カーストによって職業が決められるなんて僕には考えられないことで、馬鹿馬鹿しい事だ。
欧米資本主義の原則は突き詰めていうと、安価で良質な製品を大量に作り、それを大量に販売することによって、利益を追求するということにある。それを社会システムや国家が保証しない限り、つまり、国民の一人一人が何物にも縛られず、自由に己の才能や能力を発揮 随o来る社会を作り上げない限り、インドの現状は経済発展の阻害要因になって開発はスローテンポにならざるを得ない。アメリカも、ヨーロッパも世界がしのぎを削っているときに、インドだけがその埒外にいる訳には行かない。だからインドは早急に世界に伍して行けるだけの条件を整える必要がある。それは僕が指摘したヒンズー教の負の部分以外に、ヒンズー教の教えの中にあるのかもしれん。僕には分からないが、ヒンズー教の教義の分かる人ならば、きっと見つけだすのではなかろうか。
重ねて言うが、現状は3000年の歴史をもつ差別社会が、経済発展の大きな阻害要因になっているということだ。あなたのような若い知識人が、これからのインド社会をよい意味で、大きく変えて世界の中で堂々と経済競争をして勝って、インドを経済的に豊かな国にしてほしい。」 と結んだ。
宗教については彼女の独断場だったが、貧困や差別を経済問題に搦めた話は不慣れなためか、彼女は聞き役に回り、特に異論は挟まなかったし、反論もしなかった。きっと世界的な情報化環境のなかで薄々気がついていたのだろう。
・ おばはん
先程からデブのおばはんは僕の目も気にしないで、太い胴回りの、脂肪の塊のようは体を、僕の目の前の寝台に横たえている。どうしてこんなに太っていて、しかも行儀が悪いんだろう。男の前で見てくれとばかりに横になって、サリーの間から素肌の腹をのぞかせている。脂肪の塊がだぶだぶと波打つような中年女性を見て、僕はうんざりした。何の魅力も感じなかったけど、アーリア系の中年女性はこんな体つきをしているのだなと、それなりの興味はもった。
目の前で横になるなんて、男の僕に対して失礼ではないか、せめて座る事がエチケットだよ。それとも、肉体美を僕の前でアピールしているのか、したいのか。言っておきますがね。僕は何の魅力も感じませんよ。第一、日本には男の前で肌を見せて横たわるような女はいませんよ。仮にいたとしたらその人は無教養な人間で、だれからも相手にされないだけだ。
あんたは日本にくると先ず鼻つまみで、ブーイングだね。
僕はちょっと嫌悪感を抱いた。ところが、後で聞いた話だが、インドでは既婚の中年女・ &ォは、いま目の前に横たわっているこの婦人のように、横に太いビヤ樽みたいな女性はセクシーで、とても喜ばれるし、夫の方も、女房がそうなる事を望んでいるとのこと、
「なんと、なんと。所変われば品変わると言うが、これも文化の違いか。」
僕は妙な所で感心した。だが、これで納得という訳には行かない。インドってけったいな国だなという思いはこの国を離れるまで頭の中から離れなかった。
彼女は娘と僕の会話には全く参加せず、かといって、妹と話をする訳でもなく、じっと僕のほう1点を物珍しいというような顔をして見つめていた。
新婚当初あんなに細かった、わが家のかみさんも30年もたつと確かに横に成長してい
欧米資本主義の原則は突き詰めていうと、安価で良質な製品を大量に作り、それを大量に販売することによって、利益を追求するということにある。それを社会システムや国家が保証しない限り、つまり、国民の一人一人が何物にも縛られず、自由に己の才能や能力を発揮 随o来る社会を作り上げない限り、インドの現状は経済発展の阻害要因になって開発はスローテンポにならざるを得ない。アメリカも、ヨーロッパも世界がしのぎを削っているときに、インドだけがその埒外にいる訳には行かない。だからインドは早急に世界に伍して行けるだけの条件を整える必要がある。それは僕が指摘したヒンズー教の負の部分以外に、ヒンズー教の教えの中にあるのかもしれん。僕には分からないが、ヒンズー教の教義の分かる人ならば、きっと見つけだすのではなかろうか。
重ねて言うが、現状は3000年の歴史をもつ差別社会が、経済発展の大きな阻害要因になっているということだ。あなたのような若い知識人が、これからのインド社会をよい意味で、大きく変えて世界の中で堂々と経済競争をして勝って、インドを経済的に豊かな国にしてほしい。」 と結んだ。
宗教については彼女の独断場だったが、貧困や差別を経済問題に搦めた話は不慣れなためか、彼女は聞き役に回り、特に異論は挟まなかったし、反論もしなかった。きっと世界的な情報化環境のなかで薄々気がついていたのだろう。
・ おばはん
先程からデブのおばはんは僕の目も気にしないで、太い胴回りの、脂肪の塊のようは体を、僕の目の前の寝台に横たえている。どうしてこんなに太っていて、しかも行儀が悪いんだろう。男の前で見てくれとばかりに横になって、サリーの間から素肌の腹をのぞかせている。脂肪の塊がだぶだぶと波打つような中年女性を見て、僕はうんざりした。何の魅力も感じなかったけど、アーリア系の中年女性はこんな体つきをしているのだなと、それなりの興味はもった。
目の前で横になるなんて、男の僕に対して失礼ではないか、せめて座る事がエチケットだよ。それとも、肉体美を僕の前でアピールしているのか、したいのか。言っておきますがね。僕は何の魅力も感じませんよ。第一、日本には男の前で肌を見せて横たわるような女はいませんよ。仮にいたとしたらその人は無教養な人間で、だれからも相手にされないだけだ。
あんたは日本にくると先ず鼻つまみで、ブーイングだね。
僕はちょっと嫌悪感を抱いた。ところが、後で聞いた話だが、インドでは既婚の中年女・ &ォは、いま目の前に横たわっているこの婦人のように、横に太いビヤ樽みたいな女性はセクシーで、とても喜ばれるし、夫の方も、女房がそうなる事を望んでいるとのこと、
「なんと、なんと。所変われば品変わると言うが、これも文化の違いか。」
僕は妙な所で感心した。だが、これで納得という訳には行かない。インドってけったいな国だなという思いはこの国を離れるまで頭の中から離れなかった。
彼女は娘と僕の会話には全く参加せず、かといって、妹と話をする訳でもなく、じっと僕のほう1点を物珍しいというような顔をして見つめていた。
新婚当初あんなに細かった、わが家のかみさんも30年もたつと確かに横に成長してい