今の今まで知らなかった。
というか,気づかなかったというべきか。
哺乳類の手や足には基本的に指が5本あるのだと思っていた。
もちろん,コウモリやイルカ,クジラなどの例外はある。
けれども,例えばコウモリの羽は,いわば大きな手のひらであって,5本の指に相当する骨があると聞いたことがある。
また,偶蹄目であるウシなどは実質的に指が二本だけなのかとも思っていたし,ウマは中指だけで体を支えているようなものであり,だから競走馬は脚が折れやすいのだと聞いたこともある。
指が5本なのは哺乳類だけではない。ヘビはおいとくとして,カエルやトカゲなどは5本指のイメージがある。
そういった断片的な知識はあったものの,最も身近な動物に関する知識がすっかり抜けていたことを思い知る出来事があった。
寝床に横になっていると,よく猫が踏んづけて通り過ぎたり,踏んづけたまましばらく動かないでいたりする。
寒くなってきたので毛布を使い始めたのだが,毛布のふわふわした感触がお気に入りらしく,うっとり目を細めてゴロゴロ喉を鳴らしながら,ふみふみと毛布を揉むランちゃんやしゅろの姿をよく見かけるようになった。
猫たちはだいぶ爪が伸びてきたようで,踏んづけられるとチクッと刺さるし,ふみふみしているときに毛布に爪がひっかかるのもあたりまえのことになってきた。
そういうわけで,今日,とりあえず寝床の周りに転がっている猫たちの爪をいっせいに切ることにした。
普段は前足の爪だけしか切らないのだが,今日はやる気に満ちていたので,後ろ足もチェックした。
すでに数匹の爪を切り終え,次のラディ子でいったん終わりにするかと前足の処理を済ませ,後ろ足にさしかかったときである。
あれ,ラーディ,後ろ足の指が4本しかないよ。どうしたの。
猫の爪を切るのにはコツがいる。普段爪がひっこんでいるので,指の先端を少し押して爪を出さなければならない。
特に前足の親指は他の指のように突き出ていないので爪を出すのが一苦労である。
ところが,後ろ足は妙に苦労が少ない。
何かおかしい(というか,物足りない)と思ったら,後ろ足には親指がなかったのである。
いやー,知らなかったァーーーーー!
念のため他の子を調べてもやはり同じであった。
猫の足の指は,前足が5本で後ろ足は4本なのである。
猫を飼い始めてちょうど7年目に入ったところであるが,これまでさんざん後ろ足で踏みつけられてきたし,後ろ足も何度も目にしてきたし,後ろ足の爪を切るのは今回が初めてだったわけでもないのに,全然気がつかなかった。
猫は前足の親指を結構器用に使いこなすのだが,その親指は後ろ足にはない。
トカゲやウマなどに関する知識を確認するために検索したところ,Wikipedia に「指」という項目があり,そこに書いてあることは大変勉強になった。
哺乳類に限らず,爬虫類や両生類も指の数は5本が基本なのだそうだ。
なぜそのように指の数が同じなのか。
また,なぜ足の数も4本なのか。
こうした,身体のつくりに共通性が見られるのは,共通の祖先から進化したという進化論で説明が付くが,例えばなぜ目は2つで足は4本なのか,ということに対する答えは進化論からはすぐにはわからないように思われる。
昆虫は足が6本だし,カニは8本である。ムカデやヤスデにいたってはもっとたくさん足がある。
そもそも生物の体はそうなっているのだから,なぜそうできているかを考えても仕方がないのかもしれないが,力学的に見てこういう点が生存に有利だとか,そういう視点から説明をつけようとするのはそれほど悪くはあるまい。
(実際,生物学者にはそういうことを研究している人たちがいるようである。)
まあ,うちの猫たちに言わせれば,僕らヒトの方がよっぽど奇妙に見えるに違いない。
あら,どうしてお顔の毛がそんなに少ないの?(猫みたいにピンと張り出した)ヒゲはどうしちゃったの?
とか,
尻尾はどうしたの?なくしちゃったの?
(うちの猫はほとんどが尻尾が極端に短いから,これは言われないかもしれない。)
とか,
瞬膜(しゅんまく:目を覆って保護する膜。まぶたとは別物。)はないの?
とか,ラーディからしたら僕の方にこそ問いかけたい疑問がきっとたくさんあるだろう。
ちなみに,猫は体が柔らかいせいか,腹の方まで念入りに毛づくろいをしている姿を日常的に見かけるが,ああいう毛並みの手入れはどのくらいのサイズの動物までが行うのだろうか。
犬もときどき腹部を舐めているような気がする。
あと,犬のお座りの姿勢はどれくらいの種類の哺乳類に見られるのだろうか。
猫はよく座った姿勢でいるが,同じネコ科であるライオンなども座っている姿をテレビで見かける。
しかし,ウマやウシは捕食される立場にいるからか,お座りをしたり横に寝っ転がるのは,病気のときなど,特別な場合しかしないようである。
どんな仕草が種を超えて普遍的に見られるものなのか,というテーマは,個々の種の特殊性に着目する視点に比べて,遜色ない,また違った面白さを含んだテーマであろう。
普遍的に見られる構造と,個別に現れる特殊な構造という二つの大きな柱の間を行き来することで,物事の理解は深まるものである。
というか,気づかなかったというべきか。
哺乳類の手や足には基本的に指が5本あるのだと思っていた。
もちろん,コウモリやイルカ,クジラなどの例外はある。
けれども,例えばコウモリの羽は,いわば大きな手のひらであって,5本の指に相当する骨があると聞いたことがある。
また,偶蹄目であるウシなどは実質的に指が二本だけなのかとも思っていたし,ウマは中指だけで体を支えているようなものであり,だから競走馬は脚が折れやすいのだと聞いたこともある。
指が5本なのは哺乳類だけではない。ヘビはおいとくとして,カエルやトカゲなどは5本指のイメージがある。
そういった断片的な知識はあったものの,最も身近な動物に関する知識がすっかり抜けていたことを思い知る出来事があった。
寝床に横になっていると,よく猫が踏んづけて通り過ぎたり,踏んづけたまましばらく動かないでいたりする。
寒くなってきたので毛布を使い始めたのだが,毛布のふわふわした感触がお気に入りらしく,うっとり目を細めてゴロゴロ喉を鳴らしながら,ふみふみと毛布を揉むランちゃんやしゅろの姿をよく見かけるようになった。
猫たちはだいぶ爪が伸びてきたようで,踏んづけられるとチクッと刺さるし,ふみふみしているときに毛布に爪がひっかかるのもあたりまえのことになってきた。
そういうわけで,今日,とりあえず寝床の周りに転がっている猫たちの爪をいっせいに切ることにした。
普段は前足の爪だけしか切らないのだが,今日はやる気に満ちていたので,後ろ足もチェックした。
すでに数匹の爪を切り終え,次のラディ子でいったん終わりにするかと前足の処理を済ませ,後ろ足にさしかかったときである。
あれ,ラーディ,後ろ足の指が4本しかないよ。どうしたの。
猫の爪を切るのにはコツがいる。普段爪がひっこんでいるので,指の先端を少し押して爪を出さなければならない。
特に前足の親指は他の指のように突き出ていないので爪を出すのが一苦労である。
ところが,後ろ足は妙に苦労が少ない。
何かおかしい(というか,物足りない)と思ったら,後ろ足には親指がなかったのである。
いやー,知らなかったァーーーーー!
念のため他の子を調べてもやはり同じであった。
猫の足の指は,前足が5本で後ろ足は4本なのである。
猫を飼い始めてちょうど7年目に入ったところであるが,これまでさんざん後ろ足で踏みつけられてきたし,後ろ足も何度も目にしてきたし,後ろ足の爪を切るのは今回が初めてだったわけでもないのに,全然気がつかなかった。
猫は前足の親指を結構器用に使いこなすのだが,その親指は後ろ足にはない。
トカゲやウマなどに関する知識を確認するために検索したところ,Wikipedia に「指」という項目があり,そこに書いてあることは大変勉強になった。
哺乳類に限らず,爬虫類や両生類も指の数は5本が基本なのだそうだ。
なぜそのように指の数が同じなのか。
また,なぜ足の数も4本なのか。
こうした,身体のつくりに共通性が見られるのは,共通の祖先から進化したという進化論で説明が付くが,例えばなぜ目は2つで足は4本なのか,ということに対する答えは進化論からはすぐにはわからないように思われる。
昆虫は足が6本だし,カニは8本である。ムカデやヤスデにいたってはもっとたくさん足がある。
そもそも生物の体はそうなっているのだから,なぜそうできているかを考えても仕方がないのかもしれないが,力学的に見てこういう点が生存に有利だとか,そういう視点から説明をつけようとするのはそれほど悪くはあるまい。
(実際,生物学者にはそういうことを研究している人たちがいるようである。)
まあ,うちの猫たちに言わせれば,僕らヒトの方がよっぽど奇妙に見えるに違いない。
あら,どうしてお顔の毛がそんなに少ないの?(猫みたいにピンと張り出した)ヒゲはどうしちゃったの?
とか,
尻尾はどうしたの?なくしちゃったの?
(うちの猫はほとんどが尻尾が極端に短いから,これは言われないかもしれない。)
とか,
瞬膜(しゅんまく:目を覆って保護する膜。まぶたとは別物。)はないの?
とか,ラーディからしたら僕の方にこそ問いかけたい疑問がきっとたくさんあるだろう。
ちなみに,猫は体が柔らかいせいか,腹の方まで念入りに毛づくろいをしている姿を日常的に見かけるが,ああいう毛並みの手入れはどのくらいのサイズの動物までが行うのだろうか。
犬もときどき腹部を舐めているような気がする。
あと,犬のお座りの姿勢はどれくらいの種類の哺乳類に見られるのだろうか。
猫はよく座った姿勢でいるが,同じネコ科であるライオンなども座っている姿をテレビで見かける。
しかし,ウマやウシは捕食される立場にいるからか,お座りをしたり横に寝っ転がるのは,病気のときなど,特別な場合しかしないようである。
どんな仕草が種を超えて普遍的に見られるものなのか,というテーマは,個々の種の特殊性に着目する視点に比べて,遜色ない,また違った面白さを含んだテーマであろう。
普遍的に見られる構造と,個別に現れる特殊な構造という二つの大きな柱の間を行き来することで,物事の理解は深まるものである。
痛い・・
長い文章お疲れ様ですw
つい最近知ったことってありますよね。
僕は「完璧」を「完壁」だと最近まで思っていました。
恥ずかしい限りです。