トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

だんだん分ったこと障害のこと/『となりのトンコやん』

2009-08-26 01:54:28 | 絵本・児童文学
となりのトンコやん
久保田 ゆき
ハート出版

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 トンコやんは、本当の名前はトミコといいますが、他の人が呼ぶように小学校3年生の絵里もトンコやんと呼びます。絵里のおばあさんは、そのことが気に入らないようです。トンコやんは、同級生の健太のおばさんです。でも、知的障害者で心の病気も持っているといいます。絵里や健太たちと遊びますが、絵里には、障害とか心の病気の事がよくわかりません。変わった大人だと思っています。

 トンコやんが、心の病気から家で暴れだしたり、道路の真ん中に立って車を止めたりします。そして、ついに、道路の真ん中でおしっこをするようになりました。

 そのことで、健太は同級生からトンコやんのことを聴かれるようになりましたが、健太は何も話そうとしません。そして、ついにクラスのマサルたちにいじめられるようになります。でも、健太はトンコやんのことは、決して口に出さずに、マサルたちのいいなりでした。絵里はその様子を見ていても、何もすることができませんでした。そんな中、マサルがけがをして入院します。絵里には、罰が当たったとしか思えませんでした。

 マサルがお母さんと一緒に学校にやってきました。退院できたのです。絵里は素直に喜べません。でも、健太とマサルが笑い合っているのを見てびっくりします。そして、毎日のように健太がマサルの病院にお見舞いにいって、勉強を教えていたことも知ります。

 絵里は健太と話をしました。健太は、自分がマサルと同じようにトンコやんのことを思っていたから、口を開くことができなかったと言いました。家の中で、発作が起きて暴れまわるトンコやんがいなくなればいいと思ったことがあると告白しました。だから、他人がトンコやんのことをいうのと同じ気持ちになった自分が嫌になっていたのでした。

 健太はマサルのお見舞いに折りヅルを持って行きました。はじめ、健太は折りヅルの折り方を知りませんでした。トンコやん、つまりトミおばさんに聞いたら、意外にも折り方を知っていました。なんで折るのかって聞かれたから、友達が入院したからだと言ったら、トミおばさんは一緒に折ってくれました。それを見て、急に意地悪をしたくなって、マサルがいつもおばさんの悪口を言っていたよと言いました。でも、ああ、そっか―って言いながら、鶴を折り続けるのでした。

 健太は、マサルのお見舞いの時に、心の中の思いを全て吐き出しました。そしたら、マサルが明日も来てくれって言いました。

 この話は、著者が子どもの時の体験に基づいたお話だそうです。子どもの目を通して、知的障害と心の病気を持った大人に対して少しずつ共感していく様子がよく描かれています。心が通じないことがあった時のことも書かれています。

 障害者が生きにくい世の中、でも、周りには理解者もいるのです。子どもの時から、障害者と向き合って生きていけば、きっと大人になってから世の中が少しずつ変えることができると思います。また、健太のように身近な家族の心の揺れもしっかりと描かれていました。

 共に生きる社会を作ること、そんなことを考える参考になる本だと思いました。


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1 コメント

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Unknown (かつ姫)
2010-09-08 22:27:38
娘が、読書感想文を書くときの参考にさせてもらいました。ありがとうございました。
 心の病気に限らず、心が通じないことは、人の関わりの中で、よくありますよね。
 うまくいかないことがあっても、落ち込みすぎず、生きていきたいですね。
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