トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

リアルな世界へ その4

2008-06-09 19:05:45 | 社会
 「ロスジェネ」、特集「右と左は手を結べるか」。対談は『ぼくらの希望は「戦争」か「連帯」か』。「右」の赤木智弘氏と「左」の浅尾大輔氏の対談。浅尾氏は、小説「家畜の朝」で新潮新人賞を受賞している。

 本当は、「右」とか「左」なんてレッテルを貼って、批判し合うことにエネルギーを割いている場合ではないと思う。雨宮処凛さんが言うように『生きづらさが超えさせる「左右」の垣根』なのだ。

 赤木さんの考え。「富裕層も正社員も敵。どちらでも余裕ある人が金払え。」。でも、主敵は正社員なのかな。上の人の生活を少し切り下げ手下の人の生活を上げるというのが一番妥当な「パイ」の再配分だという。この場合の上の人とは、正社員の事だろう。いわゆる既得権論の話。正社員への憎悪。例えば、正社員や労働組合が、貧困層一人に月10万円位出したらいいという。おいらは、この点、ひっぱたく相手が違うような感じを強く受ける。「近くの人間を引きずり下ろす」のが妥当なのか。
 浅尾氏の希望は「連帯」、つまり「正社員と非正規が連帯して、ブッシュと福田と御手洗をひっぱたくことだ」という。観念的な「正社員」像をイメージして、憎しみをぶつけても意味がないのではないか。だから、リアルな(現実の)話を積み重ねていく他ない。
 「パイ」の話も、グッドウィルやフルキャスト等の社長連中は、莫大な株式を所有し、その配当だけも金額がすごい。グッドウィルの折口氏は、自分の会社の株で、一昨年5億円の配当を受けている。
 美容室「アッシュ」の資本金を100%出資しているアルテ社長は株を上場して大儲けしている。しかしスタイリストになろうとして入社してきた現場の青年たちはタイムカードが無いまま働かされてきた。朝10時から夜11時過ぎまで働かされ、東京・渋谷のハチ公前でビラ配りもさせられる。それに対して、一人の美容師が「残業代払え」「労働時間管理しろ」と声を上げた。青年ユニオンという労働組合をテコに団体交渉をして、不十分ながら4700万円を未払いの残業代を払うとのアッシュ側の回答を得た。今アッシュの美容師一人当たりの月商は月65万円だそうだが、アッシュの組合員(23歳)の給与明細を見ると基本給が、11万5千円。さらに何時間働いても固定時間外労働手当は2万5千円。その上、訳の分からない共済金と教育費が引かれている。本来は、教育費は企業が出すものだ。彼は、赤木氏の憎んでいる正社員である。世の中では、お金をたくさん持っている人がヒーロー扱いされ、このアルテ社長もテレビの大富豪番組「世界バリバリバリュー」に出演し、妻への深い愛情を表明している。何故か、愛情を若い美容師には向けられなかった。テレビ局もいい加減なところである。派遣法の拡大適用を働きかけていた御手洗日本経団連社長のキャノンは、大規模な偽装派遣を行ってきた。
 寺島実郎氏は、労働力人口が6300万人としたら、既にその3分の1が年所得200万円以下だという。
 非正規の青年も戦っている。会社の役員から「あんたの20代きれいだったけれどもムダに過ぎちゃったよね」と言われた非正規の女性がいる。彼女は新卒から1年契約で10年間頑張ってきた。面接時に正社員の道もあると言われたことが一筋の望みだった。ところが、30過ぎたら「今度ウチ20代の正社員とるんだよね」とエレベーターの中で言われた。いま、彼女のようにプライドをかけた戦いも始まっている。
 身体は女性、気持ちは男性という20代の性同一性障害の労働者が、係長から呼び出しをくらって、あんたの働き場所は新宿あたりにあるんじゃないのと言われて、「自己都合退職」を書かされた。彼は派遣からやっと正規になった人だった。労働相談に来た時はスカートをはいていた性同一性障害の彼だったが、団体交渉の時はピッシとスーツを着て来て、宝塚の人のようでかっこよかったという。団体交渉の時は、正規も契約の社員の人もやって来て参加型で戦う。彼は、退職届を撤回させた。彼のように、自分のアイデンティティをもかけた新しい形の戦いも始まっている。

 お互いに、空理空論でなく、リアルな世界での話しを通じて、共同できたらいい。この時代閉塞の状況の中、真に対抗しなければならない対象は別の所にいるのではないか。バーチャルから、リアルな言葉を武器にして。
 
 


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