今日のうた

思いつくままに書いています

冬の小鳥

2015-01-10 09:49:15 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
韓国映画は好きでよく観るが、あまりにも残酷なシーンが多く、
神経がくったくたになることがある。
何日にも分けて観たり、残酷なシーンを早回しするのはざらだ。
だが、この「冬の小鳥」は安心して観ることができた。(2009年公開)

映画初出演となる、ジニを演じる9歳のキム・セロンはなんという役者だろう。
2か月ほど前に観たのだが、今でも、いつでも、彼女が私の心に蘇ってくる。

先日、拒食症と思われるほど痩せた母親と、7歳くらいの女の子がコンビニから出てきた。
歩きながら、一個の菓子パンを二人でちぎって食べている。
今日、初めての食事なのかもしれない。キム・セロンを思い出していた。

この映画は、脚本・監督であるウニー・ルコントの幼い頃の体験がもとになっている。
ジニは父親の再婚で、何も知らされないまま孤児院で暮らすことになる。
父親が迎えに来るのを毎日、毎日、待ちつづける。
9歳の子ができる精一杯の知恵をしぼって、父親を探し出そうとする。

映画の最初のシーンで、父親と自転車に乗っているキム・セロンのとびっきりの笑顔。

死んだ小鳥を埋めたように穴を掘り、その中に自らが入り落葉で覆いつくす。
息苦しさに耐え切れず、落葉をかき分けて顔を出す鬼気迫るシーン。

孤児院から脱走を試みるが、果たせず、自らの意志で門を入っていく時の
哀しみが貼り付いた、キム・セロンのほそい手と脚。

顔も知らない養親の待つフランスへ、ひとり空港をゆくキム・セロンのくすぐったそうな顔。
映画はここで終わる。

キム・セロンは、この映画のどのシーンでも生きている!

キム・セロンは自分のブログに、次のように書いているという。
「俳優になろうとするなら、数千回倒れ、泣かなければならない」

キム・セロンに夢中になり、「バービー」、「アジョシ」、「天上の花園」と観たが、
「冬の小鳥」が一番よかった。

ウニー・ルコント監督が、9歳でフランス人の養女となり、映画監督になるまでの
その後の人生を想った。

※お節介・・・DMM.comでも、楽天レンタルでも借りられます。

追記1
5月に「私の少女」を観た。
キム・セロンとペ・ドゥナが共演している。
ペ・ドゥナは「空気人形」を観て以来、好きな女優である。
2人の好きな女優が出ていて、映画の主題もはっきりしている。
それなりに楽しむことができる。

キム・セロンは女の子から少女に成長して、綺麗になっていた。
演技もうまい。でも何だろう、この違和感は。
キム・セロンにこの映画のオファーが来た時は、断ったそうだ。
オーディションを何度してもふさわしい女優が見つからず、最終的に引き受けた。
きわどい演技も要求され、少女としては汚れ役と言っていいだろう。

「冬の小鳥」では、映画のどのシーンでもキム・セロンは生きていた!
「私の少女」では、どのシーンにも女優キム・セロンがいた。
女優として難しい年頃なのだろう。
才能がある人なので、機が熟すのを待ってもよいのではと、老婆心ながら思った。
(2015年7月15日 記)

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