担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

学バスの中で。

2009-07-03 17:41:48 | mathematics
自然数に「完全数」というグループがある。

自分自身を除く約数の和が自分自身に一致するという性質をもつ数のことをいう。

例えば 6 の約数は 1, 2, 3, 6 で,6 を除いた 1, 2, 3 の和は 6 である。

奇数の完全数は未だ見つかっていないらしいが,存在しないという証明も知られていないということである。

さて,偶数の完全数は,2n-1 が素数になるような自然数 n を用いて 2n-1(2n-1) と表されるものに限るそうで,このような偶数が完全数であることは古く Euclid によって,そしてその逆の命題,つまり偶数の完全数はこの形に限ることはそれから何世紀も経ってから Euler によって証明されたとのことである。

僕はこの命題の証明ができなくて悩んだ。Euclid レベルはすぐにクリアできるのだが,Euler レベルにはなかなか達せない。2ヵ月くらい悩んだ。

白状すると,この問題自体は半年くらい前にある数学雑誌の応募問題に出され,期限までに解けず,その後解答もちらりと目にしたのであるが,議論の詳細はほとんど覚えておらず,なんとかそれを自力で再現できないかと四苦八苦していたのである。

それがキャンパスに向かう学バスの中でようやく解決した。

嬉しいことは嬉しいが,こんなことでこれほど悩むというのも,なんだかなぁ。大丈夫か。>自分


もちろん Euclid と Euler の偉大さに比すべくもない。
そもそもこの形に表せる偶数が完全数だということを見抜いた Euclid は偉大である。
そしてその逆も言えるだろうと思いついて実際に証明してしまった Euler も偉大である。

そういったことを思いつくには,膨大な数値実験が裏に隠れていたに違いない。
1 から完全数かどうかを逐一調べていくのである。かなり大きな数に対してまでそれを続ける。そうすると「こういうことがいえるのではないか」という手ごたえを得るのだろう。

そうした人類の知的探求というのは,やはり尊いものだと思うのである。
コメント (2)
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