トッペイのみんなちがってみんないい

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別れの悲しみを幼い心で/絵本『おじいちゃんのライカ』

2009-09-17 23:37:00 | 絵本・児童文学
おじいちゃんのライカ (評論社の児童図書館・絵本の部屋)
マッツ ウォール
評論社

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 ペットは、パートナーや友人の地位を占めていることが多い。ただ、悲しいのは、人間と比べて年をとるのが早いことである。「虹の橋」の詩も、大切なペットを失った人間の心を慰めるものである。
 この本に出てくるマシュウは、まだ幼稚園児だ。おじいさんとゴールデン・レトリバーのライカがいつも幼稚園に迎えに来てくれる。帰り道、森のはずれを通っていく。ライカは、あっちこっちにおいをかいでは、走り回る。おじいさんの家では、絨毯の上にライカと一緒に横になる。おじいさんは、新しい絨毯を買いたいというが、マシュウは買い替えないでと頼んだ。もう擦り切れて古くなっているのだが、ライカと一緒に寝転がるのが好きだから。
 ある雨の日に、おじいさんがライカが病気だと言った。吹きすさぶ風と雨の中、ライカとおじいさんがいつものように、幼稚園に向かえに来てくれた。ライカはすっかりからだが濡れて、マシュウは家で念入りにからだを拭いてあげた。お気に入りの絨毯の上で寝転んだ時、ライカをいつものように触ってみると、まだ、濡れていた。
 おじいさんが話してくれた。ライカは、ずっとえさを食べずに水ばかり飲んでるという。マシュウは認めたくなかった。今度の金曜日に病院に連れていくと言う。

 金曜日、ライカとおじいさんが迎えに来た。おじいさんは、病院の様子を話してくれたが、ライカはもう良くならないということも。年をとりすぎたと。マシュウは、「年をとりすぎた」という言葉が嫌いだ。おばあさんもそう言って死んでいった。
おじいさんは、来週、ライカをまた病院に連れていくと言う。その時に、特別の注射をしてもらうそうだ。そうすれば、静かに眠ることができると。「静かに眠るって、死ぬってこと?」「そうだよ。ライカは何も感じないでね。痛くもなんともないんだよ」。マシュウは、ライカの心臓の音を聴いた。それが止まってしまうんだ。

 生きているものは必ず死ぬものだ。

 次の週、おじいさんは一人でマシュウを迎えに来た。ライカは、ガレージに寝かせてあるという。明日埋めてやろうという。でも、マシュウは、ライカを見たくないと言った。

 次の週、森の奥、湖の近くのライカのお墓へ二人で行った。元気だったときは、よく泳いでいた湖の近くはいいところだとマシュウは思った。

 おじいさんから、あの古い絨毯をもらって帰った。ライカのにおいのする絨毯を。

 小さい子どもが、ライカの死を通して、人生の悲しみを知る。命の意味を考えることのできる本である。なお、作中では、キーワードとして、カバの木と柳の木が出てくるが、その意味する所は、本書を読んで汲み取っていただきたい。絵本としては、思いテーマのものであった。


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