心を打つような詞がなくなってから久しいが、作曲の源は詞にあるから詞の良し悪しは作曲に
重大な影響を及ぼす。
古賀政男先生は下手な詞に曲をつけるくらいなら、お経に曲をつけるほうがましだと言われた。
僕は延命十句観音経と、舎利礼文に曲をつけた。このお経は2つとも短いお経である。
お経をピアノ伴奏で声楽家が歌うのが、果たして聴衆に届くのだろうか。
実験的な試みを大阪労働会館でやってみた。
歌を聴いていてもわかる人は少ないと思ったが、
歌が終わりピアノ伴奏の最後の音が低い音でボンとなって終わった時
一瞬静寂の何秒間かがあり、それから歓声と万雷の拍手は起こった。
感想を聞いてみると感動したとの一言。
古賀先生の思いつきとも思える考えを、今日は実際に実験してみて、思いつきではなかったことがわかった。
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