特化の
性格絞り込みのシャフトがハイ
テクシャフトの開発目的に変化
してしまった。
だが、原初の獲得目標、そして
今でも不変のハイテクシャフト
のテーマは「合板による資源
枯渇乗り越えと品質の安定化」
である。
しかし、ハイテクシャフトはあまり

にも多くの製造者が乱造したため、
やはり資源枯渇の対処療法どころか
さらに資源不足を加速させる結果を
もたらした
。それは、従前のソリッ
ドがスタンダードだった時代
よりも
多くの人が複数のシャフト
を買い
求め始めたからだ。次から次に

新製品が出るたびに。
ハイテクシャフトの飽和状態は、

同時に良質メイプルを分割合板に
する事さえも危ぶまれる状況を
発生させてしまった。
かつてはキュー1本につき、シャフト

は1乃至2であったのに、シャフト
のみが従前とは比較にならない量
で世界の各メーカーが製造した
からだった。
これでは、どうして環境対策の一環
としてハイテクシャフトが登場した
のか、意味不明の本末転倒となった。

そこで登場したのがカーボンシャフト
だ。

これは石油化学工業が消滅しない
限り製造できる。
自然界の天然素材にサヨナラする
事。それがカーボンシャフトだ。
楽器の笛はプラスチックで十分
でしょう、みたいなもの。
早期に釣り竿がその道を歩んだ。
だが、フライフィッシングに限って
は、今でもバンブーロッドが性能
的にもグラスやカーボンやグラファ
イトを凌駕している。単なる贅沢品
ではなく。
そこには人造物が超えられない
ものが存在している。
レーシングライダーの防護服では
今でも天然皮革ウエア以上の物が
存在しないように。
だが、企業は例によって「今度の

新カーボンシャフトは従来に比べ
て飛躍的に性能が向上」等を毎度
の事ながら宣伝文句に掲げて売ろう
とする。企業に心無し。資本は利潤
を愛しても人や物は愛さない。
それまで「最高」を謳って発売した
製品の存在を否定するかのように、
永遠と「新製品」を出し続けて、
美辞麗句で人々を欺罔して消費
させようとするのが資本である。
毎年のように新製品が出るという

事は、「何年も使えない長持ち
しない使い捨ての物」を論理的
には
売っている事になるが、その
からは流行大好きの大衆は目を
逸らしたがる。最新物を持っている
と虚構の満足感が得られるからだ
ろう。全員右へ倣えの金太郎飴
で、「流行」や「大勢の人」と
同じことをしていないと落ち着か
ない精神状態なのであろう。


さて、上述のそれらの硬度による
メイプルの区分け呼称とは別な呼
称概念として、木材の杢による区
分け呼称がある。
これもまた、ややこしさを加速

させるファクターになっている。
横縞が出ている物は日本語では縮
(しゅくもく/ちぢみもく)と
呼ばれるもので、
英語ではタイガー
メイプルとか
ピンストライプメイ
プルと呼ばれる。

これらは硬軟どちらのメイプルにも
存在する。樹木が成長する過程で
自重により縮み圧縮が生じるため
といわれている。

有名なバーズアイメイプルはソフト
メイプルには出ず、ハードメイプル
のみに現出するといわれている。
それゆえ、ビリヤードのキューでも
シャフトにもバーズアイが出ている
個体もある。また、バット材に鳥目
が出ている物は、硬いメイプルであ
るので撞き味もソリッド系になるし、
音質も高音を発する系列になる。
バーズアイの発生は一種の奇形とは
されているが、原因については未だ
解明されていない。日本語では鳥眼
杢(ちょうがんもく)と呼ばれて
いて、珍重される。佳鳥とされる
ウグイスの目に似ているからかも
しれない。

バール(瘤)による鳥目と似ている
が、出現する箇所は異なるので、
バールとは別物として扱われている。
バールは剪定などで太枝を切った
場所に発生しやすいが、バーズアイ
はすくすく伸びた部分にも出るので
21世紀現在に至るもその発生原因は
不明のままとなっているようだ。

キルテッドメイプルはスコットランド
の民族衣装のキルトの生地のように
薄い綿を重層的に織った生地キルティ
ングのような複雑で奥深い杢のメイ
プル
の事。樹木の成長過程が早い
環境に
多い為、ソフトメイプルに
キルテッド
模様が出る事が多いの
だが、ビリヤー
ドキューのバット
素材では、キルテッド
メイプル杢と
バーズアイメイプルが
一本の材の中
で混在しているケース
も見受けられ
るので、キルテッドはソフトメイプル
のみに出現するとする説は再考を要
ると私は考えている。
それはメイプルの硬度による種分け
の場合、一本の樹木でも硬い部分と
柔らかい部分が混在する部位にあって
は、硬い物にしか出ないとされる
バーズアイ、柔らかい物にしか出ない
とされるキルテッドの両方が混在
している例が現実にあるからだ。
TADキューなどはバーズアイメイプル
とキルテッドやタイガーが同居して
いるメイプル材をよく使用したり
している。
これはこれまでの材木界で喧伝されて
来た常識を覆すものだ。

他にもメイプルの杢による呼称区別
はスポルテッドやクロッチ等々、
まだ沢山
いろいろある。
ビリヤードキューで多く出ているの
は、バーズアイ、タイガー(細かい
目はカーリーと呼ばれる)、キルテッ
ド等が多い。
メイプルは硬さや杢目で呼称が変わる
ので本当にややこしい。

TADキュー。


タップ交換のキモ ~ビリヤード~

2022年06月06日 | open



キューのタップ交換は、平面
出しがタップ交換の命だ。
先角もタップも平面をきっちり
と出して行く。
先角はカッターの刃を立てて
シャフトを回転させて削り均す。
またそれだけだと中心部分が
削り代が少なくなるのでカッタ
ーを立てて刃先を掃くように
ワイパーのように平行移動させ
て先角の平面を出す。

とにもかくにもまっ平の面一に
する。先角もタップ接着面も。
紙やすりでこするだけでは絶対
に平面は出ないので、カッター
の刃で真っ平にする。
そして、平面が出たかどうかは
カッターの刃の背の部分を立て
て当てて、光が漏れていないか
を確かめる事。
刃を寝かせて平地部分を当てて
隙間があるかどうか確認する
嘘作業の動画がyoutubeでタップ
交換解説動画にあるが、それは
間違いなので✖。カッターの刃を
寝かせたら反る。新品の刃先か
背中を立てて定規にして隙間を
観察するのだ。物理的に考えて
も刃物の平地部分を当てて平面
観測などというのは、考えが浅
すぎる。

なお、先角の平面出しにおいて
は、カッターの刃先はすぐに
潰れるので、「切り」に使い切っ
た古い刃のほうが逆に良い。
新品の刃と同じ効果を得られる
ので、新品の刃を即潰す事にな
る「刃立て削り」に使うのは勿体
ない。
新品の刃はタップをカットする
事に使ったほうが効率的だ。

タップ交換の命は平面出し。
これに尽きる。
私は1986年からタップ交換をして
いるが、手作業でのタップ交換の
要諦を極めた1987年以降、私が
交換したタップがプレーにより
飛んだ事は一度も無い。ただの
一度も。タップ交換数は数百で
はきかない。万本まではいかな
いが、相当な本数を交換してい
る実績がある。それが飛ばない。
考えたら当たり前の事だ。
ビシッと平面と平面が密着して
いたならば、横からのしゃくり
仰ぎ外力が発生しないのでタップ
が飛ぶことは物理的にあり得ない。
スコップで土を掘るような外力
がタップに加わったら平面接着
出来ていないタップはすぐに外
れる。
シアノアクリレートが普及する
以前はタップはよく飛んだと聞
くが、私が撞球を開始した80年
代中期には既にCA剤が存在した
ので、タップ飛ばしは私はしな
かった。

まだインターネット上でタップ
交換のノウハウ解説がほぼ世の
中に存在しなかった頃の2000年
代初頭、私が自己サイトにアップ
した「タップ交換の方法」の解説
ページは、実に多くの人に参考
にされたようだった。
その後のタップ解説サイト記事
や動画群は私のそのオリジナル
サイトページ(現在非公開)を
参考にしている物が非常に一気
に増えた。ベレーのかぶり方の
解説の時と同じだった。
私のベレー解説のページは物凄い
反響を呼び、ファッション界や
各方面に影響を及ぼした。
そしてしまいには陸上自衛隊の
「将校の心得」という指導要綱
にも参考にされて新規写真で転写
された。
ひどかったのは雑誌『ラジオラ
イフ』で、私のページを文章まで
盗用、画像は全て同じアングルで
撮り直ししての掲載盗用をやった。
それで飯を食うライターや編集部
の神経を疑った。
それほど各方面に私の「ベレー
のかぶり方」のページは影響力を
持ったようだった。


ベレーのかぶり方と同じで、キュ
ーのタップ交換はそれ程難しい
ものではない。正しい事をきちん
とやりさえすれば。
・とにかく平面を出す事
・手作業でタップ側面の桂剥きが
 できる事
・タップ上部を平ヤスリ一丁で
 完全R出し削りができる事
この上記3点が間違いなく正確に
できれば、誰でもタップを正しく
交換できる。

今の時代、正論を述べるとそれ
に反発してその人を叩いたり、
「どうやろうが俺の自由じゃない
か」とか言いたがる駄々っ子の
ような幼稚な風潮が蔓延している。
だが、間違った事は間違った事
であり、正しい事は正しい。
これは国の王や権力者が言おう
とも、間違った事は間違った事
なのである。
丸い円弧状の面に平面を持って
来て全面密着接着などは物理的
に不可能なのだ。
それが出来るとか、やれとか、
その程度の面出しでいいのだ
とか、そうした面一面出しは
必要ない、とか言ったり考え
たりする指向性は「間違い」な
のである。
「太陽は西から登るからそれ
でいいのだ」ではないのだ。
嘘は嘘。間違いは間違い。
「こうしたほうが楽しいですよ」
とかの世界の事ではない。物理
的な定理は誰が言おうと不変だ。

何が正しいかを見抜く目。
実は技術習得よりも、まず
これが一番大切かもしれない。


面磨り

2022年06月06日 | open
 
 
ある刃物研ぎのプロが、砥石は
研ぎで減る
量よりも面一の面
出しで平面に磨って減る

ほうが多いと思われる、
と言っていた
が、それは確か
に肯けるような気もする。
そして、真っ平の砥石の面出し
はかなり
時間がかかる。
日本刀研磨のうち、ある工程で
使う平面
砥石以外は刀剣研磨
では蒲鉾形の砥石を
使う。
これは、日本刀の断面がRになっ
ている
ためだ。
それを刀の研ぎ師は2センチ程の
幅で素麺
をきちんと並べたよう
に研いで行く。
しかし、一般的な刃物の場合は、
包丁も
ナイフも砥石は真っ平の
平面でないとちゃ
んとは研げない。
砥石は使う度に中央部が減って
くるので、
都度面出しをして表
面を平らにしてやる
必要がある。
この面出しがかなり重要で、平
ではない
砥石ではまともに研げ
よう筈もない。
 
そして、砥石の磨り出しの面出
しはとても
時間がかかる。
すべてこれも隙間を確認しなが
研削用砥石にて手作業で
押すからだ。
しかし、これを怠ると、刃物は
研げない。
でたらめ研ぎならぬ嘘こすりなら
ば、砥石がどのような状態でも
擦過痕は刃物につけられる。
だがそれは「研ぎ」ではない。
ベタ研ぎ=バカ研ぎ信奉者に
そうした砥石状態でこすりつけ
をしている人間が多くみられる。

止め刃

2022年06月06日 | open
 
私はナイフの研ぎでは止め刃を
付ける。
これはどんなナイフでも。
理由はベタ研ぎ平面延長のみの
切り通し
の研ぎと比べて刃持ち
に雲泥の差がある
からだ。
私は出刃包丁にも止め刃を付け
る。
切りに使う日本刀にも止め刃を
付ける。
彫刻刀にも付ける。
光に透かして反射させて初めて
それがある
と判る程の細い刃を。
 
鋭利とは刃先を薄くすることで
はない。
エッヂを立たせる、ということだ。
刃先は鈍角であろうと、エッヂ
が立って
いることが即ち切れ味
と関係してくる。
ベタ研ぎのまま刃物を使うと、
すぐに刃先
は丸まったり、刃
マクレを起こしたり、
刃こぼれ
を生じたりする。すぐに切れな
なる。
 
日本刀では、現代では切ること
が一般的
はないので止め刃
を付けない美術研ぎ
が蔓延
している。
そのまま切ると、例え畳表だろ
うと刃先
はすぐになめる。刀
であってもだ。
これも光に透かして精査しない
と判らない
程の小ささで刃先が
マクレる。
ベタ研ぎはそうなる定めなのだ。
物理的
に。
 
止め刃は厳密には糸刃や小刃と
も異なる。
心得ある日本刀研磨師は試斬研
ぎでは止め
刃を付けるが、切り
の世界の実態を知らな
い研ぎ師
はベタ研ぎを何度も繰り返す。
切れなくなったからと試斬研ぎ
を依頼され
てまたベタ研ぎで刃
先をただとんがらす。
切ると、即また切れなくなる。
それの繰り返し。
刀はだんどん痩せて行く。
根本的に「切る」事について
の知見が
浅いのだ。研ぎ師自身
が自分で切らないからだろう。
高番手の天然砥石で、アングル
を決めて
それをぶれさせずにひと
撫でかふた撫で
して止め刃を付
けるだけで耐久性が格段に
異な
ってくるのに、知らないからか
それを
しない「研ぎ」が世の中
には多すぎる。
研ぎとは平地を研磨する事でも
刃先を
やみくもにベタで尖ら
せることでもない。ベタは
バカだ。いわゆるバカ研ぎ。
研ぎとはエッヂを作る事
のであるの
だが、きちんと
そこの意味と理論と技法を
理解して
いる研ぎ手は世
中存外少ない。
 
日本刀にも試斬前には止め刃を
付ける。


新聞紙1日分。吸い込まれるよう
に切れる。



畳表。備後表なので1枚が二重織
であり、
実質的に通常の畳表
2枚巻きに相当する。


極限の下まで切った際、心棒の木も
畳表
もろとも一刀両断で切断し
てしまった
(斬鉄剣小林康宏刀)。




日本刀は骨を断つを良しとする。
これは700年以上前から何一つ
変わって
おらず、日本において
ずっと言われて来
たことだ。
刀なのだから。絵に描いた芸術家
の焼き
物作品ではないのだから。
人の命を守る
ものなのだから。
当然、在りようは歌詠みや蹴鞠と
は違う。

ネットにおける嘘発信

2022年06月06日 | open
 


ネット上ではデタラメな情報が蔓延
して
いる。
特に最近目立つのは、小銭稼ぎ目的
ユーチューバーの自称アウト
ドアマンたちだ。
全員が広告を貼っているので、動画
視聴者
を収益のタネとして考えて
いるのだろう。
純粋に自分の動画を見せたいので
はなく、
収益が主目的だ。
かくして、そこで展開されるノウ
ハウもの
は実にデタラメなものが
多い。

とりわけひどいのが刃物の研ぎに
関する
もので、刃物店やメーカー
ではない
ユーチューバーの刃物
の研ぎ方は目もあて
られない
ものが沢山ある。
水砥石を使っていながら研ぎ汁を
出さな
かったり、オイルストーン
ではないのに
油をつけたり、ひど
いのになる
と水道の蛇口から水
を出しっぱなしで刃物
を砥石
でゴリゴリこすっているのも
ある。
動画からも見ることができる平面
の出てい
ない砥石でアングルぐだ
ぐだでしゃくり
こすっておきなが
ら、オーソリティーの
ような顔を
して製品紹介をしたりする。
 
やり方は人それぞれ自由なのだが、
非常に
鼻につくのが、アウトドア
系のユーチュー
バーは、デタラメ
な方法をさも自分がその
道の練達
者でベテランであるかのように
動画で説明している点だ。
誤った方法、
嘘デタラメのテケ
トンを広めている者が
非常に多い
点だ。
そして、それを真似して、また
不見識な
人たちが劣化コピー版
の動画を作ってアッ
プしている。
悪貨氾濫のように。きらり
と光る
本物の真実の人が解説する動画の
ほうが圧倒的に少ない。もうこれ
は本当に
圧倒的に。
製品レビューなどしているユーチュ
ーバー
の殆どがそれ。中身は解説
もかなり薄っ
ぺらい。人真似だし、
自分の経験を積んだ
実績に基づく
知見が皆無だからだ。
ネットの受け売りの猿真似で多く
が似た
ようなデタラメ解説動画
作ってアップ
している。広告
を何度も差し挟むようにして。
見る価値は無い。
 
私が日本刀以外の刃物を研ぐ時に
は、
なぜ表裏で左右の手で持ち
替えて研ぐのか。




これの物理的な大きな意味について
理解が
及ばないとしたら、全く
それは刃物の研ぎ
にはなって
いない。ただの身減らしの石
こすりだ。研ぐ以前の問題だ。
それは、そこには「切り」に対す
る理知が
不存在だからそうなる
のだろう。
有り体にいえば、「解ってない」
となる。
これは私が切り屋だからという事
からで
はなく、私がどうであれ、
間違いは間違
い。誤りは誤りだ。
デタラメな「その道の達人」(自称)
が多す
ぎるのがユーチューバー
のノウハウ系の
全体像だといえる。
しかし、裏を返すと、それでも
再生回数
からしてよく見られ
いるのは、それだけ
「よく分か
らないから知りたい」という純粋
無垢な
人が多いという事だろう。
ゆえに、尚更、誤ったことが拡散
されて
劣化コピーが再生産されて
蔓延する要因
の土壌にもなってい
る。
そこに乗っかって、多くの者が
劣化コピーの猿真似と受け売り
動画をアップする。
もはや、動画サイトのアウトドア
動画の情況はネット界にみられる
「玉石混淆」の域を超えて
いる。
見る人が「見抜く目」を養うの
がどんどん
難しい世の中になっ
て来ているからだ。
嘘もんニセモンだらけが溢れて
いるので。
時々たまに本物の本筋の軸を外し
ていない
人の動画を見つけると
ほっとする。
しかし、それは文字通り希有だ。

砥石の平面出し

2022年06月06日 | open
 


ちきんと平面が出た砥石と砥石
を水に
濡らして合わせると、
糊で貼り付けたように
くっつ
いて離れなくなる。
かなりの吸着力を持つ。僅かで
も隙間が
あるとパカンと離れる。


平面が出た砥石はコルクでなでる
ように
して汚れた6面を綺麗に洗っ
て研ぎ汁の
付着を完全に除去して
清潔にしてやる。
また、角は手が切れそうなくらい
に立って
いるので、軽く角落とし
をする。


砥石はいつでもまっ平。
それが良い。

光線銃SP(1970)

2022年06月06日 | open

これ見て「光線銃SPみたいだな」
と思った。
今の若い人たちは知らないだろう
が、1970年大阪万博があった70
年安保決戦の年、任天堂から超画
期的な玩具銃が発売された。
それが光線銃SPだ。
内部に電球が仕込んであり、トリ
ガーを引くとシャッターが切れて
光を発して離れた的に中ると感知
器内臓の的が反応する。
それはとんでもなく画期的な玩具
で、安全かつ楽しみ多きオモチャ
だった。

まだ規制前の黒い金属モデルガン
と共に持っていた。ライフルと
リボルバータイプを。発売され
て即買った。横浜のデパートで。
学校の友人たちとうちでよく射的
ごっこで競い合って遊んだ。
金銭価値相場は現在は物価は当時
の約6-10倍。この銃は今なら1万円
程か。
一番値上がりしたのは銭湯で、今
は当時の28倍程の金額になってい
る。
それほど、貨幣の価値が下がって
しまっているという事だ。
100円玉1枚で買えた物が8枚ない
と買えないのは、100円の価値が
1/8になったという事。

この回転ルーレットも持っていた。


このライオンがガオーと唸る的は
持っていなかった。


ボトルの的はよく不具合を起こし
た。バネ仕掛けで半分から上が飛
び跳ねるのだが、固定部分のエッ
ヂが欠損してしまうのだ。

この「光線銃SP」は最高でした。
この数年後にツヅミ弾のスプリン
グガンとエアソフトガンが初めて
登場するのだけど、エアソフトガ
ンがBB弾化して大流行する1980
年代中期まで、実は光線銃SPを
超える「的あて物」で優れた物は
無かった。MGCのシューター
ワンの光線装着は銃口からでなく
装着器具からの光線なので光線銃
ではない。当然流行らなかった。
歴史を俯瞰するに、エアソフトガ
ンの前は光線銃SPだ。
このシステムを利用して1972年に
はレイシューティングシステムが
開発され、全国のゲームセンター
でリアルな散弾銃タイプの銃で
シューティングが楽しめるように
なった。




映像エフェクト 『マリアンヌ』(2016)

2022年06月06日 | open
『マリアンヌ』特典映像一部公開!
ブラッド・ピットとマリオン・コティ
ヤールから最高の演技を引き出すため
の、監督のこだわりとは!?

CGの出来栄えが素晴らしく、
ブラッド・ピットとマリオンの
演技も最高の作品。
ほぼ全編、二人の演技力に支え
られた映画作品といえる。
だが、そこまで完成度の高い作
品であるのに、極めて残念な事
がある。

それは、銃撃の際、銃から一切
空薬莢が排出されない。
多分、大戦中のステンの精巧な
ステージガンを持っていない為
だろう。
ガンエフェクト技術は日本が世
界一だ。
戦後は実銃所持困難になっ
た為に世界初のモデルガンを発
明したのが日本人だ。
そして、1960年代以降、多くの
ハリウッド映画でも日本製のモ
デルガンが使用された。
モデルガン以外でも、日本人の
ガンエフェクト技術者たちは、
電着発火で排莢シーンなどもお
手のものだ。

このシーンでも、電着銃のステ
ージガンを使っているが、日本
の映像製作技術人ならば、電着
発火ながら別システムで排莢さ
せる技術を持っているので、難
なくステンでも空カートを飛ば
すリアルな映像が作れた事だろ
う。

どんなにサブマシンガンを連射
しようとも、空薬莢が一つも飛
ばない。
この素晴らしい映画作品におい
て、最大のミスだ。
これゆえ、リアルなCGを駆使
し、俳優が迫真の演技で演じて
いても、まるで嘘物語の舞台劇
のようなものになってしまって
いる。
極めて残念。
世界一の技術を持つ日本のガン
エフェクトの達人たちを招聘す
ればよかったのに。
というか、作り出せないのだろ
うなぁ。実銃からかけ離れた構
造で、外見は実銃そのものとい
う映像用の安全な銃を。
で、無闇に実銃使ったりして、
海外物映画作品製作では暴発事
故で人が死んだりしている。

海外映画は、もっと日本の安全
かつリアルなガンエフェクト技
術を学んでほしい。


小学生の算数テスト

2022年06月06日 | open

【発想力の一発テスト】
できる小学生には一瞬で解けて
しまう図形問題
【ジュニア算数オリンピック】



メソッド・オブ・クレイン・トー
タス・
カルキュレーション!(笑
てか、千年万年算というよりも、
懐かしきおはじき五目並べ計算。
 


というか、この動画投稿者、
題名表示形態からしてまず確実
に5ちゃんねらーか(笑)。
あるいは毒された「悪意なき

悪」の実践者か。
こういうところから、密かな
「拡散励行性」を普遍化させる
悪性ネット民たちによる洗脳が
開始されているので、一人間
としてのアイデンティティの
確保保全には自律的注意を要
する。人の尊厳の保護として。
人間の悪意しか存在しない悪所
から出たネットスラングや
表現方法は、個別の人間的個性
と独立自主性を阻害するので
とても厳重な注意が必要なの
だ。
ボケッとしていると、全員
右向け右、の右へ倣えとなり、
思考は停止させられる。
ネラーやSNS誹謗中傷拡散団
たちがほぼネトウヨである
のがその典型。
犯罪的排外主義を生きがいと
している種族。

映画『マリアンヌ』(2016)

2022年06月06日 | open
 

『マリアンヌ』(2016年)
 
第二次大戦中のフランス人レジ
タンスの女性マリアンヌと英軍
傘下のカナダ軍将校スパイの物語。




かなり良い。
戦争の悲哀を描き切っている。
ナチスドイツ占領下のフランス
領カサブランカで作戦のために
出会った二人は、やがて愛し合
いロンドンで結婚する。
戦死覚悟でドイツ軍将校たちを
劇場で殺害して別々に退避した
が、男が女をロンドンに呼び寄
せた。
ドイツ軍によるロンドン空襲の
さ中、マリアンヌは子どもを
産む。
だが、幸せだった二人には、戦争
がもたらした残酷な未来が待って
いた。
人にとって一番辛い別れをも戦
争は人に強いる。
戦争を賛美する戦争映画は最低
だ、と言った名監督がいた。
この作品は、その真実を描いて
いる。良作。
 
『マリアンヌ』 日本オリジナル予告編