担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

縮小写像と不動点。

2010-02-26 18:04:57 | mathematics
ちょっとだけ専門の研究めいたことを考えたとき,久々に『縮小写像の原理』と呼ばれる定理を使った。
Navier-Stokes方程式と呼ばれる方程式の時間局所解の存在を,あまりスタンダードではない方法で証明してみたのであった。

(と書いてみてふと疑問が生じた:あれ,そういえばコンパクト性を全然使わなかったぞ。ちょっと自分のやり方に自信がなくなってきたなぁ。)


そこで,ふと次のような問題を考えた。

<<注>>
僕の思わぬ勘違いで間違った問題になっているかもしれないので,問題に取り組む際にはくれぐれもその可能性をお忘れなきよう。


問題

X を有限個の要素からなる集合とする。
また,次のような写像 d および f があるとする:

ア.f は X から X への写像である。

イ.d は X の要素の組 (x, y) に対して実数を対応させる写像で,
以下をみたす。

(i) x と y が異なれば d(x,y)>0 で,x と y が等しければ d(x,y)=0.

(ii) d(x,y)=d(y,x).

(iii) X の要素 x, y, z に対し,d(x,z)≦d(x,y)+d(y,z).

ウ.d と f には次のような関係がある。
(*) x と y が異なるとき,d(f(x),f(y))<d(x,y).

以上の設定の下,次の問いに答えよ。

(1) f(x)=x をみたす x が存在することを示せ。
(2) f が全単射となることはあるかどうかを調べよ。

なお,(2) を考えるにあたり,必要ならば次の事実を用いてよい:X が有限集合であることから,f が全射であることと単射であることとは同値である。

おまけ:
(3) X が完備距離空間だから (1) は自明,だという方には,『距離空間 X の要素が有限個ならば完備である』ことの証明をもお願いしたい。
コメント
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